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米IBMがスカイアーチネットワークス買収、日本市場におけるAWS事業の拡大狙う

2024-05-29 18:58:02 | AI・IT・サイバーセキュリティ・メタバース・NFT・ゲーム、

米IBMは2024年5月29日、Amazon Web Services(AWS)の環境構築などを手掛ける日本企業スカイアーチネットワークスを買収する最終契約を締結したと発表した。

買収金額は非公開だが、IBMによる日本企業の買収は初めてだ。買収により、日本市場におけるAWS事業の拡大を狙う。

 

スカイアーチネットワークスは2001年の設立で、連結従業員数は2024年4月時点で158人。AWSに特化したクラウド構築・運用代行サービスを提供している。

ソフトウエア、メディア・エンターテインメント、流通、金融サービスといった幅広い顧客向けに、運用管理・保守の一部を担う「AWS環境構築」、自動化などにより開発者の生産性を高める「AWS運用監視」や「AWS内製化支援」などを手掛ける。2023年12月期の連結売上高は42億8000万円である。

 

スカイアーチネットワークスはAWSのパートナー企業であり、「AWSマネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム」の認定を受けている。

日本IBMの担当者によると、「AWSインフラのリセール・構築・運用に強いスカイアーチネットワークスと、アプリケーションに強いIBMが組むことで相乗効果を発揮し、包括的なサービス提供ができる。

 

MSPで高い評価を受けているスカイアーチネットワークスが最適と考えた」という。

買収は2024年6月に完了する予定だ。買収完了後、スカイアーチネットワークスは日本IBMの子会社となる。

 

日本IBMのコンサルティング部門におけるAWS専門組織の一員として、顧客企業における基幹システムのモダナイゼーション推進やAWS環境でのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)活用などを支援する。

 

 

日経記事2024.05.29より引用

 

 


理研の戸倉氏とロームの中原氏が語り合う  マルチフェロイックスとSIC/GaNが融合する社会  日経BPスペシャル

2024-05-29 15:52:43 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業

   

現在、日本の研究開発は弱体化傾向にある。日本の研究開発費(2023年)は米国、中国に続く第3位を維持しているものの、その伸び率は低迷しており、さらに論文数では中国、米国、インド、ドイツの後塵(こうじん)を拝しているからだ。

研究成果は、次なるビジネスのタネである。タネがなければ、日本経済は新しいビジネスを生み出せず、ジリ貧に陥る危険性が高くなる。

今後、日本の研究開発はどのような方向に進むべきなのか。理化学研究所(理研) 創発物性科学研究センターの十倉 好紀氏と、ローム 研究開発センターの中原 健氏が議論した。

 

 

多岐な研究開発のテーマをどう選ぶか

——研究開発のテーマは多種多様。難易度は低いが高い確度で成果が得られるテーマもあれば、難易度が高く成功率が低いが成果を得られればインパクトが極めて大きいテーマもある。大学や公的研究機関はどちらの研究テーマを選ぶべきなのか。

 


国立研究開発法人 理化学研究所
創発物性科学研究センター
センター長
工学博士
十倉 好紀 氏

 

 

十倉氏(以下、十倉) 

そもそも最初から壮大な研究テーマを考えて、それにチャレンジしたとしてもほとんどはうまくいきません。研究の始まりは「こういうことを実現したい」という研究者の小さな思いです。

私は、「マルチフェロイックス」という分野で研究をしています。一般にコイル中で磁石を動かすと電磁誘導が発生し、電気と磁気が変化します。

このときコイルに電流を流さずに電界だけで磁石を作れれば、わずかなエネルギーしかいらない。この現象を電気磁気効果と呼びます。

一般的な電磁気学とは異なる新しい現象です。これを実現させたい。その思いから研究に着手しました。

 

しかも当初は効果が小さくても、低温でも構わないので、原理的に新しいものを見つけることを目指しました。

そうして研究テーマを少しずつ大きくしていく。例えば、温度を高くして室温でも起きるようにしたり、効果を1000倍、1万倍と徐々に大きくしたりしていくわけです。

研究テーマは徐々に大きくなります。しかし、すべて順調に進むとは限らない。途中で挫折することも少なくありません。

 

 

中原氏(以下、中原) 

十倉先生は、思い通り研究が進まなくなった場合はどうされるんですか。

 

十倉 

そのときは、あきらめます(笑)。私たちが相手にしているのは自然。挫折したのは、努力が足らないのではなく、「できること、できないこと」を自然が決めているからです。

様々な手を尽くして解決できなかったら、それはしょせん無理なのです。もちろん違う戦略を考えたりしますが、ある程度挑戦して打開できなかったらあきらめます。

 

中原 

研究を始めるきっかけになるタネは、どうやって見つけていますか。

 

 

十倉 

やはり、無から有は生じません。どこかにタネはあります。例えば、マルチフェロイックスの分野であれば、「電流を流さずに電界だけで磁石を作ること」がみんなの夢でした。

私はもともと物理が専門で、高温超電導体や磁性体などを研究していた経験があります。そうした背景から常々、「固体の中で電気と磁気がどう絡み合えば、この夢を実現できるのか」と考えていました。

