満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

黄金の羅針盤 作:フィリップ・プルマン

2008-03-13 | 本の紹介
現在第一部が映画化「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
として公開中であるが…
これは元々全部で三部作ある児童文学書なのである

  

  

  

何時もは本の表紙を丁寧に載せないのだが
今回は装丁の絵が本文を物語っているので真面目に載せてみた(笑)

昨年の夏、NHKBS1にて「異次元への招待」という番組をやっていた
ハーバード大学教授で理論物理学者のリサ・ランドール博士が
「私たちの3次元世界が、異次元世界に囲まれている」と話していた

」が無限に重なり「」になり
」が無限に重なり「平面」ができる
平面」が無限に重なり「立体」となる
この立体空間が我々の住んでいる「3次元の世界」であるのだが
この「3次元」に無限の時間を重ねると「4次元」と言われている
ここまでは物理学の数式で表すことが出来る
もちろん物理が苦手な私には数式を見ても理解は出来ない(笑)

この「4次元」に人の心の動きを無限に重ねると現れてくるのが
宗教学が絡み付いている「5次元」だと言われていたのだが

ここで物理学者のリサ・ランドール博士は、ある学説を立てた

19世紀末に発見された素粒子の研究が進み物理学者達は
「一見複雑に見える自然の根本は非常に単純である」
という確信深めるに至っている
物質は少数のクォーク、レプトンからできていて
それらを支配しているのが「重力」「電磁気力」「弱い力」「強い力」の
たった4種類しかないことも解ってきている

この4種類の力の中で、もっとも弱い力は「重力」なのである

原子核の衝突実験の時に、
この世界から姿を消す素粒子がある事を知った博士は
重力の力が弱い原因は、
他の時空間に力が分散しているからではないか?
素粒子と重力が逃げている世界
それこそが我々の住んでいる3次元に時間をプラスした4次元を囲む
5次元の世界であろうとの仮説を立てたのである

さて長々と次元と素粒子・重力の話を簡単にしたが
この小説が「5次元の世界観」と「素粒子」と
物理学者達が言う「世の中意外に単純」っという
3つの柱で成り立っているからである(笑)
(まぁ~コレは私の単なる主観であるのだが・・・)

また元々5次元に関しては宗教要素が絡むと言ったが
ジョン・ミルトン作の「失楽園」と
  (神に叛逆して楽園を追われた堕天使ルシファーの話)
聖書の「創世記第3章」
  (イブが禁断の実を食べて楽園を追われる部分)
なども引用したと作者は述べている

それらをクラッシュしてスパイスを効かせ炭酸水で割った話が
コレである(笑)

2年の歳月をかけて書き上げた「黄金の羅針盤」では
若干11歳の少女「ライラ」の世界から始まる
「ライラ」の住んでいる世界は私達の住んでいる世界に似てはいるが
可なりの部分で違う
ここでのアイテムは、真理計(アレシオメーター)黄金の羅針盤である
これは、不思議な素粒子ダストから真理を教えてもらう機械である
キャラでは、この世界の人間が皆さん連れている「守護精霊」のダイモン
海上生活者「ジプシャン」、氷の山に住む「よろいを着けたクマ」
魔女などである

同じく2年の歳月をかけて書き上げた「神秘の短剣」では
12歳の少年「ウイル」の世界から始まる
「ウイル」の住んでいる世界は私達が住んでいる世界である
アイテムは、「不思議な短剣」
これこそ5次元の世界を旅する重要なアイテムとなる
キャラは、「ライラ」など一作目に出演の方々と
物理学者のメアリー・マローン
もちろん現在の我々の世界なので「ライラ」意外は
「守護精霊」の「ダイモン」は表面には見えていない

最後に3年の歳月をかけて書き上げた「琥珀の望遠鏡」では
「ライラ」と「ウイル」が各世界間を移動する
アイテムは、漆で作られたメガネ(琥珀の望遠鏡である)
これが不思議な素粒子ダストを見る事が出来るメガネなのである
キャラは、木の実の車輪を使う不思議な生物「ミュレファ」
小さく戦闘的な「ガリベスビアン」
死者の国の人々である

何かが原因で不思議な素粒子であるダストに変化があらわれ始めた
それは300年の歳月をかけ、ゆっくりと各世界を蝕んでいった
はじめ子供は自分の事で頭が一杯だった
沢山の人、色々な世界、大いなる愛、悲しい別れ
それらを経験するうちに二人の子供は
この世界に何が起こって変化が始まったのかを知る

作者のフィリップ・ブルマンが7年をかけた大作が
幕を開き、読み始めたアナタを魅了する
お話の幕が閉じたとき
アナタの心の中でも確実に何かが良い方向へ変化している
そんなお話である(笑)

この作品は「ハリー・ポッター」を読んだ卒業生が
次に手にする作品と言われているらしい(笑)
大人が読む場合、ハリー・ポッターは子供に「かえらないと」
あるいは「かえれない」と読みづらいのだが
ブルマンの作品は大人のまま読めるっと言われている

確かにブルマンの作品は大人としてSF超大作として読めた(笑)

この本の訳者「大久保寛」さんが
翻訳しながらず~っと考えていたのは
ジョン・レノンのあの名曲「イマジン」だったそうである

天国なんてないと考えてごらんよ
やってみれば、簡単なことさ
足もとに地獄はないし、頭上には空があるだけ
人間はみんな今日のために生きている
そう考えてごらんよ


この詩を読んで気が付いたが…
これはライラの物語を明確に表している

昨年11月に「ライラのオックスフォード」という短編集が発表された
三部作続編の「踏み台」の作品であると言われている
次にライラとウイルがどのような冒険を繰り広げるのか
楽しみである

この本を教えてくれた「るー」さん
「サイフォンの向こう側」

読み終えてレビューをUPしている「夜」さん
「漫トラ日記」

映画を見てレビューをUPしている「トミー」さん
「猫とマンガとゴルフの日々」
など、興味を持った方は、これらのサイトを覗いてみると
より色々と解ると思います


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