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トヨタがメキシコに大型投資 トランプ氏、過去には反発

2024-11-09 10:13:32 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


「タコマ」を増産する(エブラルド経済相=中央、トヨタメキシコのロサノ社長
=㊧から2人目)、メキシコ政府提供)

 

【メキシコシティ=市原朋大】

トヨタ自動車は8日までに、メキシコ国内の生産拠点に14億5000万ドル(約2200億円)を投資する計画を明らかにした。

米国向け輸出車を増産するが、米大統領選挙で再選を確実にしたトランプ前大統領はメキシコ車に高率の関税を課すと宣言している。

 

トランプ氏は1期目の大統領就任直前、トヨタがメキシコ工場新設を決めたことに強く反発した。今回の投資を巡ってさや当てが始まる可能性もある。

北米向けピックアップトラック「タコマ」の次世代モデルと、プラグインハイブリッド車(PHV)モデルを増産する。

 

トヨタは2000年代初頭に北部バハ・カリフォルニア州で生産を開始し、19年から中部グアナフアト州にも進出し生産台数を増やしてきた。

両工場の生産設備を増強し、年末までに1600人規模の新規雇用を見込む。

 

トヨタによると、新たな投資額はこれまでメキシコに投じてきた額の約7割にあたる規模だ。トヨタのメキシコからの輸出台数は1〜10月で約19万8000台。台数を明らかにしている大手全体の7%程度を占め、多くを北米向けに輸出している。

インフレや労働争議などで米国の賃金水準が上がり、条件を満たせば米国向けの関税をゼロにできる自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」も利用できるメキシコ工場の戦略性は高まっている。

 

トヨタメキシコのルイス・ロサノ社長は7日、「メキシコは北米の地域競争力を維持するのに不可欠。投資が経済、環境、社会の発展につながると信じている」と地元メディアにコメントした。

ロサノ氏と会談したメキシコのエブラルド経済相は「より多くの投資を呼び込み、質の高い雇用を創出するために引き続き取り組む」も話した。

 

メキシコでは近年、日米欧の自動車メーカーが相次いで増産投資を発表しており、トヨタもメキシコ工場を北米向けの主要拠点と位置づけてきた。

シェインバウム大統領は8日朝の記者会見で「メキシコ投資への関心は高い」と強調した。

 

焦点はトランプ氏が宣言した通りにメキシコからの輸入に厳しい制約を課すかどうかだ。

次期大統領に返り咲くトランプ氏と電話協議したシェインバウム氏は、お互いの当選を祝福する「友好的な会話だった」と強調した。新政権同士となる25年1月以降の米国との関係で、不法移民と通商は2大テーマだ。

 

トランプ氏は第1次政権でUSMCAを結んでいる。ただし、一方でトヨタのメキシコ投資に撤回を要求した過去がある。

大統領1期目の就任を前にした2017年、メキシコ工場の新設を表明したトヨタに「米国に工場を建てろ」と方針の撤回を要求した。今回の投資についても、米国生産を避けてメキシコで増産するとみれば反発する懸念がある。

 

トランプ氏は今年9月には米農機大手のディアに対し、生産拠点を米国からメキシコに移すなら「200%の関税を課す」と警告した。

トランプ氏の関税政策を巡っては、電気自動車(EV)大手の米テスラと中国・比亜迪(BYD)がメキシコ新工場計画の始動を大統領選後に先送りしてきた。

 

 

 
 
 
 
米大統領選2024

2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、ハリス副大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。

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日経記事2024.11.09より引用

 


米大統領選・トランプ氏勝利の影響分析、半導体・独禁法・AIに吹く追い風と向かい風

2024-11-09 09:55:31 | 米大統領選2024

米大統領選は米国時間2024年11月6日朝までにトランプ前大統領の当選が確実になった。米主要メディアがそろって当確を報じた。

大幅な関税引き上げを明言し、米Google(グーグル)をはじめとするビッグテックへの批判を繰り返してきたトランプ氏の再登板は、テクノロジー産業にどんな影響を及ぼすのか。その追い風と向かい風を解説する。

 

米サンフランシスコのミッション地区で11月5日夜に開かれていた大統領選の観戦パーティー。ハリス副大統領の支持者が大半を占める屋内外の会場は、開票が進むにつれて席を立つ人が増え始めた。

