いきがかり上いたしかたなく・ぶろぐ

寄る年波には勝てないし難しいことは出来ないし、行き掛かり上致し方なくブログに頼ります。

その日

2022-06-05 09:56:00 | 超短編
その日はいつもより早く目が覚めた。起き上がると部屋が緑で埋め尽くされている。小さな丸い葉っぱ。細い茎が部屋の中を縦横無尽に這い回っている。テーブルの上に観葉植物の鉢が見えた。夕べ飲んだ帰りにどこかで買った気がする。ベッドが緑に覆われていく。たぶんきょうは会社には行けない。 . . . 本文を読む
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静寂の音

2022-06-05 09:55:00 | 超短編
静寂の音が聴こえる。そっと庭に出る。こんな街中でもよく晴れた夜なら星が見える。プレアデス星団もアンドロメダも。もちろんぼんやりとではあるのだけれど。目を閉じる。風の音がする。突っかけたサンダルが片足ずつ脱げて落ちていく。戻りたくない気がする。もうずっと、夜のままでいい。 . . . 本文を読む
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すきま風

2022-06-05 09:54:00 | 超短編
すきま風が吹いている。実家は古い木造住宅なので仕方がないのだが、台所の暖簾が吹き流しのようにはためいている。実家には今はもう誰も住んでいない。時々様子を見には行っている。自宅に戻るとリビングの暖簾がはためいていた。窓はしまっている。すきま風? ここは木造住宅でもないのに。 . . . 本文を読む
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知らない街

2022-06-05 09:53:00 | 超短編
知らない街に来てしまった。どうやら違うバスに乗ってしまったらしい。途中までは窓の外には見慣れた景色があった。そのまま眠ってしまったようだ。慌ててバスから降りたのはいいがここはどこだ。スマホを出し夫に電話する。「どちら様ですか?」電話に出た夫に似た声が言う。雨が降りだした。 . . . 本文を読む
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さて、そろそろ

2022-06-05 09:52:00 | 超短編
さて、そろそろ寝るか。私は枕もとにスマホを置いた。睡眠分析アプリを入れてみたのだ。このところ寝つきはいいのにどうにも疲れがとれない。このアプリには録音の機能もあるので何かわかるかもしれない。翌朝、さっそく録音された音を再生してみた。私が喋っていた。延々と。誰かに向かって。 . . . 本文を読む
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