1977年から描かれた漫画である。
私は当時、この漫画は読んでいない。
1980年代だと思うが…映画版を見て衝撃を受けた記憶がある
映像の美しさ、ストーリーの展開さの妙、ありえるかもしれない地球の未来
それらが見事に調和し、竹宮恵子の絵の美しさと融合し、私の心を掴んだ(笑)
その後、映画を見終わり…地球へ…の巨大ポスターを買い
部屋にデーンと貼って、毎日眺めては、ご満悦だったのを記憶している
(イイ年の女が、男性アイドル達を無視し漫画のポスターを部屋に貼っている図は
想像するだに…自分自身でも怖い…ハハハハハハ)
地球へ…は当時ラジオでも放送されており
友人がセッセとラジオからダビングしてくれたテープを聴いた覚えもある
こちらも第一章だけが放送されたが、とっても良かった
今回、「Gファンタジーコミックススーパー 」ってなジャンルで蘇ったので
さっそく、全3巻を大人買いしジックリと読んでみた
あの、懐かしさをもう一度~ってなもんである(笑)
読んでみて、驚いた。
これは・・・映画より数百倍深くて面白い!
時間の決まっている映画では、表しきれなかった部分にこそ
竹宮恵子の言いたかったことが詰まっている気がした
しかも、映画で知っていた結末とは違う!
映画はほぼ…ハッピーエンドだったような~~~
で、今は便利なインターネットっというモノがあるので
色々と調べてみて解ったのだが
映画版監督の恩地日出夫氏は、アニメ制作をしたことがなく
出来上がった作品の「地球へ…」は、アニメとしては異色作品と認識され
その賛否が分かれたっと書かれていた
(本当? そうだったの? いや~私は気に入って見たんだけどね~)
これは、漫画を読んだついでに…映画も、もう一度見てみたくなったぞ(笑)
ストーリーは近未来の、地球ではない星から始まる
昨今、エコエコと、古賀新一氏のホラー漫画で黒井ミサが唱える
「エコエコアザラク」という呪文のように皆が叫んでおるが…
エコ速度より、人間の地球破壊の速度の方が速く
このままでは地球が崩壊してしまう危機感を抱いておる
結局、「人間がいるから地球がダメになるんじゃ」っと思う人も既にいると思う
そこで壮大なプロジェクトが発動した
それは「地球を蘇らせるにゃ~人間を地球から出すしかないべ」という単純なもの
全ての地球人を他の惑星へ移住させ、優秀な人材だけが地球で暮らせるという
エコ思想がエゴになったような発想が起こった(笑)
今じゃありえん話である。
この漫画では「ワープ走行可能な船」があるので、遠い星へでも移住出来るが
今の我々の科学力では「ワープ走行は不可能」と結論づけられているので
我々は崩壊する地球から、一歩も外へ出ることは出来ない。
殆どの人間が地球と運命を共にしなければならない事実を、目の当たりにしたので
マジでエコにも力が入っているのである
かえって現実の方が、より漫画よりシビアだってことだの~(笑)
さて、巨大コンピューターに出生から死ぬまで完全管理された人間は
ランダムに選ばれた精子と卵子により、試験管内で産まれ
またまたランダムに選ばれた両親のもとで14歳まで育てられる
その後、「目覚めの日」なる大人試験なるものを通り
身体能力別に分けられ、適材適所へと配置されていくのである
その場合、人間の持つ疑問・猜疑心・不安という不確かな感情レベルは
コンピュータによって削除され、記憶も塗り替えられる
ま、悩まない・惑わないってことを考えればパラダイスだと思う
漫画を読んでいる我々は、自由な感情を持っているので「なにこれ~」と思うが
漫画内では、殆どの人が満足している
ところが「目覚めの日」を通過する人間の中に…まれにミュータントが生まれる
これはコンピュータによる制御のし過ぎなのか、機械のバグなのかは解らない
ただ目覚めたミュータントは削除され消される運命となる
人間とは異質なミュータントだって、殺されるのは嫌である
そこで逃げ出したミュータントが一人、二人と集団を作り
また新たに生まれたミュータントを助け出し集団は大きくなっていく
その集団を「ミュウ」と呼ぶ
かれらは体のどこかに障害を抱えている
その障害を補うために、普通の人間とは違った能力を持っているのだが
体が弱い彼らは、長時間の労働も、新たな生命を作り出す能力も持ってはいない
「ミュウ」の長、ソルジャー・ブルーは
目覚めの日に救った少年が、健常者なのにミュータントであることに驚く
救われた少年の名はジョミー
人間との確執が深まり、最後の決戦が迫るなか
ソルジャー・ブルーの命は尽きようとしている
予知能力を持つソルジャー・ブルーは、それを察知し全てをジョミーへと託す
一方、人間の側でもメンバーズ・エリートと呼ばれる人物が育っていた
その名をキース・アニアン。
彼は不思議なことに、目覚めの日の記憶も、それ以前の記憶も持っていなかった
コンピュータによって作られた「ミュウ」への刺客なのか?
自分の出生の秘密と「ミュウ廃絶」の使命の狭間で…
彼は自分の成すべき事を真っ直ぐに実行しだす
ここまでは序章にすぎない
これから十数年に渡り、彼ら人間とミュウは様々な事件・事故から、悩み苦しみ
最終決戦へと進まざるを得なくなる
ミュウたちは「地球(テラ)へ…」と向う
地球や人間達をマザーコンピュータから救うため
人間たちは「ミュウ」を地球へ入れないように戦う
一つの星を守るため、生まれた二つの生命体。
どちらがこの星を手に入れるのか? それとも…全てを失うのか?
それをはじき出すすべは、コンピュータですら持っていない。
全ては地球(テラ)のみぞ知る。
いや~。堪能した~~~(笑)
未読の人は是非、読んでみてください
こんな漫画が30年前にあったことを、じっくり考えてみて下さい
30年以上前から人間は、地球に危機が訪れていたことを知っていたのです
30年たった今、人間に大きな変化はみえるでしょうか
危惧しているだけで、遅遅として進まず
そんな人間を地球は何時まで、同居させてくれるでしょうか
我々が生きていける場所は、現在、地球しかないんだよな~
読み終わったあと、フっとそんな思いが頭をかすめました
映画と漫画では終わりかたが違っています
どちらも、「アリ」な終わり方なので
見る機会があれば、両方見ることをお奨めします