ノースカロライナ、ジョージア、ペンシルベニア――。「激戦州」と呼ばれる州でトランプ氏の勝利やリードが伝えられるたびに参加者の表情はこわばり、スクリーンにハリス氏が映れば上がっていた歓声も次第に細っていった。

 

米サンフランシスコのバーでは深夜に始まったトランプ氏の演説を誰一人として見ていなかった
米サンフランシスコのバーでは深夜に始まったトランプ氏の演説を誰一人として見ていなかった (写真:佐藤 浩実)

 

「私たちは過去にも(困難を)乗り越えてきた経験がある。もしトランプが勝ったとしても、私たちは再び生き残れるだろう。ともに頑張ろう」。

ハリス氏の敗北が決まる前に、主催者のマニー・イェクティエルさんはこう話して観戦パーティーを締めくくった。

 

近所にある別のバーでは現地時間の午後11時半前に始まったトランプ氏の「勝利演説」を流してはいたものの、音声は消され、誰一人として見ている人はいなかった。

観戦パーティーに訪れていた人のうち、インフレや治安悪化などを挙げて「民主党の4年間は悲惨だった。彼のほうがマシだ」と話す人もいた。だが、多くの人は悲観的だ。

 

シリコンバレーを含むカリフォルニア州はリベラルが多数派の「青い州」。実際、カリフォルニア州では170万票以上の大差でハリス氏が勝利を確実にしている。

「ハリス氏は粘り強かった」と話していたジョイ・アバウンズさんにトランプ氏について尋ねると、「名前を口にするのも嫌だ」と吐き捨てた。

 

 

「CHIPS・科学法」見直しの衝撃度

政治信条は民主党でも、技術政策は共和党──。シリコンバレーで選挙戦を取材すると、こう答えた有権者が目立った。

伝統的に「大きな政府」を志向する民主党はテクノロジーに対する規制が厳しいとされ、一方でトランプ氏は暗号資産(仮想通貨)をはじめとする先端技術の支援に寛容とされてきた。

 

ただし、トランプ氏の再登板はテクノロジー業界にとって追い風とも言い切れない。

まず大きな政策変更が予想されるのが関税だ。トランプ氏は輸入品に対する関税引き上げを公約に掲げた。

 

中国からの輸入品には一律60%、その他の国からの輸入品に10~20%の関税をかけるとしている。

国際経済学を専門とするミシガン大学のアラン・ディアドルフ名誉教授は、米国製品の輸出国が報復として同等の関税を設定した場合、「その影響は米国を世界の貿易システムから大きく切り離し、輸入と輸出の両方を大幅に減らすことになるだろう」とコメントした。

 

テクノロジー産業では半導体産業が直撃を受けることになる。最たる例が、台湾積体電路製造(TSMC)が製造する最先端半導体だ。

米商務省によれば世界の最先端半導体の92%は台湾で生産されており、米国内の需要も大半が台湾からの輸入と見られる。

 

台湾からの輸入にも高い関税が課せられることになれば、TSMCだけでなく同社に製造を頼る米NVIDIA(エヌビディア)や米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)などが戦略変更を余儀なくされる。

サプライチェーンに混乱が生じれば、AI(人工知能)需要を支えるデータセンター市場が大きな影響を受けるのは必至だ。

 

半導体関連では、バイデン政権が2022年に成立させた「CHIPS・科学法」の見直しも予想される。トランプ氏は2024年10月に出演したポッドキャスト番組でCHIPS・科学法を厳しく非難。

補助金や税額控除ではなく、関税によって米国内に半導体工場建設を促すべきだと主張している。輸入品に高い関税をかければ輸入品ではなく国産品の需要が高まり、その需要に応じて国内の生産施設が増えるというロジックだ。

 

こうした主張に対し、米国半導体工業会は米国内の工場建設はコストアップにつながり、「効率的なサプライチェーンを破壊する」と反対を表明してきた。

CHIPS・科学法を根拠にした補助金を念頭にTSMCや米Intel(インテル)などが米国内で工場を建設しており、これらの扱いも注目点となるだろう。

 

製造業の国内回帰はトランプ氏が掲げる政策の中心であり、半導体メーカーの調達戦略に見直しが迫られそうだ。

 

 

FTCのカーン委員長は退任か

もう1つ大きな政策変更が、プラットフォーマーに対する競争政策と法執行のあり方だ。現在、米連邦取引委員会(FTC)はバイデン政権下で2021年6月に任命されたリナ・カーン委員長が率いる。

