日本と欧州連合(EU)の大学院が半導体など先端分野の人材育成で連携する。
文部科学省が今秋をめどに、EUの大学と協力し、修士学生を相互に派遣する国内大学の資金支援を始める。政府は日米間でも学生の交流を促進する。
Uとも手を組み、経済安全保障の要となる高度人材の育成を強化する。
先端分野を巡る研究開発は高度化、複雑化しており、一国のみでは十分な人材育成ができなくなっている。
EUは2023年に中国を念頭に置く対策をまとめ、半導体などのサプライチェーン(供給網)の維持で日本を含む有志国との連携を掲げていた。
経済安保で重要になる先端分野の人材不足は深刻だ。電子情報技術産業協会の推計によると、半導体に関わる人材は今後10年間で国内主要8社だけで少なくとも4万人が追加で必要になる。
世界の半導体市場も拡大を続けており、EUでも人手不足が課題になっている。
EU加盟国には世界大学ランキングで上位に名を連ねるなど教育・研究力の高い大学が多い。日本からの留学生は83%が学部生で、修士(8%)と博士(6%)はわずかだ。
文科省は研究者としての基礎的な力を養う修士段階での留学を増やし、研究力の底上げにつなげる。
具体的には半導体や人工知能(AI)、量子技術、バイオ技術といった分野について、EUの大学の修士課程に留学するプログラムを設ける国内の大学を資金支援する。
EUの大学と協力し、双方で学位を得られる「ダブルディグリー」といった制度を設けることを求める。
海外の大学とダブルディグリーを実施する大学は21年度で217校に上る。文科省は今後、半導体など重要分野での実施校を増やしたい考えだ。
5月に国公私立大を対象に公募し、申請した大学の計画書を同省所管の日本学術振興会が審査する。9月ごろに8件を認定し、28年度まで補助金を出す方針。資金支援は総額で年1億円程度となる見込みだ。
公募に応じる大学には、プログラムの中に渡航前のオンラインを活用した事前学習を組み込むことを要求する。キャリア形成に向けた日本とEUの研究機関や企業でのインターンシップも推奨する。
EUの学生の受け入れも進めるため、言語や生活環境などのサポート体制の整備を求める。学生だけでなく教職員の交流も促す。
日米両政府は米国のトップクラスの大学院で学ぶ日本の理系学生らを対象に奨学金制度を設ける。米国から日本への留学生も支援する方針を表明している。
文科省担当者は「EUの大学との連携強化で留学生をさらに増やし、先端分野を通じた国際競争力の向上を狙いたい」と話している。
日経記事2024.5.03より引用
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日本とEUの間には、1987年に設立された『日欧産業協力センターという組織があり、相互に産業発展のためにお互いの政府にロビー活動出来たり、相互に留学生を受け入れる『Vulcanus(ヴァルカヌス)』というプログラムがあります。
これは、日本とEUの企業が、お互いの学生をインターンとして受け入れ、給料も払って研修してもらう制度で、経産省と欧州委員会から資金援助があります。
ご存じ、ヨーロッパは10年以上前から日本ブームで、欧州から選抜されてくる学生の質は高く、ほとんどの学生がすでに日本語を喋れますので、受け入れ企業は楽です。 決して大企業だけの話でなく、中小企業も約30万円払えば、このメンバーになれます。
これらの学生は欧州に変えると大体偉くなるので、そのまま企業として人脈形成が出るしビジネスにとっても有意義です。 私は一時期、この『欧州産業協力センター』のお世話をしたこともあり、EUのほどんどの国々の大使とは名刺交換し、面識があります。
私の知る限り、最近の欧州の学生は、インターンが終わるとそのまま日本で働きたいという人が多いので、日本側の企業は難なく、欧州の優秀な学生(日本語も堪能)を採用できるで、欧州の支店に勤務させても良し、そのまま日本で働いてもらい欧州とビジネスを繋いでもらうことが出来ます。
また、技術開発・研究職でも彼らは優秀です。
大企業だけでなく、是非中小企業も、このプログラムを利用してグローバル化して欲しいと思います。こんな機会でもないと、欧州のネイティブの学生を採用するなど、ほとんどできませんよ。