回想 沖縄帰省録 その３…

(つづき)
約束の時間より少し早く、父と兄が乗るクルマがホテル前に到着した。

未だに人見知り気味の娘を気遣いそっと乗車したあと、嫁さんの希望で那覇市にある首里琉染という工房をたずねた。

“サンゴ染め”なる技法で染め物をしているトコロで、嫁さんは何かの雑誌でその美しい色合いに魅せられたらしい。

サンゴ染めというから サンゴ礁を砕いて“顔料”のようにして使用してるのかと思ったが…染めるということを考えると やはり使うのは染料かなとも思ったりして、訪ねてみるまで どんな技法なのかさっぱりわからなかった。

一、二階で素敵な作品を眺めた後、工房のある三階に上がってみると そこには沢山の染料が揃えられてあり、その奥で女性らがにこやかに作業していた。

サンゴ染めとは 石化したサンゴに様々な染料を染み込ませた布などを押し当てて、その独特な文様を転写する技法のようだ。

「なるほどなぁ」と感心している僕のまわりを、娘がはしゃぎまわっていた。

帰りに淡い色のサンゴ染め手ぬぐいを買い店を出た…

(つづく)