すると、あるとき「この方法だったら実現できるのでは」というアイデアが浮かびます。この妄想を試すわけです。

 
 
 

小さく始めて大きく育てる


十倉
 

一方で、エンジニアリングの王道として「バックキャスティング」と呼ぶ手法があります。

これは、産業界で必要とされるデバイスを目標として、それを実現するために未来から現在にさかのぼって道筋を記述し、現在から少しずつたどっていく手法です。しかし、研究ではこの手法は採れません。

研究はとても新しいことを対象にするため、未来から現在への道筋が描けないからです。むしろ研究では、現在の研究成果の延長線上で未来を予測して次の目標を決める「フォワードキャスティング」の手法で進める必要があります。

フォワードキャスティングを採った場合は、目の前にある小さなバリアーをいかに超えるかが課題になります。

私は、この課題解決のために「揺らぎ」を大切にしています。寄り道をしたり、人の話をボーッとして聞いたり、会議をしたりしたときに解決策が急に頭に浮かぶことがある。これが揺らぎの効果です。

だから中原さんが、「こんなことが実現できたら面白いよね」と話してくれたりすると、それが揺らぎとなり、新しいアイデアを思い付いたりします。

 

 


ローム株式会社
研究開発センター
統括部長・フェロー
博士(理学)
中原 健 氏

 

 

中原 

分かります。揺らぎによってアイデアが頭に浮かぶのは、普段からどこに向かうのか、何を実現したいのかという問題意識を常に持っているからですよね。



十倉
 

はい、私の問題意識は「ドミノ倒しみたいなことを実現させたい」ということです。

ドミノ倒しとは、最初にわずかな力を加えただけで、最終的に爆弾が「ボン」と爆発するような現象です。

例えば、超電導は当初、温度が10K(ケルビン)や20Kといった超低温でしか現象が確認できなかったのですが、現在では室温(135K程度)で確認できるようになりました。

このように物理現象の応答を巨大化することを、電気と磁気の相互作用で実現させたい。これはいつも頭の中に置いています。

恐らく、研究者であれば、従来に比べて応答や物性が桁違いに大きい新しい原理を見つけたいと思っているはずです。

しかし、最初から2桁大きい応答や物性を見つけようとしても、なかなかうまくいかない。とにかく、小さな応答や物性を見つけることから始めないといけません。

 

 

——やはり大学や公的研究機関では、難易度が高い研究テーマを選ぶべきなのか。

 

十倉 

もちろん大学の研究も様々です。企業と同様に、バックキャスティングの手法でデバイスの性能を少しずつ高めていく研究も必要でしょう。

その対極にいるのが夢を追求する研究テーマになります。成果が出なければお金にならず、研究費がなくなります。

そのリスクは大いにありますが、大学では夢を追いかける研究も「アリ」だと思います。

 

中原 

現在、そうした夢を追求する基礎研究テーマは増えているのですか。

 

十倉 

今は基礎研究の元気がなくなっていて、投資額も減っています。

このため基礎研究でも2年先、5年先の産業応用を目指せと言われるようになってきました。

ただし現代は、リニアモデルが成立していた50年前とはまったく異なります。基礎研究と産業応用の乖離(かいり)がどんどん進んでいます。基礎研究の成果がそのまま社会実装されるケースは少なくなっています。

 

「選択と集中」は正しいとは限らない

——企業は、大学に対してどのような研究テーマに取り組んでほしいのか。

 

中原 

大学の研究は、多様性があってほしい。そう願っています。

親が病気で、それを治したいから医者になる人がいます。そういう人は病気の原因を原理から追究する研究よりも患者を治す医者を目指すでしょう。

一方で、十倉先生のように物理を原理から変えて、「21世紀の物理」を構築したいという研究者もいます。この幅の広さが大学の魅力です。

 

十倉 

中原さんは、大学や公的研究機関における基礎研究の現状についてどう見ていますか。

 

中原 

少し「役立つ」を意識し過ぎでは、と思っています。大学の研究は、「選択と集中」をしたらダメだと思います。多様性を失うからです。

選択が正しければ集中した方がいいですが、この山を取ったら確実にもうかるなんて、誰が分かるのでしょうか。

例えば、現在の効率が60%のデバイスを80%に高める。こういった具体的な目標があれば選択と集中が可能ですが、何でも具体的な目標を設定すべきかについては疑問が残ります

。例えば、現在話題の量子コンピューターですが、「量子コンピューターはこうあるべき」と先に決めてしまうと、異なる方法が優勢になったときに対応できなくなります。あえて具体的な目標を定めない方がよいものもあると思います。

 

十倉 

私たちの研究では、失敗をネタにして次に進めるというケースが多いですね。もっと広い立場で言えば、学術的には様々な原理があり、その中にはとても役に立ちそうにないものもあります。

しかし、それらにも価値がある。研究テーマを変えて次の山を狙いに行くとき、研究コミュニティーに財産が残っていれば、それを生かすことができるからです。

 

中原 

個人的な経験で言えば、私は、失敗したときの方が役に立っている気がします。

成功すると「あー、良かった」で終わりますが、失敗すると「どうしてああなってしまったんだ」と反省し、そして「次は同じ失敗を繰り返さないように戦略を立てよう」、というふうに、もっと深く考えるからです。

