自然言語を解釈したり文章を生成したりできる大規模言語モデル(LLM)が注目を集めている。この特集では、LLMとは何かを分かりやすく解説する。
「大規模言語モデル(LLM)に興味がある」もしくは「LLMを学ばなければいけない」という方は多いのではないでしょうか。また、「今LLMを学ぶメリットは?」という疑問を持っているかもしれません。
一言でいうと、LLMを学ぶメリットは「LLMをただ使う」側から「LLMを活用して、アプリやサービスを企画・開発できる」側にステップアップできることです。
言い換えると、ChatGPTのようなツールを使うだけでなく、それを活かしたサービスを企画・実装するスキルが得られるということです。
本特集では、LLMの基礎知識を解説しつつ、学ぶメリットについても、より詳細に解説します。具体的には、次の3つのテーマを中心に説明します。
- AI、生成AI、LLMの定義
- LLMが注目されている理由と技術の革新性
- LLMを学ぶメリット
AI・生成AI・LLMの定義
まず、AI、生成AI、そしてLLMのそれぞれの立ち位置を整理してみましょう。図1-1のように、これらは階層的な関係にあります。
まず最も大きいカテゴリとしてAIがあります。
AIの中でも、なんらかのコンテンツ(テキストや画像など)を自動で作り出すAIを「生成AI」と呼びます。生成AIは、「文章を書く、絵を描く」といった何かを生み出す能力を持っています。
そして生成AIの中でも、特に「テキスト生成」するための技術が大規模言語モデル(LLM)です。
ChatGPTには画像生成や検索機能など、多くの機能が追加されましたが、「ユーザーからの質問を理解し、返答を生成する」という最も根幹となる役割を担っているのがLLMです。
実際に、ChatGPTでは、使用するLLMを切り替えられます(図1-2)1。
図1-3 LLMはテキストを入力し、新たにテキストを生成する
もし、あなたがChatGPTを発表当時から使っていたなら、当時はテキストを生成するだけのシンプルな機能だったことを覚えているかもしれません。
このようにシンプルな機能にもかかわらず、ChatGPTは瞬く間に1億人以上のユーザーを魅了し、大きな話題となりました。
では、これほどシンプルな機能にもかかわらず、なぜLLMがこれほど注目されたのでしょうか? LLMのどんな部分が革新的なのでしょうか。