市場全体の出荷台数は22年比で13.7%減だった
日本経済新聞がまとめた2023年の世界市場における「主要商品・サービスシェア調査」によると、パソコンの出荷台数のシェアで中国レノボが22.7%と首位を維持した。
市場が縮小するなか、セキュリティーに強みを持つ2位の米HPがシェアを拡大した。今後は各社が人工知能(AI)半導体を搭載した新型パソコンを投入し、高性能品を巡った競争が激しくなる。
市場全体の出荷台数は2億6015万台で22年比で13.7%減った。新型コロナウイルス禍による「巣ごもり需要」で在宅勤務用の端末が伸びた反動で、買い替え需要が鈍った。
減少は2年連続。全体のシェアの7割を占める上位5社が軒並み出荷台数を減らした。
上位5社の順位は変わらなかった。首位レノボのシェアは22.7%と前年から0.1ポイント上昇した。
調査会社のMM総研(東京・港)によると「23年10〜12月期に米グーグルの基本ソフト(OS)を搭載したノートパソコン『クロームブック』の大口顧客を獲得したことが寄与した」という。
2位のHPのシェアは18.3%から20.3%に上昇し、2割台にのせた。セキュリティーに強みを持つ法人向けパソコンの出荷が底堅かった。
出荷台数は4.3%減と、他社よりも減少幅が小さかった。4位の米アップルは出荷台数が21.5%減と5社の中で減少幅が最も大きかった。22年に製品の供給が回復した反動が出た。
米調査会社のIDCによると、24年には出荷台数が前年比2.0%増の2億6540万台になるという。
25年に米マイクロソフトがOS「ウィンドウズ10」のサポートを終了することで、パソコンの買い替え需要が生まれるためだ。レノボの出荷台数は24年1〜3月期に前年同期比で7.9%増えた。
24年以降のシェアの変動を占うのは、AI処理用の半導体を搭載したパソコンだ。レノボやHPは24年に入り、パソコンのOSを手掛けるマイクロソフトのAI機能に対応した製品をそれぞれ市場に投入した。
レノボ・ジャパン(東京・千代田)の檜山太郎社長は「AI搭載パソコンは買い替え需要を取り込むトリガー(引き金)になる」と話す。
日本HPの岡戸伸樹社長は「AI搭載品への切り替えを促す。今後AIパソコンが世界で過半を占めるようになる」との見方を示す。AI搭載パソコンの優劣がシェア変動の要因となる。
地政学リスクも今後のシェアを占う。3位の米デル・テクノロジーズは米中対立が深刻化する中、リスク低減のために生産面で脱中国に動いている。
中国製の半導体の使用を段階的に停止し、使用の取りやめを目指している。中国市場の失速につながる可能性もある。
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日経記事2024.09.11より引用