だから「失敗」という言葉はよくない。想定通りでなかっただけであり、挑戦したことは別の機会で必ず生きてきます。

 

 

研究において「失敗」はない

——研究における成功と失敗は、どのように定義しているのか。


十倉
 

私の研究室で修士号を取得した後にデバイスメーカーに就職した学生がいます。彼は就職後も研究室を度々訪問してくれて、当時開発に携わっていた青色LED(発光ダイオード)を見せに来ました。その青色LEDは、II-VI族半導体のZnSe(セレン化亜鉛)を材料に使ったものでしっかりと光っていました。

一方で、中原さんは同じII-VI族半導体のZnO(酸化亜鉛)を使った紫外光のLEDを開発されていましたよね。

どちらも実用化という意味では、III-V族半導体のGaN(窒化ガリウム)材料の後塵を拝してしまった。もちろん、今だからGaNが正解だったと言えますが、当時はZnSeにもZnOにもチャンスがあると考えられており、どの材料が勝者になるか分からなかったですよね。

 

中原 

誰も確実な答えは持っていなかったですね。

 

十倉 

GaNは窒化物(ナイトライド)だから扱いにくそうなのは直感的に分かりますが、一方でZnOは酸化物(オキサイド)なのでp型半導体を作るのが難しそうです。それでも、どうしてZnOを選択したのですか。


中原
 

理由はとても単純で、GaNが特許紛争を抱えていたからです。当社はLEDと半導体レーザーを製品化しており、1998年ごろにBlu-ray Disc(ブルーレイディスク)に向けた青色半導体レーザーを開発しようということになりました。

その当時、すでにGaNを使った青色LEDは実用化されており、特許紛争が話題になっていました。もちろん当社の事業部門としてはGaNを追究した方が技術的に確実でしたが、特許問題で販売できなくなるリスクがある。

そうしているうちに、当時の社長である佐藤研一郎が、「光る原理が変わらないなら、別の材料でも可能なんじゃないか?」と言い出しました。そこで、当時東京工業大学におられた川﨑雅司先生(現東京大学教授)が「ZnOは大変発光効率が高い」という論文を発表されていたため、チャレンジしようということになりました。

 

十倉 

産業界では、II-VI族半導体を使った光デバイスはすべて失敗に終わりましたが、その開発で得たものは現在何かに役立っていますか。

 

中原 

残念ながら直接的なものはありません(笑)。ただ、川﨑教授が引き取ってくれて研究を継続されています。私が作った成膜装置は太平洋を渡り、現在は米国の研究機関で2次元電子ガスという物性研究に使われています。

 

十倉 

2次元電子ガスに関する知見は、「分数量子ホール効果」の研究に役立っています。

分数量子ホール効果は量子ホール効果の1つであり、その研究成果に対してはノーベル賞が贈られています。分数量子ホール効果における偶数分母状態は、量子コンピューターで活用できると期待されています。

 

中原 

ZnOの開発で得たものはあります。研究における成功か失敗かは、軸の取り方の問題だということです。「お金がもうかる」という軸であればZnOの研究は失敗です。しかし、「勉強になった」という軸であれば、決して失敗ではありません。

 

十倉 

価値の軸が1つだけならば、成功か失敗かになってしまいます。しかし、やることをやってダメだったら、それは仕方のないことです。自然が決めたことだから。もちろん、見通しが甘かったかもしれないが、失敗ではない。むしろ私たちにとっては、次に進むきっかけになるし、少なくともガッカリするようなことではないと思います。

 

 

Si文明は特殊だった

——1990年代に隆盛を極めたエレクトロニクス企業の中央研究所は、今や見る影もない。この中央研究所の栄枯盛衰から学べることは何か。

 

中原 

企業の研究開発は、ユーザーにお金を払っていただける商品をどうやって生み出すのかに集中すべきだと考えています。

従って、研究者の興味だけでテーマを選ぶべきではない、というのが私の意見です。別の言い方をすれば、企業の研究開発はテクノロジードリブンに寄りすぎず、マーケットドリブン、もしくはデマンドドリブンであるべきです。

 

十倉 

19世紀の終わりに電磁気学が完成しました。19世紀における最大の科学的・技術的な成果は電磁気学による発電機だったと言えるでしょう。

その後、第2次世界大戦後にpn接合が完成し、半導体デバイスが誕生。半導体デバイスは、花が開いてからわずか30〜40年後にあれほどまで大きな産業に発展しました。それは人類史上、まれに見る事態と言えます。

私たちは、完全に変な時代に生きていました。Si(ケイ素)文明は特殊だったのです。

とても変化が激しかったため、研究開発の価値観や、その価値を深掘りする企業の戦略がそれとともに変わるのは仕方ないことだったと思います。そのため中央研究所は突然役割を終えた。事実、日本だけでなく、米国でも同様の動きがありました。

