【パリ=鱸正人】
第33回夏季五輪パリ大会は11日、パリ郊外サンドニのフランス競技場で閉会式が行われ、全17日間の祭典に幕を下ろした。
新型コロナウイルスの影響で原則無観客だった2021年の東京五輪から一転し、各会場では大観衆が躍動するアスリートに声援を送った。熱狂を取り戻した夏季五輪の次回28年大会は、44年ぶり3度目のロサンゼルスでの開催となる。
「広く開かれた大会に」のスローガンのもと、200超の国・地域や難民選手団の選手が集まり、史上初めて男女の出場枠が同数となった。
ウクライナ侵略を続けるロシアやベラルーシの選手は個人資格で参加。開幕直前には高速列車TGVの電気設備が放火される事件があり大会への影響が懸念されたが、期間中に目立った混乱はなかった。
大会組織委員会によると、チケット販売は過去最多の950万枚超。夏季五輪で初めて開会式が競技場外のセーヌ川で実施され、メダリストをファンが祝福する新たな試みの「チャンピオンズ・パーク」は連日にぎわった。
日本は海外開催の五輪では最多となる409人の選手団で臨み、金20、銀12、銅13のメダル計45個を獲得した。柔道、レスリング、体操の「お家芸」に加え、フェンシングやスケートボードなどでも活躍が目立ち、金メダル数、総数とも海外の五輪で最多。2021年東京大会に次ぐ歴代2位だった。
入場する日本選手団(11日、パリ郊外)=目良友樹撮影
閉会式では大会組織委員会のエスタンゲ会長に続いて、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が「五輪が平和を生み出すことができないのは分かっている。
しかし、五輪は平和の文化を生み出し、世界を突き動かすことができる。パリ大会は新たな時代の五輪だった」などと挨拶した。
五輪旗はパリのイダルゴ市長からバッハ会長を経て、ロサンゼルスのバス市長に引き継がれた。俳優のトム・クルーズさんも登場して4年後への期待を盛り上げた。