フェラーリ CEOベネデット・ビーニャ氏
EVで大きなソフトウェア投資は不要。 水素エンジン開発も
私たちの目標は、2030年に40%をハイブリッド車(HV)にするというもの。ただ顧客の需要は予測できない。 ICEを含めた3種類のパワートレインの製品を提供し続ける。3つのアクションにより30年までのカーボンニュートラルを達成していく。
まず、物流や生産に関する二酸化炭素(CO2)排出をゼロにすること。 次に電動化、最後がリサイクルされた素材を利用し、カーボンフットプリント(製品のライフサイクル全体のCO2排出量)を減らすことだ。
20年以内にeフューエル(水素と炭素の合成燃料)を使うことも視野に入っている。 水素のエネルギー密度はガソリンよりも高いが、水素を保管するため車内にスペースが必要となる。
この先、10年でッフェラーリに水素が使われるようにはならないだろうが、その次の10年では可能性はある。いくつかのパートナーと開発を始めている。(電動化で投資が必要とされる)ソフトウェア大きな投資が必要となるものは自動運転用とパフォーマンス用の2つだが、フェラーリでは前者は必要なく後者は既に持っている。
(EV開発は)ゼロからスタートしたわけでなく、ソフトウェアの開発に対して、さらなる大きな投資は必要ない。 私たちが開発している(パフォーマンス用の)機能では、10年前からレーシング用に開発してきたものを活用している。
今、オペレーシティングシステムを開発しようとしている企業は、そのソフトウェア開発が必要になるが、我々にはその必要がない。 フェラーリは大衆車ではなく、高級車市場用のユニークな車を造る会社だ。 従業員を何万人も抱かえる企業ではないということも忘れてはいけない。
事業転換の段階では、規模が小さいほうが難易度が低い。 フェラーリでうまくいっていることが他の企業でもうまくいくとは限らないし、逆もしかり。 新聞に大きく掲載されている(自動車業界の)課題は他のメーカーに当てはまることだろう。
モータースポーツは私たちにとって3つの理由から非常に大切だ。 1つ目は、開発した技術を後に他の車に利用できること。 2つ目は、商業面・技術面で新たな提携関係を築くのに役立つこと。 米アマゾン・ドット・コムや米クアルコムは新しい提携先だ。 モータースポーツは提携企業と出合う良い媒体なのだ。
3つ目として非常に重要なのが、人材に良い影響を与える点だ。 精密かつ迅速に行動し、細部全てに気を配り、定期的に集中力を発揮しなければならない。 極限的な状況で、チーム一丸となって結果を出すために必要な考えや動作を学べる。
ソフト面で企業全体に大変重要な影響を与えてくれるモータースポーツ事業を持つことは、非常に重要だ。 (談)
(参考)
アニエリ財閥(イタリア)
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/de78a5a45ad3de657bc2f067b4c91ab4