「GAFAMの天敵」とも呼ばれるプラットフォーマー規制論者で、32歳という若さでの就任は委員長としても委員としても史上最年少。バイデン政権の反トラスト法(独占禁止法)執行の象徴的な人事として話題を呼んだ。

 

伝統的に共和党は民主党と比較して、企業の競争力拡大のためにある程度の寡占を容認する姿勢を取ってきた。グーグルやアマゾンなどのプラットフォーマーに対しての法執行がどう変化するかも焦点となる。

「ウォール街では、カーン氏がFTCを去るという見方が強まっている」。米ウェドブッシュ証券で長年テクノロジー業界を担当してきたアナリスト、ダニエル・アイブス氏はこう言う。

 

反トラスト法関連の法執行が緩和されれば、ビッグテックによるM&A(合併・買収)が進めやすくなりそうだ。

ただし、共和党の副大統領候補のバンス氏は選挙戦中、カーン氏を支持すると発言している。トランプ政権下でのFTC委員長人事にも注目が必要だ。

 

進行中の独禁法訴訟への影響も考えられる。例えばグーグルは独禁法違反の疑いで米司法省と訴訟中。一審判決はグーグルが敗訴し、独占状態の解消に向けた是正措置で事業分割も選択肢に挙げられている。

 紛争・訴訟における経済分析などを専門とするNERAエコノミックコンサルティングの矢野智彦ディレクターは開票前の取材で「共和党政権になれば、長期的に裁判への影響が多少は出てくる」とコメントした。

 

政権は最高裁判所判事の構成に影響を与える。グーグルと司法省による控訴審でも「共和党寄りの考えを一定程度受けた判断が予想される」(矢野氏)。

 

 

AIに関する大統領令は破棄へ

AI業界には追い風が吹きそうだ。トランプ氏は、バイデン大統領が2023年10月に発令したAIの安全性に関する大統領令を破棄すると発言。

米メディアはトランプ陣営が業界主導でAIの開発促進に向けた機関の創設を計画中と報じている。大統領選でトランプ氏を支持したシリコンバレーの投資家・起業家に配慮を示したと言える。

 

「米Microsoft(マイクロソフト)やグーグルなどのテック企業に利益となるようなAI構想が進むだろう」(ウェドブッシュ証券のアイブス氏)。

米証券会社でマイクロソフトなどを担当するアナリストも「対中国という文脈でも、ビッグテックなどが開発するAIは強力な武器。彼らのファンダメンタルズを毀損しかねない政策を採用するとは考えにくい」と見る。AI関連では規制から支援への流れが加速しそうだ。

 

一方で、トランプ氏はグーグルに対して、「悪意あるニュースを選別している」として当選したら起訴すると表明している。米Meta(メタ)のマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)に対しては、2024年9月に発売した著書の中で訴訟をほのめかしている。ビッグテックが等しくトランプ政権の恩恵を受けるかどうかは不透明だ。

 
 

半導体フォトマスクで日本勢は2nmの先へ、1.4nmや高NAに照準 RJ人気記事

2024-11-09 09:05:49 | 自己紹介

半導体フォトマスクの日本の大手企業が最先端プロセスに向けた技術開発を加速させている(出所:テクセンドフォトマスク)
半導体フォトマスクの日本の大手企業が最先端プロセスに向けた技術開発を加速させている
(出所:テクセンドフォトマスク)

 

半導体フォトマスクの日本の大手企業が、2nm世代の次を見据えた技術開発を本格化する。

大日本印刷(DNP)や、TOPPANホールディングス傘下のテクセンドフォトマスク(旧トッパンフォトマスク)はそれぞれ、海外の企業や研究機関と協力しながら、高NA(開口数)や1.4nm世代に対応する新しいフォトマスクを開発する。

 

最先端プロセス向けのフォトマスク技術の開発を進めつつ、足元ではレガシーのプロセス向けフォトマスク事業を強化していく。

 

 

ナノインプリントの型の開発も進めている(出所:日経クロステック)

 

半導体業界では、ファウンドリー(受託製造)企業や半導体メーカーが自ら開発するフォトマスクを「内製フォトマスク」、部材メーカーが手掛けるフォトマスクを「外販フォトマスク」と呼ぶ。

DNPとテクセンドフォトマスクは、米Photronics(フォトロニクス)と並ぶ、外販フォトマスクの大手である。

 

