エヌビディアのファンCEOは量子コンピューターの実用化には時間がかかる公算が大きいとの見方を示した
(6日、米ラスベガス)
日米の株式市場で量子コンピューターの開発や関連サービスを提供する銘柄が急落している。
米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が実用化までに20年程度かかるとの見方を示したと伝わり、投資家の失望売りが広がっている。
8日の米国株市場では量子コンピューター用プロセッサーの開発会社であるリゲッティ・コンピューティングが前日比45%安と急落したほか、量子工学技術のクアンタム・コンピューティングも43%下げた。
この流れは9日の東京株式市場にも波及し、関連事業を手掛けるフィックスターズやエヌエフホールディングスがそれぞれ14%、22%下落した。
複数の海外メディアによると、米ラスベガスで開催されている世界最大のテクノロジー見本市「CES」でのアナリスト説明会で、ファンCEOは有用な量子コンピューターの開発にかかる期間について「15年前後と言ったら早めだが、30年と言ったら遅い。
20年だったら多くが信じそうだ」などと述べたという。
量子コンピューターは従来型のコンピューターでは答えを導き出すのに膨大な時間を要する問題でも短時間で解けるとされ、人工知能(AI)に次ぐ投資テーマとして期待を集めていた。
東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「AIで脚光を浴びている人物から出た予想外のコメントとしてショッキングに受け止められた」と分析する。
2024年12月には米グーグルが量子コンピューターに使う新型のチップを開発したと発表し、関連株の株価が急騰していた。
それだけに利益確定売りを誘いやすかった側面もある。