今週は競馬関連の仕事が多く、これまで週刊日記以来更新なし。土日も撮影で多忙でしたが、録画で競馬は十分楽しみました。
ディープインパクトの魅力は、何よりその走法、というより走っている様子なのだと思う。
怒涛の追い込み馬ミスターシービーの年にちゃんとみ始めて、完全無欠のシンボリルドルフの年に馬券デビューした私は、世の競馬ファンの中ではすでにベテラン初期の部類だ。どちらかといえば穴党なので好きだった馬にそれほど強い馬はいなくても、名馬たちについてはそれぞれいくつもの思い出がある。
3冠馬では先の2頭の他に豪快な野性味にあふれていたナリタブライアン、一所懸命走る姿がよかったオグリキャップ、ライバルとの名勝負にうなったスペシャルウィーク、サラブレッドらしい上品さならサクラローレル、そして競馬の快楽の究極を味わわせてくれたサイレンススズカ。どれもみな忘れられない。
けれどディープインパクトは違う。荒々しさも、手に汗握る名勝負も、品格さえあまりある方でないのに、多くの人々を引きつけてやまない。それはどうしてかというと、あのちっこいからだが直線に向くと別の生き物のように四肢を広げて加速していき、とにかく「行けーっ」と応援したくなる、そのタイム感にあるのではないかと思っている。過去の名馬でいえば、浮くように走る姿がみていてうれしかったトウカイテイオー、何を考えているのかわからないほど無謀に走っていってしまったサイレンススズカ、ちょっと名馬といえる実績はないが思いつめたようにずんずん走るツインターボらが、そんな同じようなタイム感を持つ馬だった。
逃げとか追い込みとか関係ない。問題は走っている時のタイム感。そうした馬の馬券を買うのは、何も的中させて小金を儲けるためじゃない。そうした馬の一部となってターフを走り、そのすばらしい時間を味わいたいからなのだ。
だからディープインパクトがみんなの期待を背負って出かけたフランスで伏兵に敗れた時より、その後すぐに引退が発表された時、しかも薬物トラブルに引っかかった時の方が、競馬ファンの嘆きは大きかった。あのタイム感がもう味わえないなんて。多くのファンが今日の府中に駆けつけたのは、ディープインパクトの勝利をみたいためもあったろうが、それよりきっと残り少ないあの時間をより近い場所で、少しでも強く感じるためだったのだろう。
そしてJC。史上最弱といわれたメンバーも、見事な勝利の価値に傷をつけることなんてできない。何しろこの馬には、ありきたりの名勝負なんていらないのだ。誰が走っていたって一番後ろを走り、直線に入ったらあのタイム感を創造する。それだけを繰り返してきたのだから、名コンビの円熟を迎えた天才騎手はそれを完璧に繰り返した再現しただけだった。
“衝撃”なんていったのは、もうずいぶん前の話だ。それはすでに“再現”であり、その再現こそ多くのファンがたち望んでいた時間である。
何とか来年、ロンシャンでの雪辱をともうあきらめなければならない夢を見るのがファンの悪い病気なのだが、何しろあと一度の有馬で終わってしまうのは残念。こんなに名馬の引退が惜しいのは初めてかも知れない。
さらに土日はPO馬がともにダントツ一番人気で2頭出走。土曜のダイワディライトは2着惜敗も、今日のクランエンブレムは単勝1.0倍大差勝ち。よし、来年はこの馬でいい時間を。
(BGMはJ-WAVE)
ディープインパクトの魅力は、何よりその走法、というより走っている様子なのだと思う。
怒涛の追い込み馬ミスターシービーの年にちゃんとみ始めて、完全無欠のシンボリルドルフの年に馬券デビューした私は、世の競馬ファンの中ではすでにベテラン初期の部類だ。どちらかといえば穴党なので好きだった馬にそれほど強い馬はいなくても、名馬たちについてはそれぞれいくつもの思い出がある。
3冠馬では先の2頭の他に豪快な野性味にあふれていたナリタブライアン、一所懸命走る姿がよかったオグリキャップ、ライバルとの名勝負にうなったスペシャルウィーク、サラブレッドらしい上品さならサクラローレル、そして競馬の快楽の究極を味わわせてくれたサイレンススズカ。どれもみな忘れられない。
けれどディープインパクトは違う。荒々しさも、手に汗握る名勝負も、品格さえあまりある方でないのに、多くの人々を引きつけてやまない。それはどうしてかというと、あのちっこいからだが直線に向くと別の生き物のように四肢を広げて加速していき、とにかく「行けーっ」と応援したくなる、そのタイム感にあるのではないかと思っている。過去の名馬でいえば、浮くように走る姿がみていてうれしかったトウカイテイオー、何を考えているのかわからないほど無謀に走っていってしまったサイレンススズカ、ちょっと名馬といえる実績はないが思いつめたようにずんずん走るツインターボらが、そんな同じようなタイム感を持つ馬だった。
逃げとか追い込みとか関係ない。問題は走っている時のタイム感。そうした馬の馬券を買うのは、何も的中させて小金を儲けるためじゃない。そうした馬の一部となってターフを走り、そのすばらしい時間を味わいたいからなのだ。
だからディープインパクトがみんなの期待を背負って出かけたフランスで伏兵に敗れた時より、その後すぐに引退が発表された時、しかも薬物トラブルに引っかかった時の方が、競馬ファンの嘆きは大きかった。あのタイム感がもう味わえないなんて。多くのファンが今日の府中に駆けつけたのは、ディープインパクトの勝利をみたいためもあったろうが、それよりきっと残り少ないあの時間をより近い場所で、少しでも強く感じるためだったのだろう。
そしてJC。史上最弱といわれたメンバーも、見事な勝利の価値に傷をつけることなんてできない。何しろこの馬には、ありきたりの名勝負なんていらないのだ。誰が走っていたって一番後ろを走り、直線に入ったらあのタイム感を創造する。それだけを繰り返してきたのだから、名コンビの円熟を迎えた天才騎手はそれを完璧に繰り返した再現しただけだった。
“衝撃”なんていったのは、もうずいぶん前の話だ。それはすでに“再現”であり、その再現こそ多くのファンがたち望んでいた時間である。
何とか来年、ロンシャンでの雪辱をともうあきらめなければならない夢を見るのがファンの悪い病気なのだが、何しろあと一度の有馬で終わってしまうのは残念。こんなに名馬の引退が惜しいのは初めてかも知れない。
さらに土日はPO馬がともにダントツ一番人気で2頭出走。土曜のダイワディライトは2着惜敗も、今日のクランエンブレムは単勝1.0倍大差勝ち。よし、来年はこの馬でいい時間を。
(BGMはJ-WAVE)