ラピダス向けに2nmプロセス用EUVフォトマスク


そんなDNPとテクセンドフォトマスクが力を注いでいるのは、EUV(極端紫外線)露光技術を用いた2nm世代プロセスに向けたフォトマスクの開発である。

テクセンドフォトマスクは2027年ごろ、DNPは2027年度の量産開始を目指す。

 

DNPは2nmプロセス用EUVフォトマスクの販売先としてRapidus(ラピダス、東京・千代田)を挙げる。ラピダスは2027年に2nmプロセスの量産を目指している。

 
 

大日本印刷は2nm世代のフォトマスクをラピダスに向ける(出所:大日本印刷)大日本印刷は2nm世代のフォトマスクをラピダスに向ける(出所:大日本印刷)

 

ラピダスが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託したプロジェクト「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」に、DNPは再委託先として参加している。

このプロジェクトでは、ラピダスが米IBMやベルギーimecと2nmプロセス技術を共同開発する。DNPはここに加わる。

 

DNPやテクセンドフォトマスクはそれぞれ、2nm世代の先のプロセスに向けたフォトマスク開発にも乗り出す。具体的には、高NAプロセス向けや1.4nmプロセス向けである。

 こうした最先端プロセス向けのフォトマスク開発に当たり、DNPやテクセンドフォトマスクはそれぞれ、外部の企業や研究機関と協業している。

 

DNPはimecと、テクセンドフォトマスクはIBMと協業している。DNPは、5nmプロセスや3nmプロセスに向けたフォトマスクでもimecと共同開発しており、それを2nmプロセス以降でも継続する形だ。

テクセンドフォトマスクも、かねてIBMとフォトマスクの研究開発を進めてきた。高NAや2nm以降のプロセスに向けたフォトマスクの共同開発についても新たに契約し、2024年2月からの5年間で進める。

 

 

外販フォトマスクに追い風

 

EUV露光の導入以降、フォトマスク技術開発のハードルが上がった。

そのため、大手のファウンドリー企業やメモリーメーカーは、最先端プロセスに向けた内製フォトマスクの研究開発に集中してきたという。その結果、EUV露光用フォトマスクでは内製品が主流になった。

 

その分、レガシープロセスでは外販フォトマスクを利用するケースが増えてきたという。すなわち、外販フォトマスク市場に追い風が吹いている。

外販フォトマスクの市場は成長する見込みだ。そこで、外販フォトマスクメーカーは、DUV(深紫外線)露光技術を用いるプロセスに向けたフォトマスクを増産しつつ、2nmプロセスのような最先端品の研究開発を進めている。

 

DNPを例に見ると分かりやすい。半導体業界団体の米SEMIのデータを基にDNPが推計した結果によると、外販フォトマスクの市場は、2020年から2027年にかけて年平均成長率8.13%で拡大していくという。これは、半導体市場を上回るペースだとする。

そこでDNPは、外販フォトマスク市場にとってボリュームゾーンである、28nmや40nm、65nmといったレガシープロセスに向けたフォトマスクの生産能力を拡張している。

 

2023~2025年度に約200億円を投資し、2025年の生産能力を2022年比で1.2倍にする計画だ。

現在最先端とされるEUV露光用のフォトマスクも、将来EUV露光技術が成熟してレガシー化すれば、内製品から外販品へと置き換わっていくとDNPはみている。すなわち、ラピダス以外の顧客を開拓する余地がある。

 

 

ナノインプリントにも注力

 

外販フォトマスクメーカーの中には、微細な回路パターンを形成する原版として、ナノインプリントの型(テンプレート)に力を注いでいる企業もある。代表格はDNPだ。

半導体製造に向けたナノインプリントリソグラフィー装置を手掛けるキヤノンと共同で研究開発している。顧客に対してナノインプリントテンプレートを2024年度中に供給する予定だ。2030年までに顧客が量産プロセスに採用すると見込む。

 

半導体プロセスの一部にナノインプリントを導入することで、消費電力の削減や生産性向上によるコスト削減につながる。

ロジック半導体かメモリーかによって適用箇所は異なるものの、例えばビアホールの形成に利用される。

 

DNPは、ナノインプリントテンプレートを含むフォトマスク事業の売り上げ増を狙う。

具体的には、2025年度の売上高を2022年度比で約15%増やす計画である。2030年度には、2022年度に比べてEUV露光用マスクで約100億円、ナノインプリントテンプレートで約40億円の増収を狙う。

