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消えるフロリダ産オレンジ ジュース高騰、日本にも余波

2025-01-25 08:05:46 | 世界経済と金融


米食品スーパーの棚に並ぶオレンジジュース=ロイター

 

【ニューヨーク=西邨紘子】

米南部フロリダ州の特産品、ジュース用オレンジの生産が危機にある。かつて米国産は世界生産の2割を占めたが、気候変動や農地縮小の影響で近年は生産量が急減している。

今シーズンの収穫量は1930年以来最も少なく、2004年のピークの1割以下にとどまる見通しだ。米国は一転してオレンジの輸入拡大に動いており、日本にも品薄と価格高騰の余波が及んでいる。

 

 

転作・宅地化、生産量戻らず

米農務省(USDA)が2024年12月に発表した25年度(24〜25年)のフロリダ州のオレンジ収穫量予想は1200万箱だった。前年度の生産量を33%下回り、1930年以来で最低の水準となる見通しだ。

米国南部で被害が深刻な細菌性の植物病「カンキツグリーニング病」(HLB)の影響が大きい。収穫を目の前に同州を直撃したハリケーン「ミルトン」の被害も追い打ちをかけた。

 

米国でフロリダ州は西部カリフォルニア州に次ぐオレンジの一大産地だ。生鮮くだもの用が多いカリフォルニア州に対し、フロリダ産はジュース加工用が大半を占める。

オレンジは車のナンバープレートにもあしらわれ、州のシンボルとなってきた。だが生産量は2000年台半ばをピークに縮小に転じた。20年以降、大型ハリケーンの被害が重なり、生産量の縮小ペースが加速した。

 

 

USDA農業統計局フロリダ州担当のマーク・ハドソン氏は「約10年前に5400万本あった収穫樹齢のオレンジ(の木)が3000万本まで減った」と指摘する。

直近ではHLBの病害で打撃を受けたオレンジ農家が農地を売ったり、病害に強いレモンなど他のかんきつ類に転作したりする例が増えているという。

 

米当局や大学研究機関は遺伝子組み換え技術などを使い、HLBの病害に強い品種の開発を進める。だが果汁の味が変わるなど課題も多く、新品種の実用化はまだ先の話だ。

ハドソン氏は「一度宅地になった農地は戻らない。今後、生産量が回復に向かうかは不透明だ」と指摘する。

 

 

米国の輸入拡大、国際価格押し上げ

USDAのデータによると、ジュース用オレンジ生産は24年度(7月時点)に最大産出国のブラジルが約7割を占めた。米国は20年度には世界2位の20%程度の生産量を誇っていたが、24年度には6%まで縮小した。

生産が縮小する一方で、米国はオレンジジュース消費で世界最大を維持している。USDAによると、24年度の米国内消費は48万トン(糖度65度で算出)で日本の8.5倍に当たり、世界消費全体の3割を占めた。

 

従来は国内需要の多くをフロリダ産品でまかなってきたが、国産不足を受けて近年は輸入を増やしている。20年度に4割だった米国のオレンジジュースに占める輸入品の割合は24年度には8割に達した。

最近ではブラジルもHLBの病害で不作が続く中、米国の輸入需要の拡大はオレンジジュースの国際価格を押し上げてきた。ニューヨーク市場で22年に1ポンドあたり100セント台だったオレンジジュース先物は24年12月に500セントを超え、最高値を記録した。

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ブラジルの柑橘果汁輸出業界団体シトラスBRは25年1月、24~25年度前半(2024年7〜12月)のオレンジジュース輸出が数量ベースで前年同期を約2割下回ったと発表した。

病害による生産減などが響いた。

 

米商品・先物市場調査、J.ゲインズ・コンサルティングのジュディス・ゲインズ社長は「供給回復の見通しが厳しい中、今後も市場価格は高止まりが予想される」と指摘する。

米国では店頭の販売サイズも約2リットル入りの大容量サイズが一般的だ。だが、直近では仕入れ値の上昇を受けてメーカーが「販売サイズの縮小やオレンジをベースとしたミックスジュース商品の拡充などで対応を進め始めている」(ゲインズ社長)という。

 

 

日本にも影響、販売サイズ縮小も

オレンジ果汁の9割以上を輸入に頼る日本では24年、オレンジジュース商品の販売休止が相次いだ。

国際市場価格の上昇に円安が重なり、輸入コストが高騰しているためだ。オレンジ果汁の供給不足が深刻になっている。

 

企業活動にも影響は広がる。アサヒ飲料は24年12月1日出荷分より「バヤリース」ブランドの一部のオレンジジュース製品の販売を休止した。

日本マクドナルドも同年11月末から全国の店舗でオレンジジュース「ミニッツメイドオレンジ」のMサイズとLサイズの販売を止めた。

 

フロリダ産オレンジの生産が回復するか、先行きの不透明感が強まっている。日本のオレンジジュース不足も長期化するおそれがある。

 

 

日経記事2025.1.25より引用

 

 



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