ハリス氏は6月にスイスでゼレンスキー氏と会談した=ロイター
【ワシントン=坂口幸裕】
米ホワイトハウスは19日、バイデン大統領、ハリス副大統領が26日にウクライナのゼレンスキー大統領と個別に会談すると発表した。
ウクライナは西側諸国から供与された長射程兵器でのロシア攻撃を認めるよう求めており、議題になるとみられる。
米国側の声明によると、首都ワシントンのホワイトハウスでロシアの侵略を受けるウクライナの自衛支援などを話し合う。
「バイデン氏とハリス氏はウクライナがこの戦争に勝利するまでともに立ち続けるという揺るぎない責務を強調する」と記した。
バイデン氏は19日にX(旧ツイッター)で「ゼレンスキー氏の訪問中に自由と独立を守るウクライナを支援する米国の約束を再確認する」と投稿した。
ゼレンスキー大統領はロシア領への攻撃を巡り、米欧から供与された長距離ミサイルを含む武器の使用制限を全面撤廃すべきだと主張してきた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、バイデン氏は米国が提供した武器を使用しないのを条件に長射程の兵器での攻撃を認める案を検討している。
英国などは制限撤廃に前向きで、英仏が共同開発した巡航ミサイルの使用を認めるべきだとの意見がある。13日にホワイトハウスで実施した米英首脳会談で話題になったものの、結論は出なかった。
バイデン氏は2022年2月にロシアのウクライナ侵略が始まった当初から、ロシアの反発を招いて事態がエスカレートしないよう供与する武器や使用条件を熟慮してきた。核保有国である米ロが戦火を交えれば第3次世界大戦に発展するおそれがあると懸念するためだ。
米欧は5月、ウクライナが西側諸国から供与された武器を使い、ウクライナへの攻撃拠点となる国境付近の軍事施設に限ってロシア領内を攻撃することを容認した。
ゼレンスキー氏は連邦議会の指導部などとも面会し、ウクライナ支援の継続を働きかける可能性がある。
米メディアによると、米政府は議会に大統領の判断でウクライナに武器を供与できる予算権限の期限を9月30日から1年間延長するよう求めている。
延長措置がとられなければ58億ドルが失効する見通しだ。別途、長期資金として40億ドルほど確保している。
米連邦政府の24会計年度(23年10月〜24年9月)の期末が近づき、政府機関の閉鎖リスクが浮上する。
当面の予算執行を可能にする「つなぎ予算案」を巡り、下院の共和党指導部が党内調整に苦慮している。
ゼレンスキー氏は訪米中に共和党のトランプ前大統領との会談も探っている。トランプ氏はロシアのウクライナ侵略について、11月の大統領選で勝利すれば25年1月の就任前に「終わらせられる」と主張する。
同氏が想定する和平計画は、バイデン政権やゼレンスキー氏の方針と真っ向から対立する。
ドナルド・トランプ前アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙で共和党の候補者として、ハリス副大統領と対決します。選挙戦やトランプ氏が抱える裁判の行方など解説します。
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日経記事2024.09.20より引用