 

 

 

日経記事2024.11.07より引用

 

 

 

 


トランプ関税に怯える日本株 対米輸出依存銘柄に逆風

2024-11-09 08:21:23 | 米大統領選2024

日本株に「トランプ関税」への警戒感が広がっている。

米大統領選で勝利したトランプ前大統領は輸入関税の引き上げを公約に掲げる。実現すれば米国向け輸出の多い企業には逆風となる。既に外需株の中で資金の移動が始まっている。

 

三菱電機などを買い、自動車株は投資比率を引き下げた」。農林中金全共連アセットマネジメントの中尾真也ファンドマネージャーは最近の取引を明かす。

米利下げや政治情勢の不透明感の後退で景気敏感株は買い場と見る。一方で関税引き上げとなれば対米輸出が多い銘柄への投資はリスクが大きいというのが理由だ。

 

トランプ氏の返り咲きを織り込む過程で、多くの投資家が声をそろえるのが「関税発動リスク」(かんぽ生命保険の空閑健一・市場運用部長)だ。

トランプ氏は米国内の産業や雇用の保護を目的に、日本も含めた全ての輸入品に10〜20%の一律関税をかけると主張している。

 

影響を受ける代表が自動車株の一角だ。輸出比率が8割で北米が売上収益の8割を占めるSUBARU株は、10月末比で13%安となった。

同じく輸出比率が高く米市場が主力のマツダ株は同9%安、自動車株以外では内視鏡メーカーのオリンパスも同2%安に沈む。

 

 

一方で、海外売上高で米国以外の比率が高い銘柄は上昇が目立つ。

中国を含むアジア向けが多い三菱電機株は10月末比15%高と大きく上昇した。2024年4〜9月期の連結営業利益(国際会計基準)は前年同期比30%増で、足元で苦戦する主力のファクトリーオートメーション(FA)も「トランプ関税が実現すれば、中国が景気刺激策を打ち出すと予想され市況回復が期待できる」(農林中金全共連アセットマネジメントの中尾氏)。

 

中国塗料株は8日まで5日連続で上場来高値を更新し10月末比では16%高となった。主力の船舶用塗料の販売が日本や韓国、欧州で好調だったとして25年3月期通期の業績予想を上方修正した。

中国の売上高が全体の5割を占めるTDK株は10月末比で11%高、同4割のヒロセ電機も株価は3%高だ。

 

市場では関税リスクを避けるため「外需株では現地生産・現地販売の多い銘柄を選好している」(仏系運用会社アムンディ・ジャパンの石原宏美株式運用部長)との声もある。

例えば信越化学工業は売上高の3割が米国だが需要地近くでの生産が多いことで知られる。

 

SBI証券の波多野紅美チーフクオンツアナリストは「投資家の関心は対米輸出比率の高いドル高・円安恩恵の銘柄から、より幅広い海外地域で成長が見込める銘柄へと移っている」と指摘する。

波多野氏の分析によると、海外売上高比率の高い銘柄の売買は活況で、相場全体に与える影響力は足元で過去最高水準。しかし、ドル円の為替感応度が強い銘柄の影響力は低下傾向という。対米輸出の多い企業はドル円の為替感応度が高い。

 

「目先の為替相場は方向感が見通しにくく、円安の恩恵は買い材料にならない」とSOMPOアセットマネジメントの田中英太郎シニア・インベストメントマネージャーは話す。

外需株の買いの基準は「世界的に業界内シェアが高く競争力がありながら割安で、為替と関係なく安定的に収益を伸ばせることだ」という。

 

 

野村証券によると前回のトランプ政権下では、通商法301条に基づく関税イベントが7回みられ、日本株相場の重荷となった。

東証株価指数(TOPIX)について、関税イベント発生の1営業日前を100として7回の平均的な動きを指数化したところ、発生の1カ月前から発生後1週間程度が経過するまでは下落する傾向が見られた。

 

野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは「中間決算が全体的にさえないため投資家は神経質になりやすい」と指摘する。

トランプ関税への怯(おび)えは前回以上に日本株を押し下げる要因となるかもしれない。

(河井優香)

 

 
 
 
 
 

株式市場の日々の動きと要因、見通しなどを緻密な取材を元にわかりやすく分析、解説します。

 

 

 

日経記事2024.11.09より引用

 

