生まれつき2つのアソコを持つ男の自伝が発売され、話題呼ぶ ― 「陰茎重複症」患者の奇妙な人生とは?
世界には、先天的に身体の一部が多い人々が存在する。6本以上の指が形成される「多指症」が有名だが、それよりもはるかに少ない確率で、男性が2本の陰茎を持って生まれてくる「陰茎重複症」という疾患も存在することはあまり知られていない。
昨年12月、この「陰茎重複症」の男性が、自身の半生を綴った自伝『Double Header: My Life with Two Penises(ダブルヘッダー:アソコが2つある人生)』を上梓し、話題を呼んでいる。今回は、謎多き先天性疾患「陰茎重複症」について解説するとともに、それを抱える人生とは一体どのようなものか紹介しよう。
■「陰茎重複症」とは!?
男性が2本の陰茎を持って生まれる「陰茎重複症」は、極めて稀な疾患であり、アメリカにおける調査で、その発生率は男性600万人に1人程度であるとされている。最古の記録は、1609年にスイス人医師ヨハネス・ヤコブ・ウェッカーが残した「イタリアのボローニャで2つのアソコを持つ男性の遺体を確認した」というものだ。その発生理由については、胎児期のストレスや遺伝子の変異などの影響が考えられているが、はっきりしたことは現在も分かっていない。
多くの患者において、2本の陰茎は同じ大きさのものがそれぞれ左右を向く形でついているが、中には、通常の陰茎の上に小さな陰茎が1本ついているケースも見られるという。排尿や射精は、両方の陰茎から可能な場合もあれば、片方からのみ可能な場合もあるなど、患者によって異なる。また「陰茎重複症」は、肛門や脊椎、直腸の異常を併発することも多いようだ。
■ついに患者が立ち上がった!!
話題の自伝を書き上げた米国人男性(25)、彼が最初に大きな注目を集めたのは、昨年1月に海外掲示板サイト「reddit」上で、自らのアソコの写真を公開したことがきっかけだった。「アソコが2つあるんだ。なんでも聞いてね」という男性の投稿には数千件もの質問が寄せられ、彼はそれぞれ丁寧に回答。このやり取りが出版社の目に止まり、自伝を出版する運びとなったようだ。そして今回、米『ローリング・ストーン』誌のインタビューに応じた彼は、2つのアソコを持つ暮らしについて赤裸々に告白している。
・ 性生活
男性によると、彼の陰茎は2本あるが、睾丸は4つ(2組み)ではなく2つ(1組み)であるそうだ。そして2本の陰茎は、それぞれが完全に独立して機能しており、一方で排尿しつつ、もう一方が勃起・射精することも可能だという。
また、バイセクシャルでもある彼は、これまでに1,000人以上の男女と寝てきたと明かす。「パートナーを驚かせることが好き」なのだが、相手にいつも受け容れてもらえるわけではなく、総じて女性パートナーのほうが(彼のアソコを)拒絶する傾向にあるそうだ。
さらに男性は、同時に複数人を相手にするなど、多様なプレイの経験も持つという。ちなみに現在はボーイフレンドがいる模様。
・ アソコが2つあって不便なこと
「陰茎重複症」で不便を感じることがあるとしたら、前立腺に溜まってしまう大量の精液を、数日ごとに排出する必要がある程度だと語る男性。肛門の中から前立腺を押すという作業を伴うため、以前は泌尿器科の医師に処置してもらっていたが、現在は自分でも対処できるようになったという。
・ 家族の支えが、彼を救った
男性の語り口調からは、不思議と悲壮感が漂ってこない。どこか自分の疾患を、笑い飛ばしているようにも感じられる。自伝にも冗談めかして『ダブルヘッダー』とタイトルをつけるほどだ。しかしその姿勢は、家族の理解と励ましがあってこそのものだった。
多感な10代の時期、男性の両親は日頃から「これは決して気味の悪いことではなく、あなたの個性なのだ」と彼に語り、支えてくれたという。「陰茎重複症」の患者の多くは、幼少時に手術で片方のアソコを切除してしまうケースが多い。しかし男性の母親は、彼を産むまでに2度の流産を経験しており、やっと授かった我が子がアソコの切除手術で死亡する可能性を恐れていたようだ。
・ 自伝を出版する意義について
さて、自身の半生を綴るにあたり、男性は自らの素性を明かさず、「DIPHALLIC DUDE(陰茎重複なヤツ)」とのペンネームを用いている。その点について彼は、
「だって、そんなことをしたら完全に人生が変わって、誰も僕のことを放っておいてくれないでしょうから」
「僕の抱える症状を説明するのに一番簡単な方法、それがこのやり方だったんです。もしもカメラの前に出たら、その瞬間から僕は、僕ではなくて"2つのアソコを持つ男"になってしまうでしょうし」
と語る。しかし、このように自分が「陰茎重複症」の実態をつまびらかにすることで、同様の症状に悩み、孤独を感じている人と繋がることができたと感じている。そして、自らの身体を愛せるよう、読者を勇気づけることもできたと満足気だ。
「ネガティブなことばかりの世界で、何かをポジティブな方に向けることができるのは、とてもいい気分ですね」(男性)
2つのアソコを持つ自分を愛し、人生を謳歌するこの男性。彼の強さに学ぶべきことは多い。さらに詳しく知りたい人は、ぜひ自伝を手にとってみて欲しい。
(編集部)
※画像は、『Double Header: My Life with Two Penises』(DDD Publishing)より
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