『笛物語』

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フルート奏者・白川真理

CD『エーテルブルー』リリース(4月28日)の御知らせ

2021-04-26 13:07:38 | 音楽・フルート
CD『エーテルブルー』リリース(4月28日)の御知らせ
   

このたびテンハーツレコードから3枚目のCD『エーテルブルー』がリリースされることとなりました。








これは、2019年1月に王子ホールでの還暦記念リサイタルのプログラムと同じものを新たに同年6月に鶴見区民文化C.サルビアホールで録音したもので、フルートソロ2曲とトリオ4曲(Pf.砂原悟  Vc.山本徹)による演奏です。

本来は同年11月に完成する予定でしたが、諸事情で延期となり、その後このコロナ禍とも重なり、さらに時間がかかりましたが、ようやく完成の運びとなりました。

当初の予定から一年以上経ってのリリースとなりましたが、じっくりと音源の編集、ブックレットの内容やデザイン校正を行うことが出来ました。レコーディング&マスタリングエンジニアの葛巻善郎氏のお陰で、ホール録音ならではの空気感、臨場感ある仕上がりになりました。

またオールカラーの22頁のブックレットには計8枚のルイ・ロットの美しい写真も掲載されています。共演の名手お二人を始め、テンハーツレコードのスタッフの皆様やお手伝いくださった多くの方のご尽力で一つのCDを作る作業は、改めて「コミュニケーションとしての音楽」を感じられる経験でした。関係者の皆様に感謝しております。

タイトルの『エーテルブルー』はドビュッシーのシランクスのテキストであるガブリエル・ムーレの詩に記されていた言葉です。

よく解説に記されているムーレの詩と冒頭から8小節までの音楽が合わない、とずっと違和感を持っていました。リサイタルに備えシランクスを改めて研究していた時に偶然、通常は無視されている部分に「エーテルブルー」という言葉をみつけ、気になり、その文章を訳してみると、


「シランクスの魂は光を放ち 凛と垂直に舞い上がり、エーテルブルーの天空を突き抜け、魔法のように星々や神々のもとへと昇る」


となり、なんと美しい!?と驚きました。そして、この詩こそが5小節~8小節の音楽に合うと確信しました。その前の箇所も訳すと


「うつろな葦の管に パンが生命の息吹を送ると 翼の生えた音は 解き放たれ、黄金のリズムは 人々の心の中に 歓びの種を 芽生えさせるのではないかしら」


となり、これも通常解説されている「すごいわ!まるで夜か帯を解き~」というものよりも、余程、冒頭から5小節目の音楽に合うではないか?と愕然としました。

詳細は以前、フルート協会会報にも『音と言葉のシランクス』として投稿させていただきましたが、CDのブックレットにもその翻訳した詩と相対する楽譜の小節数を書いています。


また、これらのムーレの詩は、そのままフルートを演奏するための非常に優れた示唆に溢れるものではないか、と感じています。
優れた芸術は時として企むことなく真実を語る、というような文章を何かで読んだことがありますが(原典は失念・・)、まさにそれです。

いつか、この詩の様な演奏が出来る日を目指し精進していきたいとの思いもあり、『エーテルブルー』は私にとって特別な言葉となりました。

かつてアリストテレスが「宇宙に存在する気体」と唱えたエーテル。
現代の科学では、存在しないことがわかってはいるものの、詩的で美しい表現だと感銘を受けました。

エーテルブルーとは一体どのような空の青さなのでしょう?
悲しいにつけ、嬉しいにつけ、ふと見上げてしまう空。
その折々の心模様を映して微細に変化する空のような様々な名作を集めました。
楽音の響きがエーテルブルーの天空に染み入る様に、皆さまの心に届くことを願っております。

CD『エーテルブルー』【THFLOT-8002】テンハーツレコード (税込み3300円)
(演奏)白川真理(Fl.)、砂原 悟(Pf.)、山本 徹(Vc.)

(収録曲)
C.チェルニー:ロンドレットコンチェルタント ヘ長調 Op.149
川崎 優:祈りの曲 第4番(solo)
J.S.バッハ:フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV1034
C.ドビュッシー:シランクス(solo)
Ph.ゴーベール:3つの水彩画、N.カプースチン:トリオOp.86

(使用楽器)
初代マイユショー製ルイ・ロット(1873年製)
五代目銀製ルイ・ロット(1911年製)

レコーディング&マスタリング エンジニア:葛巻善郎


(『ザ・フルート』にて関連記事掲載)
https://www.alsoj.net/flute/magazine/view/1117/4502.html

Amazonでは既に予約販売が開始されました。

アルソの商品頁はこれからのようですが、このような告知頁が。


お聴きいただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
・・・・・


40代で『SERENADE~flow~』(監修:川崎優 pf.寺嶋陸也)
50代で『無伴奏フルート作品の夕べ』
そして今回
60代で『エーテルブルー』

と、特に計画した訳ではないのですが、ぽつぽつと節目のように出せてきたことに感謝です。
・・できれば、この先、70代、80代・・その先も? 
出せるといいなあ・・・

と欲張りな願いを持っております。

     ・・・・・元気です!