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トランプトレードに死角は 立ち止まったバフェット氏

2024-11-09 08:08:10 | 米大統領選2024


第1次以上に第2次トランプ政権の政策環境は難しさを増す=ロイター

 

株式市場の経験則からみれば、米大統領選挙でトランプ前大統領勝利は異例の結果といえる。株高の環境にもかかわらず米国民が政権交代を求めたからだ。

有権者が抱える不満やひずみ。トランプ氏返り咲きに市場は楽観に傾いたが、トランプトレードに死角はないか。

 

 


「未来の歴史家は、なぜ民主党候補が圧勝できなかったか不思議がるのではないか」。

米大統領選直前、機関投資家を聴衆にした米シンクタンクのカンファレンスはそんな問題提起で始まった。

 

国内総生産(GDP)など国全体の数字でみれば米経済は堅調だ。欧州よりはるかにいい。失業率も落ち着いてみえる。なのに現政権への支持に勢いがない。有権者の不満はどこにあるのか。

交わされた議論で最大の焦点は、物価高対応の遅れだった。例にあげられたのがインフレ調整後の世帯収入。バイデン政権時代に低迷が目立ち、生活苦を鮮明に映す。第1次トランプ政権時代はその数値は良好だった。

 

加えて不法移民、米社会の「ガラスの天井」、不安定化する世界を現政権の外交の失敗とみなす視線。それらが重なり、変化を求める票を押し上げるのでは――。そして迎えた5日の投票。米国はトランプ氏を選んだ。

株式市場からみても異例だ。投票前の12カ月間の株価上昇率をみると今回は36%高。戦後の大統領選で突出して高い。ここ10回の選挙で、上昇率が10%を超える政権が負けたことはなかった。

 

 

 

株高でも敗れた例は1980年まで遡らねばならない。

物価上昇率と失業率とを足した「悲惨指数」が20ポイント台に跳ね上がっていた時代。インフレ退治を国民が求めた。

 

今回浮き上がった問題が、株高の恩恵が行き渡らない格差にあるのなら「財政はさらに拡張的にならざるをえない」(フィリップ証券の北野一チーフストラテジスト)。

トランプ氏勝利に株式市場はまず「買い」で応じた。選挙結果を巡る混乱が避けられた安堵とともに、トランプ氏が掲げる規制緩和や法人税減税へなどの期待が市場の楽観ムードを後押しした。

 

元メリルリンチの著名エコノミスト、デビッド・ローゼンバーグ氏は「ステロイドラリーだ」と評する。使いすぎると副作用を伴うとの例えだ。

中でも中国からは60%、それ以外の国からは10〜20%という関税が実現すれば、影響は広範囲に及ぶ。

 

それだけ生活者の負担になる。移民規制は労働供給を絞る。格差への不満が生んだ政権交代だが、今度は自らの政策でインフレを呼び込む副作用をはらむ。

ブラックロックは今回、米国株に強気のリスクオン姿勢を維持する。ただ同時に「インフレの高止まりと長期の高金利になればリスク心理に悪影響を及ぼす可能性がある」とも指摘する。

 

インフレは2度ベルを鳴らす――。CMEグループのチーフエコノミスト、エリック・ノーランド氏は70年代の経験をひもとく一人だ。

60年代後半に高まり始めたインフレを一度は抑えたようにみえたが、その後の米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が行き過ぎて、もっと大きなインフレの波を招いた。「中央銀行にとってインフレ再来は悪夢のシナリオだ」

 

第1次トランプ政権はまだ金利がゼロ水準に向かっていく局面だった。今回は環境が大きく異なる。金利上昇で、米国はこれから連邦債務の利払い費が国防費を上回っていく時代にも突入する。

選挙期間中、一人の投資家の行動が話題になった。ウォーレン・バフェット氏。「宝物」とまで呼んでいたアップル株の保有を減らしたのだ。一時の3分の1にまで落とし、手元の現金は一段と積み上がった。次の使い道について公言はない。ただ少なくとも、上昇してきた株式をいったん手放し立ち止まる判断をしたとみることができる。

 

第1次以上に第2次トランプ政権の政策環境は難しさを増す。

わかりやすい成果を追い求める政策の先に、中長期には狙いと異なる波紋や望まぬ変化も起こりうる。不透明な中、それらが交錯しながら「トランプ2.0相場」が進むとみるべきだろう。

(編集委員 藤田和明)

 

 

 
 
 
 
 
Market Beat

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日経記事2024.11.09より引用

 

 

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