企業で取り組まれていた基礎研究は、現在そのほとんどが大学などに移っています。しかし、大学はそれほどコヒーレントではない。

つまり目標に向けて、みんなで力を合わせてワーッと取り組む馬力もなければ、投資力もありません。このため基礎研究所の役割を十分に果たしているとは言い難い。それでは、どうすればいいのか。今、その答えは持ち合わせていません。

 

——中央研究所が廃れていく中で、ロームは研究開発に力を入れておりSiC(炭化ケイ素)パワー半導体という成功事例を生み出した。成功した理由は何か。

 

中原 

1つは、基本的にSiでは勝てないという自覚があったからだと思います。要は、微細化は追わないということです。

微細化を進めれば進めるほど、製造に対する投資額は桁違いに増えていくので、当社の体力ではついていけません。

そうした自覚があったため、Si以外に目が行ったのは自然な流れだったと思います。ただ、なぜSiCパワー半導体はうまくいったのか。それを説明するのはとても難しい。

個人的な意見ですが、うまくいっているものにはたいてい偶然の幸運があります。SiCはたまたま筋が良かった。

トランジスタの基本構成はMOSFETであり、ゲート絶縁膜を使いますが、化合物半導体はこれまでゲート絶縁膜を作ることができなかった。

ところが、SiCだけはMOSFETを実現できる程度にゲート絶縁膜が形成できた。十倉先生の言葉を借りれば、「自然がそう決めていたもの」を京都大学の松波弘之先生が長年かけて掘り起こし、そのおかげでロームが——多くの努力は必要でしたが——成功の糸口をつかめた、ということだと思います。 

GaNも同じです。GaNという材料がすごい。GaNを使った青色LEDを作製した研究者もきっと驚いたはずです。「なんで、こんなに光るんだ」と。

 

十倉 

なぜGaN研究にも力を入れ始めたのですか。

 

中原 

理由は2つあります。1つは、SiCパワー半導体と同じく、Siでは勝てないという自覚があったから、もう1つは、電子移動度が圧倒的に高いこと。スピードが全然違う。この特徴はパワー用途にとって良いことがいくつもあります。

 

十倉 

GaNパワー半導体って、そんなにスイッチングが速いんですか。

 

中原 

圧倒的に速いですね。ただ、速すぎるとハンドリングが難しくなります。

そこでゲートドライバーICなどとの組み合わせが重要になってきます。そういう意味では、当社はIC事業も手掛けているので、それが生きると考えています。

 

 

新物理学が切り開くパワーエレクトロニクスの革新

——十倉教授が現在取り組んでいる研究とはどのようなものか。

 

十倉 

現在私は、ファラデーの電磁誘導を物質中の磁化と電気分極を使って実現しようとしています。つまり、固体中の電子を使って電磁誘導を起こそうとしています。

これを実現できれば、固体だけでインダクターを実現できるようになります。

現状のインダクターは、そのインダクタンス値がコイルの断面積に比例します。従って、その値を高めようとすると、どうしても断面積が大きくなり小型化できない。

しかし固体中の電磁誘導を利用すれば、物質を小さく切り出すだけでインダクターを実現できるので、大幅な小型化が可能になります。

 

原理は簡単です。固体中にコイルは巻けないので、電子のスピンを使ってコイルを模擬します。電子のスピンは約2nm(ナノメートル)間隔、つまり電子の大きさの数倍の間隔です。

ここに電流を流すと電子は風車のように回転する。すると傾いた電界ができるので、最初に流れていた電流の位相に比べて遅れた電流が発生します。つまりインダクターと同じ現象が起きるわけです。

もちろん実用化に向けては、様々な課題が残っています。しかし、集束イオンビーム(FIB)装置を使ってμm(マイクロメートル)オーダーの物質を切り出して、そこに電流を流す実験で電磁誘導効果が現れることを確認済みです。

 

中原 

電源回路にはインダクターが必要不可欠です。インダクターは電流が変化することで機能するデバイスですが、電流変化が速すぎる(高周波化)と機能しなくなります。

GaNパワー半導体を使えば、高周波スイッチングが可能になりますが、インダクターの高周波特性が十分ではないため、それが高周波化を阻害する要因になっています。

例えるなら、高性能なエンジンを積んでいるがタイヤは従来通りの自動車です。走らせたらバーストしてしまうので、ゆっくり走らざるを得ない。

それが現在のGaNパワー半導体を使った電源回路が置かれた状況です。このインダクターの研究開発は、材料に関する課題が多いため、十倉先生に相談しました。

 

——今後、高周波特性に優れたインダクターの研究はどのように進めていくのか。すでに共同開発に取り組んでいるのか。

 

十倉 

まだその段階ではありません。ロームさんに興味を持ってもらうところまで、私たちの研究レベルが高まっていないからです。

インダクターへの応用には、どの物質が最適なのか。それさえもまだ分かっておらず、現在は様々な原理を探っているところです。

 

中原 十倉先生のように、新しい学問分野に挑戦する。これが大学における研究の価値だと思います。大学に多様性がなかったら、固体中の電磁誘導現象を発見できなかったら、磁石を強くすることしか考えていなかったら…。GaNパワー半導体を使った電源回路に適したインダクターを実現するきっかけさえもつかめていなかったでしょう。

