建国後の合衆国ー15 女の領域https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b011ff116289118297da861e549bb71a
からの続き
公立学校制度と画一教育
個々の家族の華族戦略が、米国における初等・中等公立学校制度の早期普及を支えたことに間違いはありません。
1837年、ニューイングランドのマサチューセッツ州で、米国近代学校教育制度の父、ホレイス・マンの努力によって、最初の州教育委員会設置法が成立し、公立学校制度の基礎がつくられました。
その後、学校教育制度の普及と共に、オオクノニューイングランドの娘たちが男たちの後を追って、教師として全国各地に散っていきました。
西部のたくましい男と東部からやって来た女の先生との恋物語は、ハリウッドの定番テーマでした。
しかし、一方でアメリカには口やかましくおせっかいをやく人に対する『ニューイングランドの女先生』という痛烈な言葉があります。
この言葉には、ニューイング濫訴人特有の道徳的独善主義に対する他地域の人々の苛立ちが込められていたのですが、同時に学校による道徳教育の押し付けに対する、庶民の手厳しい批判の伝統があります。
実際、米国においても近代的教育制度は、労働民衆の教育要求に沿って生れて来たとは言い難いものがあります。
確かに、労働運動指導者の中からも公立教育制度を求める要求が出てきました。 しかし、その要求は、社会的不平等を是正する手段として主張されました。
他方、現実に教育制度確立を推進した人々は、労働民衆の指定の中にみられる怠惰と飛行を矯正し、勤勉と節約の慣習を確立させようとしていました。
教育改革者マンは、19世紀中頃、各州で猛威を振るったメイン法(禁酒法)の熱烈な支持者でした。
1970年代以降の教育史家の中には、教育改革者たちの真の目的は、労働青年たちの『社会的統制』にあったと主張する人々も少なくありません。
一般に公教育制度は、公的施設の中画一的な規律による人格をつくるという観念はありませんでした。 当時から残虐な閨閥はありましたが、長期間施設に監禁するという懲治監獄制度もありませんでした。
これも19世紀前半に成立し、アメリカがこの制度の先進国になりました。監獄はどこの国にもありましたが、ここでいう懲治監獄制度とは、教育を目的としています。
また、精神病院や救貧院も画一主義的思想に基づいてこの時期に生まれています。 いずれの施設も、かつて家父長的家族やタウン共同体、親方職人、村の聖職者たちが果たしていた機能を代行する者でありました。
これらの施設の規律の形態が、軍隊や工場と酷似していることはよく指摘されます。 少なくとも公立学校制度は、毎日命令に従って集団的に日課を果たす習慣をつけ、工業社会に適応した人材を大量に排出させるシステムでありました。
江戸時代、日本の寺小屋では男女、また年齢も別々の子供たちが手らの大部屋で、強制もされずに自由に遊びながら学んでいる絵画をよく見ます。
日本も、明治時代に欧米から機械文明を輸入し、工業化社会となり、また常備軍も持つようになり、同じく学校教育が画一的、かつ強制的で、毎日定刻通りに会社出勤させるための教育・訓練の場だったのです。
文系の人間が、工場勤務とか嫌がるのも理解できます。 理系の人間でも、そりゃきれいな景色の観光地で自由に楽しみたいですからね。 また、学問は強制されては全く面白くありませんし、興味も持てません。
基本は、自分が興味を持った分野を自主的に調べて(勉強)して学んで行くものだと思います。
そういう意味では、この高度なインターネット社会では、満員電車で無駄なお金と時間を消費せずに、クソ面白くない授業を大人しく聞く必要もなく、オンラインで自由に学べます。
ここに男女、また年齢間の制限もありません。 今の子供たちは学校こそが一番のストレスに場なのです。 また一人一人は良い子ですが、同じ思春期の子供たちが集団行動を強制されるのが、今の日本の学校教育です。
学校で、虐めや精神を病み不登校が起こっても当たり前です。 文科省はこの軍隊のような暴力団社会のような学校の教育システムを、時代に合わせた形で改革することが必要でしょう。
(関連情報)
1. 建国後の合衆国-1 ジャクソン大統領による土地強奪
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e3133076c791bcb68fb784f0fda0aada
2. 建国後の合衆国ー2 メキシコ領土獲得戦争
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b98362c56ee34ea0232ce7abf35a2b18
3. 建国後の合衆国ー3 有料道路建設https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f7732681a17552137e8e825d693d70bc
4. 建国後の合衆国-4 大運河建設ブームhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5a8e291c0bbcae626aa9c16566cf0b1b
5. 建国後の合衆国-5 蒸気ボートhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/36926fea375feebeec7b870a643154c2
6. 建国後の合衆国-6 鉄道時代の開幕https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e41b415af0cde7ab639ced37ea333168
7. 建国後の合衆国ー7 工場制度の出現
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/406176fab1ec1dcdaf117cefbabd0024
8. 建国後の合衆国ー8 世界最初の紡績一貫工場https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/31c7061b6eed00409710025e11d2456e
9. 建国後の合衆国ー9 労働者階級の出現https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/8bdbf78f3133393e6b6bce7fd5f600f7
10. 建国後の合衆国-10 アメリカ労働運動の出現https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e5101f09aaf0bd4a9f80e26db3ad96ad
11. 建国後の合衆国ー11 南部奴隷制社会 綿花王国の形成
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/d6b63441e361c8a771e9185c019a9534
12. 建国後の合衆国ー12 南部奴隷社会 黒人奴隷の文化https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a7fd8a1c3adb08f6e6bec419395a4192
13. 建国後の合衆国ー13 南部奴隷社会 黒人奴隷の家族https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f641aafdfca84d2c422a977033cccfa8
14. 建国後の合衆国ー14 家父長的権威の衰退と近代家族https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/50d8dea63fd8e50975de0d2578a6355b
15. 建国後の合衆国ー15 女の領域https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b011ff116289118297da861e549bb71a
16. 建国後の画集国-16 公立学校制度と画一教育https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e98bed7042483ab28ecfa02272604f84
PS.
・アメリカを正しく認識する 建国までの歴史概略シリーズのまとめhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c92a98cc78bf8a2cff02eab33b4b245b