百貨店や家電量販店、スーパーなどで1日、2025年の初売りが始まった。そごう横浜店(横浜市)は初売りを待つ来店客約1万人が列をつくった。
レジャーでは東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)なども来園客で盛況となった。百貨店などでは物価高を背景に正月のハレの日もお得さを打ち出した商品が人気となった。
そごう横浜店では、早朝の午前4時半ごろから福袋など初売り商品を目当てにした来店客が並び始めた。
同店は長蛇の列となったことを受けて、当初予定した開店時間の午前10時より早い9時27分ごろから客の入店を始めた。
そごう横浜店の初売りで店内に入る人たち(1日、横浜市)
同店は約3万個の福袋を用意した。「ワイシャツ5枚福袋」(5500円)は、開店後1時間もたたずに完売するなど、実用的な福袋が人気を集めた。
横浜スタジアムの見学ツアーやオープン戦の観戦などができる福袋(5500円)や、横浜中華街で肉まんづくりができる福袋(6600円)など地元ならではの体験型の企画もそろえた。これらは1〜3日に応募を受け付け抽選で販売する。
開店直後から多くの客でにぎわった店内では、獅子舞が太鼓と笛の音に合わせて練り歩き新春ムードを盛り上げていた。
そごう横浜店の初売りには獅子舞が登場した(1日、横浜市)
開店1時間前から並んだという横浜市の20代女性会社員は「すき焼き用のお肉やチョコレート、チーズなどの食品福袋を目当てに来た」と話した。
フライパンや調味料、マヌカハニーの福袋などを購入した女性会社員(60)は「普段は買いにくい高価な物をお得に買えてありがたい」と話した。
都内や名古屋、元日営業の百貨店ゼロ
25年元日は西武池袋本店(東京・豊島)が休業した。東京都内や名古屋市では主要百貨店の営業がゼロとなり例年と違った風景となった。
従業員の働き方改革の一環で初売りを遅らせる百貨店も相次いでおり、大丸松坂屋百貨店と高島屋は3日が初売りだ。一方で三越伊勢丹は前年同様2日が初売りとなる。
そごう横浜店の豊田隆信店長(そごう・西武常務執行役員)は「(従業員の)ワークライフバランスは非常に重要だ。
一方で顧客の(元日営業に対する)需要も非常に高い」と同店で元日営業を決めた背景について語った。そごう・西武は2日からは西武池袋や西武渋谷店(東京・渋谷)など4店も営業する。
そごう横浜店で抽選の福袋に応募する人たち(1日、横浜市)
家電量販店にも列
スーパーや家電量販店も多くの人出でにぎわった。
イオンは総合スーパー380店舗の元日初売りで食品や家電などを買い物カートのかごいっぱいに商品を詰めた「福カート」を最大5割引きで販売した。食品関連の正月の企画品は前年比で1割多い220種類を用意した。
1日正午時点の売上高は前年並みとなったが、食品部門は前年に比べ約5%増えた。そのうち総菜のピザや、ワイン、牛肉などがよく売れた。
家族や親戚などとの大人数の食事機会が増えているとみられ、新年の食卓を彩る商品の需要が高まったようだ。
ビックカメラ有楽町店では午前9時時点で約500人が並んだ(1日、東京都千代田区)
ビックカメラ有楽町店(東京・千代田)ではミラーレス一眼カメラやiPadなどを割安に買える「福箱」を買い求める人たちが列をつくった。
先着・抽選販売の受け付け開始の午前9時には約500人が並び、同店は福袋の販売開始を20分早めた。
レジャーやサービスに「メリハリ消費」
消費者は日常的な支出では節約する傾向を強めている。
一方でテーマパークや旅行などのレジャーやサービスでは付加価値の高い体験にお金を重点配分して使う「メリハリ消費」の傾向もみられる。
オリエンタルランド(OLC)が運営するTDRでは1日、正月イベントが始まった。
東京ディズニーランド(TDL)では和装したミッキーマウスやミニーマウスらが登場するパレード「ニューイヤーズ・グリーティング」を1日1回開催する。
園内は午後2時時点で、TDLの「美女と野獣"魔法のものがたり"」が140分待ち、東京ディズニーシーの「ソアリン:ファンタスティック・フライト」が160分待ちと主要なアトラクションをはじめ、園内はにぎわっていた。正月イベントは13日まで開催する。
東京ディズニーリゾートでは13日までお正月イベントを開催する(1日、千葉県浦安市)
ディズニー直営ホテル、素泊まり10万円も
愛媛県から家族6人で訪れた宇佐川快さん(31)は「24年は1年間、他のレジャーを控えるなどして『ディズニー貯金』をしてきた。
目いっぱい楽しみたい」と3泊4日の日程のディズニー旅を満喫している様子だった。
東京ディズニーリゾートは正月のパレードも人気だ(1日、千葉県浦安市)
神奈川県の八木義之さん(65)とありささん(51)の夫婦は「(OLC直営の)ディズニーアンバサダーホテルは素泊まりで10万円した。値は張るが新年はディズニーで迎えるのが楽しみなので奮発した」と話した。
(米田百合香、浅山亮、逸見純也、北川舞)