企業がリスクテイクできる幅は経済合理性で決まるので、大学よりは狭くなります。その幅を広げるため、大学や公的研究機関には様々なテーマにチャレンジしてもらいたいですね。

 

十倉 

もちろん大学や公的研究機関は、様々なテーマにチャレンジしなければなりません。私も、固体中の電磁誘導効果に基づくインダクターの実用化にまい進する考えです。その一方で、企業における研究開発も極めて重要です。

SiCについて言えば、自然が与えたギフテッドの要素があったにせよ、ロームが基礎技術を1つずつ積み重ね、長期間にわたって研究開発に取り組んだからこそ、現在のSiCパワーMOSFET市場の拡大があります。

次は、GaNパワー半導体の番です。中原さんは青色半導体レーザーの開発では成功者になれなかった。

しかし、その研究開発の過程で培った成果は、今や量子コンピューターの分野で花開こうとしています。ぜひ、その方法論をGaNの分野に持ち込んで、GaNパワー半導体を成功へと導いてほしい。

私は、高周波動作に対応したインダクターの研究開発で中原さんをサポートしていきたいと思います。

 

 

END

 

 

日経BPスペシャルより引用

 

 

 


シャープが再崩壊、「経営理念」と「現実的な戦略」でブレ

2024-05-29 14:59:21 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業

2024年5月14日、シャープは、テレビ向け液晶パネルの生産から撤退することを明らかにした。

同日発表した2024年3月期の連結最終損益は1499億円の赤字だった。

 

シャープは債務超過に陥り、2016年に台湾企業の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った。

その鴻海から派遣された戴正呉社長が、シャープ再建を成し遂げた。しかし、鴻海傘下に入って8年、初めて自己資本比率が10%未満にまで落ち込んだ。

 

このシャープの苦境に対する分析として、「テレビ向け液晶事業からの撤退が遅すぎた」「商品開発が悪い」「堺工場運営会社の子会社化が主因だ」など、様々な声がある。

しかし、いずれも後出しジャンケンのような論評に感じられる。

 

筆者は、シャープで、液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年間携わった。

その後、大学に移り、「技術経営(MOT)」を教育・研究した。研究テーマとして、シャープの事例を中心に、液晶産業、太陽電池産業などを選び、立命館大学から博士号(技術経営)を得た。この現場経験と技術経営の視点から、シャープ再崩壊を読み解いてみたい。

 

 

シャープ崩壊の窮地を救った戴元社長

そもそも、第10世代と呼ぶ大型液晶を生産するシャープの堺工場(大阪府堺市)は、最新世代のパネルをいち早く生産することで競争に勝つことができた亀山工場(三重県亀山市)の成功体験を基に建設された。

この堺工場への過剰投資が債務超過につながった。これが最初のシャープ崩壊の原因だ。

 

政府系ファンドの産業革新機構と経営権争奪戦の末、最終的にシャープの筆頭株主となったのが鴻海だった。そしてシャープを再建させた。

 この陣頭指揮を執ったのが鴻海から派遣された戴正呉氏だ。筆者は2018年に当時社長の戴氏から招かれ、シャープ本社で面談したことがある。その時に、戴氏が話した言葉は忘れられない。

 

「正式に社長に就任してから2カ月で黒字になりました。前の経営者がなぜ黒字にできなかったのか? 今でも分かりません」

 筆者は戴氏との面談から、その人柄は「清貧」で、経営に「創業者である早川徳次氏の精神」を取り戻そうとしていることを実感した。戴氏が発揮した「日本型リーダーシップ」が、シャープ再建の主因であると考えている。

 

戴氏の人柄や経営方針を象徴的に物語るエピソードを、社長室長(当時)の橋本仁宏氏から聞いたことがある。

「戴社長は、シャープの社員寮に住まわれています。

 

以前の旧本社近くの寮は、風呂・トイレが共同でした。堺工場に新しい寮『誠意館』が建設されてからは、この社員寮に移られました。新しい寮は個室に風呂・トイレが付いていますが、社員と同じ環境です」(橋本氏)

「戴社長は経費削減のため、本社を堺工場内に移転されました。この移転時に、創業者の早川徳次氏の銅像を旧本社から移設されました。

 

戴社長は、出勤時に、早川徳次氏の銅像に一礼するのを欠かされませんでした。シャープ社員でも、ここまでする人はいません」(橋本氏)

 筆者が1971年4月にシャープに入社した時、創業者である早川氏の訓示を聞いた。早川氏は「他社がまねしてくれる商品をつくれ」と語り、独創性を何より重んじた。戴氏は早川氏の考え方を継承しようとしていた。

 

 

 

戴氏の陣頭指揮の下、驚異的な黒字回復を果たし、かつての創業時の精神を取り戻したはずのシャープ。それがなぜ再び大幅赤字に陥ったのか。

 

 

戴元社長がJDI救済で見せた現実経営

 戴氏の社長在任時、シャープ以外の液晶メーカーは既にジャパンディスプレイ(JDI)に統合されていたが、赤字が続き窮地に陥っていた。

 筆者はシャープの株主でもあり、たびたび株主総会に出席している。

 

