日経平均終値454円安　はがれる｢トランプ・プット｣期待越智小夏　（日経2025.3.4）

2025-03-05 05:49:41 | 世界経済と金融

4日の東京株式市場で日経平均株価が急反落した。終値は454円（1%）安の3万7331円だった。米トランプ大統領が、カナダとメキシコへの関税を予定通り米国時間4日に実施すると発言。

日米の市場でリスクオフムードが広がった。発言により株価を支える「トランプ・プット」への期待がここに来てはがれつつある。

一時969円（3%）安の3万6816円と、取引時間中として2024年9月以来約5カ月半ぶりの安値を付けた。

フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは「リスクオフの雰囲気が広がる中でだれも押し目買いを入れず、下げが下げを呼んだ」と話す。

「親ビジネス」派だと思われていたトランプ氏のここ数日の言動に、市場は警戒感を強めている。

トランプ氏は3日、メキシコとカナダへの25%の輸入関税を4日に発動する考えを改めて示した。中国からの輸入品に10%の追加関税を課している中でさらに10%を課すことも表明している。関税影響の大きい自動車株は軒並み安で、ホンダとトヨタ自動車はともに一時3%安となった。

「米国や欧州の株式市場ではこれまで、トランプ政権に対して楽観的な見方が多かった」。

りそなアセットマネジメントの戸田浩司シニア・ファンド・マネージャーはこう指摘する。ここ数日で弱い景気指標やトランプ氏の言動が強く意識され「楽観ムードは急速に冷え込み、リスクオフの中で景気敏感株として日本株が売られている」（戸田氏）。

トランプ氏は大統領に就任した初日、宣言するとみられていた世界一律関税の導入を見送った。カナダとメキシコへの関税についても1カ月先送りにするなど、関税については交渉材料で、発動にはこだわらないとの楽観論が出ていた。だが、この数日で楽観論は修正を迫られている。

市場が懸念するのは世界経済への悪影響だ。アトランタ連銀が経済指標に基づいて国内総生産（GDP）を予測する「GDPナウ」で、1〜3月期の実質成長率は前期比年率1.5%減から2.8%減に修正された。企業による関税発動前の駆け込み輸入による影響も大きいが、経済への影響は出始めている。

みずほリサーチ&テクノロジーズの試算では、カナダとメキシコに25%の追加関税、中国に計20%の追加関税をかけ、報復関税が起きた場合、米のGDPへの影響はマイナス1.1%になる。物価上昇による家計の消費と企業の投資意欲減退が響く。松浦大将上席主任エコノミストは「仮に追加関税を発動しなくても、今のような不透明な政策運営が続けば企業や家計の消費マインドが減退し景気に悪影響となる」と警戒する。

リスクオフムードに輪をかけたのが、米エヌビディア製半導体を中国企業が購入していたとの報道だ。エヌビディア株は前日の米市場で9%下落した。日本の半導体株も軒並み下落し、アドバンテストは一時9%安となった。市場が警戒するのはトランプ政権が対中強硬姿勢をさらに強めることだ。「世界経済を巻き込む貿易戦争に発展することを市場は懸念している」（みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト）

トランプ氏の大統領就任後初めての円安・ドル高への「けん制」発言もあった。週内は2月の米雇用統計など主要統計の発表が相次ぐほか、欧州連合（EU）特別首脳会議など地政学リスクを巡る重要なイベントも控える。リスクオフはしばらく続きそうだ。

（越智小夏）

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日経平均終値454円安　はがれる｢トランプ・プット｣期待（4日 15:41 更新）
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日経記事2025.3.4より引用

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