トーマス・グラバー 第一章 トーマス十二歳、生まれ故郷を後へ 不快な大都市上海
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太平天国の乱
そんな考えに浸り始めたグラバーに、さらに拍車をかけるような事態がおひざ元の清朝で惹起し始めていた。それは「太平天国の乱」である。
「太平天国」の母胎は、一八四三年(グラバーは五歳)清朝広東省花県出身の農民、洪秀全が創設した「拝上帝教」という宗教団体。 洪秀全は科挙(隋から清の時代まで続いた官吏登用学科試験)に落第、そのショックの余り病にふせ、ある夢を見た。
それはローマカトリック教会に対して反旗を翻したプロテスタントと同様、堕落し、列強の餌食となりつつあった清朝を救う者はこの自分しかいない。 一切の差別を失くし対立、抗争のない平和な世界を樹立すべしとの主張を打ち上げたのである(拝上帝教という)。
彼の主張、思想は貧困にあえいでいた多くの農民達の支持を得、旧秩序の上にアグラをかいていた地主勢力、清朝官憲達との衝突に発展したばかりか、やがて清国を属国にしようとするイギリス、フランス列強との対戦にまで発展した。
一八五二年、多数の参加者を得た拝上帝教は教祖、洪秀全を「天王」と仰ぎ、同九月国号を「太平天国」とした。 貧民の太平天国への支持は、これを機に急増、湖南、湖北、江西、安寧を抜き、一八五三年には大都南京をも占領した。 この頃の太平軍は数十万人に膨張、清朝転覆の噂さへ内外に流された。
この時、イギリス、フランス軍は理屈の上では長年にわたり腐敗堕落を続ける清朝を改変しようとしていた洪秀全の政策に賛成していた。 然し、清朝が滅びることは是としながらも、洪秀全が新しい国王となり、太平天国の思想で清朝を統一されては列強の出番はなくなってしまう。
そう判断したイギリス、フランスは清朝を引き続き属国にするためにも太平天国の乱を鎮めようと決心した。 一八六〇年以降、中立政策を放棄したイギリス、フランス軍は天京以東の江蘇、江省に活路を求めて進出してきた太平軍に武力攻撃を加えた。
一八六四年六月、リーダーの洪秀全n病死もあり、それ以後はあっけなく太平軍も滅亡してしまったのだ。
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この本には、歴史的に貴重な写真、図、文献なども数多く掲載されている秀逸な作品ですが、それらをPDF化して皆さんに紹介することもできますが、著者と発行所の『長崎文献社』に敬意を払って、全てを紹介するのは、控えたいと考えております。
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