2019年6月25日開催のシャープ株主総会に続いて行われた経営説明会で質問に立ち、シャープ会長兼社長(当時)の戴氏にJDIへの支援を求めた。戴氏からの回答は大きく2つの趣旨にまとめることができた。

  1つは「日本の国と社会に同じ意識があれば援助したい」、もう1つは「日本のような大きな国で、シャープとJDIの2社のディスプレーの会社が生き残れないのはおかしい」というものだった。

 

つまり、日本の政府や国民の間で、シャープがJDIを救済すべきだという機運が高まれば援助する可能性はあるものの、合併などは考えていないということだ。

その後、シャープのJDI救済は、思わぬ形で実現した。JDIの白山工場(石川県白山市)の買収である。

 

同工場は、JDIが米Apple(アップル)からの借金で建設したiPhone用液晶パネル工場だ。

その後、アップルがiPhone用ディスプレーの主力を液晶から有機ELに転換したために、JDIの経営にとって白山工場は重荷になっていた。

 

戴氏は、白山工場の買収について、自著『シャープ 再生への道』(日本経済新聞出版)で次のように述べている。

「悩んだ末に買収を決断した。(中略)いわゆる『残存者利益』を狙う戦略が成立する経営環境にある」

 

しかし、この買収は経営戦略のブレだ。シャープ創業者の「経営理念」に沿えば、「残存者利益」を狙う経営戦略はあり得ない。独自性のある商品を開発して「先行者利益」を得る戦略が中心である。

経営には、「経営戦略」をつくる前に「経営理念」と「ビジョン」が必要だ。経営理念とは、企業活動に対する普遍的な価値観を示す。

 

ビジョンは、企業が数年の目標と達成時期を設定したものである。経営戦略は、ビジョンを実現するための具体的な道筋を示すものだ。

経営理念と“現実的な”経営戦略にギャップが生じることはままある。

 

ただし、経営理念は経営が戦略を立案する上でのよりどころであり、そこから外れたことをしてしまうと、結果として、力の入れどころが曖昧になり、進む方向を見失う。

このJDI救済は、戴氏の経営が経営理念から現実的な経営戦略に揺れた分岐点の1つだったといえる。

 

 

人材育成戦略でも生じるブレ

シャープは2022年5月11日に、呉柏勲氏が社長に就任すると発表し、当時会長だった戴氏は取締役からも退任する。

戴氏は、2018年に会長兼社長となり、後継者にはシャープ生え抜きの野村勝明氏を選んだ。しかし戴氏は、野村氏を2年で退任させ、最終的に鴻海出身者を選んだ。戴氏は、先に述べた筆者との面談でも次のように述べていた。

 

「鴻海からシャープの組織に入るのは私1人としました」(戴氏)

しかし、経営陣に鴻海出身者が増え、社長もまた鴻海出身者となった。人材育成戦略にもブレが見え始めた。

 

 

戴元社長の置き土産と再崩壊の原因

シャープは2022年6月27日に、堺工場の運営会社「堺ディスプレイプロダクト(SDP)」を完全子会社化した。

赤字を覚悟で完全子会社化したのは、当時社長の戴氏の決断である。

 

戴氏は前述の『シャープ 再生への道』の中で、SDPを完全子会社化した狙いについて、「液晶パネルの安定調達」と「技術の優位性の維持」としている。

「完全子会社にした方がシャープの将来のためになるとの結論に至った」「日本に液晶パネル産業を残したい。(中略)『日の丸液晶2.0』の動きが出てくることに期待したい」と述べている。

 

SDPの完全子会社化は、戴氏が現実的な経営戦略から経営理念に揺れ戻った置き土産なのである。ここまで見てきたように、シャープ再崩壊の原因は、経営が経営理念と現実的な経営戦略の間で揺れ動いたことと考えている。

経営理念か、現実的な経営か。つまり、「シャープ流」か「鴻海流」かの間で、経営が揺れたのだ。

 

 

シャープ再崩壊への対応と今後取るべき戦略

シャープ社長の呉氏は2024年3月期の決算報告会において、「鴻海と資本的な協力を検討する」との方針を示した。

また、2024年秋に堺工場を操業停止し、データセンターへの転用を目指すと発表した。

 

経営危機にあるシャープをスタート地点に戻すには、まずは現実的な「経営戦略」が重要で、鴻海からの出資は必要であろう。

しかし鴻海流が過ぎると、縮小均衡で衰退する恐れが強い。

 

最近注目されている経営理論に「両利きの経営」がある。企業活動において「深化」と「探索」のバランスを取る考え方だ。

深化は、深掘りし、磨きこんでいく活動だ。探索は、新しい範囲に認知を広げていく活動で、新しいアイデアにつながる。

 

鴻海の経営方針は深化に偏っているが、探索とのバランスを取る必要がある。

つまり、シャープ流の経営理念を、どのようにして加味していけるかが、今後のポイントとなる。鴻海の支配力が強まるのは仕方がないが、経営陣の中に、経営理念を基にアドバイスできる人材を加えることが1つの対応だ。

 

