バルト海に敷設された海底ケーブルが切断された=ロイター
【ブリュッセル=辻隆史】
バルト海で海底ケーブルが相次いで破損したことを巡り、中国籍の貨物船が関与した疑いが浮上した。
デンマーク軍は20日、中国船を監視していることを示唆する声明を出した。ロシアを出港したとみられ、北欧諸国やドイツなどが連携して捜査する。
北欧に面するバルト海では17日、リトアニアとスウェーデンのゴットランド島を結ぶインターネットの海底ケーブルが切断された。
18日にはフィンランドからドイツのロストクまでつなぐ光ファイバーケーブルが破損した。ドイツ政府は「破壊工作」との見方を示し、関係国が調べている。
現時点では中国船が明確に関与したかは分かっていない。デンマーク軍は20日、同軍の船が中国船「Yi Peng3」に近づいているとX(旧ツイッター)で明かし「これ以上コメントしない」と投稿した。
英紙フィナンシャル・タイムズは同日、航行データを確認したところ、中国船はロシアのウスチ・ルーガ港を出港し、エジプトに向かう予定だったと報じた。
今回破損した2カ所に近い場所を航行していたという。同紙によると、スウェーデン政府もこの中国船の動きを注視している。
フィンランドとドイツの両政府は18日の共同声明で、ロシアのウクライナ侵略に加えて「悪意ある勢力によるハイブリッド戦争からも脅かされている」と強調した。
バルト海では2023年10月にも海底パイプラインの破損が発生した。
関係国は北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)の協力を得ながら原因究明と警戒監視にあたる。

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日経記事2024.11.21より引用