私の愛用尺八は写真のとおり、上から真山銘の1尺6寸管、秋月銘の1尺6寸管、静夫銘(現鈴慕)の1尺8寸管、旭童銘の1尺9寸管、竹治銘の2尺管である。
二番目の1尺6寸管と1尺9寸管は、私が26歳の時、実業之日本社発行の雑誌に「趣味がうみ出す宝の山」のコーナーがあり、そこに掲載されて、たまたまその雑誌をご覧になった女性から、ご主人が使用していた尺八をご主人が亡くなられたので、譲っていただいたのだった。
しかし、割れたり、音程が悪くひどかった。
そこで、大学の後輩で「尺八工房船明ふなぎら」の船明君に修理をしてもらった。
当時彼は、狛江にある「泉州尺八工房」で働いていた。
私の通勤途中にあり、便利な場所だった。
彼は相当数の尺八を修理しており、安心出来た。
私の演奏方法に合わせて、チューニングをしながら正しい音程で吹けるようにしてくれた。
誠に吹き易い。
1尺6寸管は筒音の音程が低かった為、管尻はラッパの様に削って広げてある。当然5孔の手穴も直してくれた。
歌口の黒水牛も虫食いで傷んでおり、入れ替えた。
新品同様となり、まさにビフォーアフターの番組のように感激したのである。
1尺6寸管については、最初に購入したのは大学2年の時だった。稽古が進みついに念願の「春の海」を練習することになった。そこで先生から尺八を買ったのだが、当時はほとんど道夫銘だった。
しばらく使用するうちに音程がやや高いことに気が付いた。「小6寸」とか誰かが言っていた。
仕方がないから中継ぎを全部はめないで、5ミリ位伸ばして吹いた。結局、すべての音が狂いナイフでゴリゴリ手穴を削り、下側は白いパテを塗って調整した。みっともない事この上ない。
我慢して、しばらく使っていた時に上記の尺八が手に入ったのである。
その頃、尺八友人が「1尺6寸管が2本あるなら、1本いらないだろう」と持っていっちゃった。
その他にも、真山銘の1尺8寸管を新宿三越の展示会で練習用にと購入した時の話だが、自営業していた新宿の店に置いていて、時々練習をしていた。
しかし、寒い時期エアコンでかなり乾燥して、しばらく尺八を吹いていなかったと思い出してみたところ、ほんの少しヒビが入っていた。こらはヤバいなと思いながら吹いてみた。
そこで、すぐ止めて脇へ置いてしばらく経った時、突然パンと乾いた音がしたと思ったら、上の半分は完全に中まで二つに割れていた。
早速、船明君に直してもらったのだが、やはり尺八は乾燥に弱いのである。