能楽師・加藤眞悟氏による本公演(5月5日)に備えての事前講座。
前半は演目「定家」の解説。後半は甲野先生との対談。
序の舞の解説、ステージがどんどんと上がっていく様子、最終的な鎮魂に至る道筋、能舞台における陰陽など、興味深いお話を分かりやすく解説してくださり、とても面白かった。
実際にお囃子のレクチャーでは手拍子をとりながら口ずさむのだけれど、どれもが弱拍で出て来るのが面白かった。中々のグルーブ感がある。
ずっと同じフレーズが添付を変えたりしながら繰り返されて、高まっていく、というのはパッサカリアやシャコンヌにも通じているなあ、と思った。
定家の魂が式子内親王に憑依したのでは?という加藤氏独自の解釈にも共感。
道ならぬ恋の妄執・・・という題材には、ダンテの神曲なども思い起こされた。
能はあの世とこの世の境界線に存在しているものなのかもしれない。
後半は甲野先生との対談。
身体の使い方に関して、能楽の世界で通常言われていることを、「実はそうではないのかもしれない」と加藤氏が何度も仰っていたのが印象的で、これにも非常に共感。
自身のフルート奏法は、まさにその繰り返しで、今も異端街道まっしぐら・・
今回一番驚いたのは、甲野先生の「2本脚なのに、3点で立つ」というもの。
思わず最後に質問したけれど、ちょっとやそっとで出来るものではなさそう。
でも、「左右平等に」と思っていた常識が打ち砕かれただけでも大きな成果だ。
「無構えの構え」は更に進化されていて美しく、以前から何度も見ているのに、まるで初めて見たような不思議な心地。
左手の取り扱いに関しても、これまた何度もうかがっている話なのに、この日、一番染みてきた、というのも物事にはタイミングというものがある、ということなのだろう・・
とにかく実り多い、とても充実の講座となりました。
終演後にある若者が先生に階段を楽に速く上る方法を質問していて、先生は階段を使って実施。
このやり方は、以前音楽家講座で伺ってはいたけれど、先生の実演は初めてなので、わくわくしつつ野次馬になっていましたが・・・
何の力感もなしに、液体の様な滑らかさで、階段を1段飛ばしでスル~っと上っていく甲野先生。
何か特撮の動画でも見たような不思議な感じ。いや、凄かった・・
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数日前から泥染めの大島にしようと思って吊るして準備していたのですが、急な夏日となり、これは袷は無理、と判断し、急遽単衣の紺色の生紬の単衣に。
でも、まだ4月なので、帯、帯締め、帯揚げは、袷用のもので。
泥大島用に合わせようと思い用意していたものをそのまま使いましたが、結構合う組み合わせになりました。青い着物に青い帯は多分こんなことでもなければやらなかったけれど、スッキリして今風かも。
半襟は白のスワトーハンカチで自作したものでパキっとさせて、白いレースの日傘で涼やかに。日除け効果は弱いけれど、見た目重視。
でも単衣でも歩いていると暑くなってくる陽気。
早く着いたので、能楽堂の前にある地下のイタリアンで、アイスクリームとパンナコッタを注文して、一息入れました。
夜は夫と待ち合わせて、これまたイタリアン。
テラス席が気持ち良い。
テーブルクロスが、家で使っているセンターライナーと全く同じものでした。
昼も夜も、お店の人がみなニコニコして、とても感じが良かったのはやはり着物効果か?
洋服の時はこれ程でもない気もします。
牛のたたきとアボカドのオードブル、アクアパッツァは残ったソースをリゾットにしてもらい、栗を食べて育った豚の角煮バルサミコソース大根添え。
デザートの苺のモンブランの大きさにもびっくり。
この半分でも充分に成り立つのに、エライ!
・・やはり本場よりも、日本のイタリアンの方がずっと美味しいと思う・・
というか、和風に色々とアレンジ技が効いているのが、口に合う、ということなのかも。