フォンデアライエン欧州委員長は8日、ハンガリーのブダペストで記者会見を開いた=AP
【ブダペスト=辻隆史】
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は8日の記者会見で、米大統領選で当選を確実にしたトランプ前大統領との貿易交渉に意欲を示した。米国産の液化天然ガス(LNG)の輸入を増やす案を提起した。
ハンガリー・ブダペストでのEU首脳会議に出席後、トランプ氏への対応を問われた際に考えを明かした。
EU加盟国は2022年のロシアによるウクライナ侵略開始後も、ロシア産LNGの輸入を続けている。フォンデアライエン氏はこれに関し「米国産に切り替えるのはどうか。米国産はより安価で、エネルギー価格を引き下げることができる」と述べた。
トランプ氏はかねてLNGの輸出拡大に意欲を示してきた。フォンデアライエン氏は米国産の輸入拡大が欧米双方の利益になるとトランプ氏を説得するとみられる。
フォンデアライエン氏はトランプ氏とは「まず共通の利益を見いだし、その後に交渉する」と説明。過度な対立を避けるよう努める方針を強調した。
トランプ前政権時代には米国がEUに追加関税を課し、EUも報復関税をかけるなど対立した。トランプ氏は24年10月にEU加盟国を含めた他国からの輸入品に高関税を課す案を表明した。
EUは8日の首脳会議で、欧州の経済競争力を高めていくために新たな対策を講じる方針で一致した。エネルギー価格の引き下げも主要な論点となっている。
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日経記事2024.11.10より引用