世界大戦の主原因は石油 カリブ海のバルカン化
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からの続き
『1913年10月、重油を燃料とする最初の巡洋艦クイーン・エリザベスが進水したとき、私は祖国のため石油を供給する任務を課せられたことを知りました。最早、考古学などやっておれなくなったのです』
昔、アラビアのロレンスの告白です。ロレンスの学識、土着民に対する異常な親愛、その勇敢な行動と苦心、それはアラビアの砂漠の中から油田を探し出すためであったのです。
近東方面に於ける石油劇の立役者は、決してロレンス大佐のみではありませんでした。もう一人の英国人、それも婦人で考古学者であるガートルード・ベル嬢がいます。 オックスフォード大学で現代史を専攻して優等で卒業した後、カガートル-ド・ベルは近東地方各地を旅行し、東洋語を研究し始めました。
彼女はロレンス大佐と同じく、この語学研究に興味を覚え、困難なアラビア語を自由に操ることができるようになりました。 彼女のようにアラビア語を間違いなく書いたり話したりすることの出来る人は、恐らく世界中で彼女一人であったでしょう。 アラビア語の複数の形が36種類あるという一事を例にとってみても、ベルがいかに苦心したか想像に余ります。
彼女はアラビアを彷徨(ほうこう:さまよい歩く)し、住民の言語や風俗を研究したり、古代の神秘的で美しい廃墟を調査しました。 彼女はバビロンとかニネヴェとか旧約聖書の古都を発掘しました。
そして楔形文字の解読に成功した有名な考古学者ローリンスン大佐の偉大な事業に思いを馳せ、アラビアで知り合ったロレンスのような人が、何故もっと突っ込んだ研究をしないのかを不思議に思い、率直に祖点を質問しました。
その時、ロレンスの答えた言葉が、先に引用した一節です。 このロレンスの答えは、従来学究一点張りであったベルに強い印象を与えました。後に彼女の語学の才能を利用するため、アングロ・ペルシャン(英・イラン)石油会社の官史が協力を求めた時、彼女が快く受諾したのもこの強い印象のためだったのです。
その後、彼女はロレンスと同じく、英国諜報部で働くことになりました。 彼女は数年間考古学や学究的探査を中止して、石油戦に全力を集中しました。この若い乙女は、冒険的なアラビア国内石油探索旅行に参加して考古学に対する以上の熱意を示しました。
彼女は、これまでに旅行した白人で生きて帰ったことのないような危険地帯にも入っていきました。 ガイドを伴い、飲料のソーダ水の瓶を6匹のラクダに積み、彼女は凶暴な土着民の住む禁断の地にまで入っていきました。
その頃、メソポタミアの石油争奪戦は激烈の頂点にありました。英国は以前から地方的には石油採掘権を持っていましたが、土着民の暴動のために安心して開発することができませんでした。
英国のバグダッド占領に任命された統治長官は、わずか数名のアラビア人酋長を手名付けていただけでした。 重要な砂漠の指導者たちには全然関係をつけず、勢力も何もなくて眼中に置く必要のない連中と親しくしていました。
その上、優れた通訳がいないために、こちらの気持ちや要求をうまく相手側に通じることが出来ません。そのために、大規模な暴動の危険にさらされ、一日も安心することが出来ませんでした。
ガートルード・ベル女史はこの難事を解決しました。 彼女はアラビア人酋長を招いて一大饗宴を開いたことがありますが、彼女は40人に余る黒いお客一人一人に、それぞれ違った言語で話しかけ、その地方の事情や意見を聞きました。
彼ら酋長たちは、未だかって、これほどの贅沢な料理を食べたことがありませんでした。そして優しい白人の婦人に自国の言葉で話しかけられたこともありませんでした。 彼らの眼には、この英国婦人が非常に偉い人のように映ったのです。
そして、彼らの気持ちを、英国と協力する方向へ導いていったのは当然です。 遂に彼らはこのガートルード・ベルの提案を受け容れ、ヒジャーズ王フッセンの子、フェイザルをイラク国王に戴くことに賛成しました。
ロレンスはフェイザルの才能を称賛していたし、かつ軍事顧問として常に王の作戦を指導しました。 この若き砂漠の王は、勇敢なベドウィン族を引き連れて戦い、トルコ軍を撃退したのです。
若き砂漠の王は、自国が英国の保護国となることを承認しました。 そして広大な地域にわたるd石油採掘権を認めました。英国が彼に対して積極的な援助を惜しまなかったのは、実にこの石油のためでしかなかった事実に、彼は思い至ったでしょうか。
フェイザルが不審死を遂げる前、彼は国際連盟に加入しました。 そしてイラクは東洋における大英帝国の重要な味方となったのです。 ベルやロレンスがフェイザルのために活躍したのは、アラビア人を愛する為でした。 その愛するアラビア人のためのアラビア建設が目的でした。
アラビアのロレンスは、それをフェイザルと約束しました。 しかし第一次世界大戦後の平和会議は、それを否定しました。 イランは英国の委任統治量となり、保護という好餌の下に手足を縛られていたのです。
そして、その地下資源(石油)は惜しみなく、大英帝国に奪い去られます。アラビアのロレンスが、戦後の論功行賞によって、バス上級勲位をさずけられたとき、固辞して受け取らなかったのは、フェイザルに対しする騎士道的道義心と友情によるものでした。
次の投稿は、石油地帯の傀儡王です。
(参考 本件、石油の話、今までの投稿)
世界大戦の主原因は石油 カリブ海のバルカン化
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世界大戦の主原因は石油 英米 vs ソ連(ロシア)
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第一次世界大戦 本当の主原因は石油
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