パナソニックホールディングス(HD)は4日、グループの再編方針を発表した。白物家電や空調、照明を統括する事業会社「パナソニック」を2025年度中に解散し、複数の事業会社に分割することが柱。
テレビ事業は売却や縮小も検討する。グループで最大の事業会社を分割することで迅速な意思決定を可能にし、成長を目指す。
白物家電と黒物家電を統合へ
パナソニックHD傘下の事業会社は24年12月に売却した車載事業会社をのぞいて現在6社ある。
再編案ではテレビやカメラを手掛ける黒物家電会社とスマートライフを統合することも検討している。再編案の分割と統合が実施されると、HD傘下の事業会社は7社に増える。
パナソニックHDの楠見雄規社長は4日、オンラインで記者会見し、テレビ事業について「売却する覚悟はあるが、売却方針を決めたわけではない」と話した。
その上で「現状、事業を買ってくれる企業はないと考えている。様々な手段で考えていく」と述べ、将来的に事業売却を選ぶ可能性を否定しなかった。
英調査会社オムディアによると、薄型テレビの国内市場におけるパナソニックのシェア(24年1〜6月、出荷台数ベース)は12.8%。中国メーカーの台頭を受け、20%前後が続いていた10年代より存在感は低下した。米国市場は24年に再参入するまで約10年の撤退期間がある。
カメラなどを含む24年度の黒物家電事業の売上高は2840億円を見込む。グループ全体の売上高の3%程度に過ぎず、テレビが主力だった1990年代と比べるとグループ内の位置づけは一変した。
2016年にテレビ向けの液晶パネルの自社生産を終了し、韓国勢などからの調達に切り替えた。テレビ事業見直しの行方は「ビエラ」のブランド力や販売網に対する投資家や提携先候補の評価に左右されそうだ。
早期退職の募集も視野
4日には28年度の調整後営業利益を7500億円以上と、24年度計画より3000億円以上増やす目標も新たに掲げた。
24年度は7%程度を見込む自己資本利益率(ROE)については28年度に10%以上を目指す。
25年度中に各事業の収益を見極めた上で事業の立て直しや売却などを進める。間接・販売部門を中心に進めてきたデジタルトランスフォーメーション(DX)による生産性向上や固定費削減を加速する。
楠見氏は「必要な改革は25年度にやりきる」と話し、25年度までに早期退職を募集する方針を示した。規模などは今後詰める。重点投資領域としてきた電気自動車(EV)電池事業の収益改善にも取り組む。
