タイトルは、水木しげるへのオマージュ作品からとのこと。
『ゲゲゲの先生へ』
2018/10/12 東京芸術劇場プレイハウス
原案:水木しげる
脚本・演出:前川知大
出演:佐々木蔵之介 松雪泰子 白石加代子
手塚とおる 池谷のぶえ 水上京香 水田航生
浜田信也 盛隆二 森下創 大窪人衛
平成60年(おいおい…)の人口が激減した日本。
地方の村は朽ち果て、人は都市に集中している。
そんな中、廃村で暮らす根津という男のところに、都市からある妊婦とその彼氏が逃げこんでくる。
根津は2人に、自身が半妖怪になるまでの話をしながら、自分の存在意義を自問自答する。
やがて妊婦の父親である市長が、逃げてきた2人を連れ戻しに来る。
さらに市長を追ってとんでもない怪物がやってきて、最後は…。というあらすじ。
笑ったり、泣けてきたり、考えさせられたり。
モチーフになっていたという水木作品「丸い輪の世界」「錬金術」「コケカキイキイ」は知らなかったけど、自然に自分の中に入ってきて、不思議な感覚にどっぷり浸ってしまった。
生のパーカッションの独特な音色と、湿った感じの舞台美術もおもしろかった。
蔵之介さん演じる根津は、ねずみ男がモデル。
もうこれがね、とても素敵でね、力の抜け具合とか哀愁漂う感じとかたまらなかった。
屁はちょっとアレですけど。
他の皆さんもほんとに妖怪チックで。
白石さんのお茶目な元神おばばとか、松雪泰子さんの美しい精霊(幽霊じゃないから!)とか、
純粋な三太はかわいかったし、池谷のぶえさん演じる怪物は突き抜けてたし。
話の後半は、日本の近未来の問題を妖怪や怪物に言わせた感があって、せつなくなった。
人間がいなくなれば存在できない妖怪たち。
行きどころのない怒りや悲しみでできた怪物。
なんだか古いウルトラマンシリーズを思い出したりした。
私も半分妖怪なのかもしれない。
この世とあの世を行き来する前川作品、今回もよかったです。