また、探索として、今後、JDIとの提携も検討すべきだ。JDIの経営は好転する様子を見せず、2024年3月期に10年連続の連結最終赤字を計上した。

しかし、両社が逆境にある今こそ提携のチャンスだ。シャープは小型液晶の生産ラインを維持し、その工場で有機ELの駆動用TFT基板(バックプレーン)を生産して、当時世界最軽量の有機ELスマホを生産した実績がある。

 

有機EL部分は、JDIが「eLEAP」と呼ぶ次世代技術を持っている。シャープとJDIの提携は、相互の強みを生かし、独自性を生み出す糧となるはずだ。

 

中田 行彦(なかた ゆきひこ)
立命館アジア太平洋大学 名誉教授

神戸大学大学院卒業後、シャープに入社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間3年間、米国のシャープアメリカ研究所など米国勤務。

2004年から立命館アジア太平洋大学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10月から2010年3月まで、米国スタンフォード大学客員教授。2015年7月から2018年6月まで、日本MOT学会企画委員長。

2017年から立命館アジア太平洋大学 名誉教授・客員教授。2020年から名古屋商科大学非常勤講師。共創イノベーションズ代表。京都在住。
 
 
 
日経記事2024.05.27より引用
 
 
 

鴻海との提携から12年のシャープの現在地、特許が示すディスプレー事業の苦境

2024-05-29 09:36:06 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業

テレビ向け液晶パネル生産からの撤退を決めたシャープは、2024年5月14日に2023年度決算を発表した。

親会社の当期損益として約1500億円の損失を計上。2年連続の巨額の赤字となった。

営業損益段階での赤字に加え、中・小型ディスプレー事業に関わる減損損失を特別損失として計上した結果、当期損益が大幅な赤字に陥った。

 

シャープの業績推移

 

当期損益が2年連続で大幅な赤字に陥ったのは2015年度以来。シャープはこの赤字発表と併せて、(1)堺工場における大型ディスプレー事業の生産の停止(2024年9月)、②亀山第2工場及び三重第3工場の縮小による生産能力の縮小や人員適正化などの経営再建策を打ち出した。さらに、中・小型ディスプレー事業は他社との協業を検討すると発表した。

 シャープは2000年代前半には液晶の生産などで事業を急拡大させたが、2000年代後半から韓国・台湾企業との価格競争が激化し、一気に業績が悪化した。

 

2011年度の大幅な赤字計上によって台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業(以下、鴻海)との業務提携に合意し、堺工場の液晶パネル、モジュール事業を同社と共同運営する形をとってコスト削減に努めた。

だが、業績の悪化により資金調達が限界に達した。また、再び業績の悪化もあって2016年3月に鴻海への第三者割当増資を行い、同社の子会社となった。

 

その後、資金繰りの懸念は解消したものの、2016年以降、売上高の伸びは緩やかなものにとどまっている。そして、2022年度、2023年度と2年連続で巨額の赤字を計上するに至った。

 

足を引っ張ったのはまたしてもディスプレー

 今回の赤字の原因となったのは、過去の事例と同じくディスプレーデバイスの採算悪化だ。

この部門は液晶パネルの生産などを行っており、好調な時は全社売上高の3分の1を占める稼ぎ頭だ。ところが、パソコンやタブレット端末市況の回復の遅れや、スマートフォン向けパネルの需要が低迷するなどして、中・小型ディスプレーの販売数量も販売価格も落ち込み、大幅な減益となったのだ。

 

中・小型ディスプレーは韓国や台湾企業なども巨額の赤字を繰り返しており、体力勝負の様相を呈している。体力面で劣るシャープがこれら大手としのぎを削っていくことはかなり厳しいといえる。


シャープのデバイス事業の営業損益の推移

 

業績悪化に起因する研究開発力の弱体化が顕著

こうした業績の悪化は全社的な研究開発力の弱体化を招いている。

シャープの研究開発費は2010年度からほぼ一貫して減少を続けており、2024年度の予定である850億円は2010年度実績1739億円の半分以下だ。

 

また売上高R&D(研究開発費)比率で見ても、2010〜2012年度には約6%だったものが、2023年度実績では3%と半分にまで低下している。

シャープが属する電機業界は、価格競争が厳しい中でも最先端の技術レベルが求められる領域であり、シャープの現状では相対的な地位低下は避けられないであろう。

 

シャープの研究開発費及びR&D比率の推移

 

最後に特許の状況を見てみよう。

特許出願件数は2012年をピークに減少に転じ、それ以降も減少傾向が続いている。2013年の落ち込みは当時の業績悪化を受けてのことであろうと推測できるが、それ以降の減少はシャープの研究開発に対する姿勢そのものの変化と言わざるを得ないだろう。

 

 

シャープの特許出願件数(国内)

 

2012年の鴻海との業務提携以降、シャープにとって研究開発の重要性は相対的に低下する一方で、生産拠点としてコスト重視の価格競争力強化が期待されたのであろう。

そうした中で、開発競争や価格競争が極めて厳しいディスプレー事業をビジネスの中軸として継続したことが、今回の巨額の赤字につながったといえる。

 

