ロシア西部クルスク州で、ウクライナ軍に向けて発射されるロシア軍のロケット弾(2月)
=ロシア国防省提供、AP
【キーウ=共同】
英紙デーリー・テレグラフは7日、ウクライナ軍兵士約1万人が越境攻撃するロシア西部クルスク州でロシア軍による包囲の危機にあると報じた。
トランプ米政権がウクライナへの機密情報の提供を一時停止して以降、同州でロシア軍が攻勢を強めており、ウクライナ軍は窮地に立たされている。
テレグラフによると、機密情報の提供が停止された以降の数日間で、ロシア軍はクルスク州スジャ近郊の防衛線を突破し、ウクライナ軍の重要補給路の遮断を狙い攻撃している。
ロシア国防省は8日、スジャ近郊で3集落、9日にも1集落を奪還したと発表。ウクライナ軍が近く同州からの撤退を余儀なくされるとの観測も出ている。ロシア国防省は9日、ウクライナ北東部スムイ州の1集落制圧も発表した。
ウクライナ軍は昨年8月にクルスク州への越境攻撃を開始。
約2週間で約1300平方キロを制圧したが、ロシア側の奪還が続き、今年1月下旬時点での占領面積は約400平方キロとされる。
米誌タイムはウクライナ政府高官の話として、米国の機密情報の提供停止により、クルスク情勢が深刻な打撃を受けただけでなく、ロシア国内から離陸してウクライナに向かう爆撃機や軍用機の動きもつかみにくくなったと伝えた。
高官は「ウクライナ国民を危険にさらしている」と指摘した。
2月28日の米ウクライナ首脳会談決裂を受け、トランプ政権はウクライナの鉱物資源権益を巡る交渉で有利な合意を得るため、ウクライナに対する武器支援と機密情報提供を停止し、圧力をかけている。

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