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ECB、3会合連続で利下げへ トランプ関税でユーロ安も

2024-12-12 23:13:35 | 世界経済と金融


ラガルド総裁は貿易摩擦の激化による世界経済の下振れを懸念する=ロイター

 

【フランクフルト=南毅郎】

欧州中央銀行(ECB)は12日の理事会で、3会合連続で利下げを決める見通しだ。ドイツを筆頭に欧州経済の回復力が鈍く、インフレ収束は想定より早まる公算が大きい。

トランプ次期米大統領が検討する関税も景気の重荷となり、2025年に利下げペースの加速を迫られる可能性が出てきた。

 

日本時間の12日午後10時15分に決定内容を公表し、ラガルド総裁が同10時45分から記者会見に臨む。

今回は四半期に1度、景気・物価見通しを改定する重要な会合だ。利下げ継続の理由や欧州経済を巡るリスク認識の変化が注目される。

 

 

政策金利の引き下げ幅は9月から3会合連続で0.25%とする方向だ。6月に4年9カ月ぶりとなる利下げを開始した後、7月は政策金利を据え置いていた。

利下げとしては今年4回目で、政策金利の一つで市場が注目する中銀預金金利を3%に引き下げる見通しだ。

 

焦点の一つはECBが目指す物価2%の達成時期だ。25年のユーロ圏の物価見通しに下方修正が入り、25年末までとしていた時期を「25年半ばまでに前倒しする可能性がある」(ドイツ銀行のマーク・ウォール氏)。

実際、足元の物価基調はECBの想定より下振れ気味だ。直近11月の物価上昇率は2.3%で、サービス価格を左右する賃上げ圧力も25年にかけて落ち着く見通しを維持している。

 

問題は欧州経済の回復力だ。ECBは物価だけでなく、景気の見通しも下方修正する可能性がある。

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が11月に公表した経済見通しでは、ユーロ圏の25年の実質成長率は1.3%と、前回5月から0.1ポイント引き下げた。

 

国別ではドイツが0.7%、フランスが0.8%と1%台に届かず低空飛行が続く。パリ夏季五輪の特需の反動もあり、企業の景況感は冷え込んだままだ。

ユーロ圏の域内総生産(GDP)は独仏だけで半分ほどを占める。ECBは利下げが遅れて景気が失速すれば物価が過度に下振れすると警戒する。

 

 

さらに先行き不透明感を強めるのがトランプ氏が検討する関税強化だ。選挙期間中、欧州を含む全世界からの輸入品に原則10〜20%の関税をかけると表明した。

25年1月の就任後には中国からのほぼ全ての輸入品に10%の追加関税、メキシコとカナダにも25%の関税を課す方針だ。

 

 

相手国に要求を突きつけて譲歩を引き出すディール(取引)外交はトランプ氏の常とう手段だが、欧州も無縁ではない。

大統領1期目の18年には、安全保障を理由にEUからの鉄鋼やアルミニウムに追加関税を課した経緯がある。当時はEUも報復関税に動いた。

 

米商務省によると輸入が輸出を上回る貿易赤字は23年、中国の2790億ドル(約42兆円)に対してEUが2000億ドル超と上位だ

EUは27カ国で構成するものの、ドイツだけでもカナダより大きい規模にある。

 

 

 

 

EUは報復合戦の再来を避けるため、トランプ氏との貿易交渉を探る。ECBのラガルド総裁も「世界的なGDPの減少を引き起こす」とした上で「報復ではなく交渉をすべきだ」と訴える。

ECBにとって厄介なのは、関税の影響が不明確である点だ。理事会メンバーでベルギー国立銀行(中央銀行)のウンシュ総裁は「ユーロ安が進む可能性がある」と指摘。結果的に関税の影響が「若干のインフレ材料になりうる」との見方を示した。

 

 

一方、ECBのチポローネ専務理事は「成長を抑制する可能性がある」とした上で「総合的に考えるとインフレ率も低下するだろう」との見解だ。

過剰在庫を抱える中国からの「デフレ輸出」が欧州に向かう懸念もあり、関税が物価に与える影響の明確な共通認識は理事会内部でもまだない。

 

国際通貨基金(IMF)は米国が10%の一律関税を導入し、中国とユーロ圏も互いの貿易で同率の関税を設定したり、金融市場が不安定になったりした場合には世界のGDPが25年に0.8%目減りすると試算した。

ゴールドマン・サックスのヤリ・ステーン氏は「欧州経済が今後1年間で大幅な景気後退に陥る可能性は30%ある」と指摘する。

 

あるECB理事会メンバーの一人は「インフレ鈍化と景気後退が同時にやってくるなら、どこかの時期に利下げ加速が必要になるかもしれない」という考えを念頭に置き始めている。

 

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

上野泰也のアバター
上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
 
ひとこと解説

6、9、10月に続く4度目の利下げが決まる見通し。

景気・物価の下振れリスクをどこまで重視するかでタカ派とハト派の温度差は大きく、中立金利を下回るところまで(緩和的な水準まで)利下げを進めていくかどうかでも意見は対立。

とはいえ「トランプリスク」も強く意識される中、先行きの不確実性が高いことはコンセンサス。

利下げは段階的に、内外情勢にらみで慎重に進めていくのが望ましいという点で、理事会内には概ね共通認識があるとみられる。

衝撃的なデータが出てきた、あるいは「トランプリスク」関連で早急に対応が必要なサプライズが発生したわけではないので、今回は通常の0.25%ポイント幅の利下げに落ち着く可能性が高い。

 (更新)
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日経記事2024.12.12より引用
 
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来年から始まるアホボン・トランプ政権で、まじに米国デフォルト危機の可能性が高いでしょう。
 
 
何せ、見栄張り爺さんで、父親から譲り受けた会社をすべて事業失敗で倒産させ、残ったのがただ一つのマール・ア・ラーゴのみ。 
 
ハリスとの討論でもハリスがこれを指摘し、そんなことをハッキリいうのはハリスくらいだから、トランプは苦手意識を持っており、2回目の討論会から逃げた。
 
ハリスは2回目やろうと挑発しまくってましたけどね。 トランプは実は小心の小物。ミジンコの脳みそとミジンコの度胸。
 
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