シャープは、今回の決算を踏まえ、ディスプレーデバイス事業において他社との協業や生産体制の適正化を目指すとしているが、まだ間に合うのかという次元の問題である。

最終的にはこの事業自体の切り離しも含めて検討を行っていると推測される。

 

三浦 毅司(みうら たかし )
三浦 毅司(みうら たかし )
日本知財総合研究所 代表取締役


都市銀行、格付け機関、外資系投資銀行においてアナリストやストラテジストとして企業分析、市場分析を担当。
 
その後、特許事務所からアナリスト目線での知財情報発信を始めた。
 
企業が持つ技術について客観的かつ相対的、さらに事業化の観点も加えた評価を行っている。
 
 
 
 
日系記事2024.05.22より引用
 
 

米連邦最高裁の判事宅に逆さ国旗、トランプ氏支持か 中立性に疑念

2024-05-29 08:29:25 | トランプ政権


米最高裁のサミュエル・アリート判事=2021年4月23日、ロイター

 

米連邦最高裁のサミュエル・アリート判事の自宅や別荘に、2020年大統領選に不正があったと主張するトランプ前大統領の支持者らが抗議活動で使っていた旗が掲げられていたと米メディアが報じ、波紋が広がっている。

最高裁は21年1月に起きた支持者らによる連邦議会襲撃事件で、大統領としての免責特権がトランプ氏に適用されるのかなどを審理している。中立性が疑われかねず、民主党の議員らは審理から外れるよう求めている。

 

発端は、米紙ニューヨーク・タイムズの16日の報道だ。南部バージニア州にあるアリート氏の自宅庭に21年1月17日、上下逆さまの米国旗が掲げられていたことを、近所の住民が撮影していた写真と証言で報じた。

議会襲撃事件の11日後で、バイデン大統領の就任式の3日前のことだった。

 

米国では、生命、財産に極度の危険が及ぶような切迫した事態の合図として用いる場合を除き、国旗を逆さまに掲揚すべきではないとされている。

平時に逆さまに掲揚する場合は抗議の意味合いが込められていることが多く、20年大統領選の敗北を認めないトランプ氏の支持者らも逆さまに掲げていた。

 

 


米連邦議会議事堂の入り口に集まったトランプ氏の支持者ら=2021年1月6日、ロイター

 

アリート氏は同紙に対し、隣人への抗議のために妻が掲げたものだと説明し、掲揚への関与を否定した。

しかし、民主党の下院議員45人は21日にアリート氏に書簡を送り、本人が関与していなかったとしても、大統領選の結果を覆そうとしていた活動家らが抗議の象徴として使っていた逆さまの国旗を掲揚することは「不適切な政治的偏見」や「利益相反」の印象を与えるとして、事件に関する審理からは外れるよう求めた。

 

アリート氏については、松の木と「天への訴え」という文言が書かれた旗が東部ニュージャージー州にある別荘の外に23年7月と9月に掲げられていたことも同紙が22日に報じた。

独立戦争中に使用された旗で、反抗のメッセージが込められているという。これも事件の際にトランプ氏の支持者らが掲げていた旗の一つだ。

 

 最高裁判事は9人で構成され、現在は保守派がアリート氏を含めて6人、リベラル派が3人。

昨年、保守派のクラレンス・トーマス判事が高額な接待を受けていた疑惑などが報じられ、批判を受けた最高裁は判事に関する初めての行動規範を策定した。行動規範には、政治的活動や特定候補者を公に支持、または反対することなどはすべきでないと明記されているが、拘束力はない。【ワシントン西田進一郎】

 

 最高裁判事は9人で構成され、現在は保守派がアリート氏を含めて6人、リベラル派が3人。昨年、保守派のクラレンス・トーマス判事が高額な接待を受けていた疑惑などが報じられ、批判を受けた最高裁は判事に関する初めての行動規範を策定した。

行動規範には、政治的活動や特定候補者を公に支持、または反対することなどはすべきでないと明記されているが、拘束力はない。【ワシントン西田進一郎】

 

 

毎日新聞/yahooニュース記事2024.05.24より引用

 

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(参考)

・「トランプは独裁者のカモになる!」トランプの実像を語るボルトン元大統領補佐官(文藝春秋20246月号より)|奥山真司の地政学「アメリカ通信」https://www.youtube.com/watch?v=9SeyDmKMyxo

  
・元トランプ政権高官、日本は米国防衛の要求に備えを
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b0038926ddbc9c8d863981524f8e4584 


・トランプ氏を「支持できない」 ペンス前副大統領
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1dcc179df33376d3517823c8d5be8ff4

 

【事実】2016年、トランプ・ブームはマケドニアの小さな町ヴェレスの若者たちのデマから始まった。

https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/02dc2fa491e85b3d17884ebf16907127



・トランプとQアノンのデマを信じる阿呆たち-1 ~トランプはDSと戦っている? アホか?
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/358b3a0253fd576b529d92a0057dca71

 

・トランプとQアノンのデマを信じる阿呆たち-2 ~トランプは平和主義者で暗殺も戦争もしない? アホか?https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/56dd7b8ead46e7304879c33ee5f4e10b

 

・【解説】 Qアノン陰謀論とは何か、どこから来たのか 米大統領選への影響はhttps://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53929442