USスチールは「日鉄による買収は中国の脅威に対抗する唯一の手段だ」と強調した
【ニューヨーク=川上梓】
米鉄鋼大手USスチールは28日までに、日本製鉄による買収が不成立となれば、米国の鉄鋼業は拡大する中国の脅威に対抗できず「米国は敗北する」との声明を出した。
米国に投資と雇用をもたらす買収の正当性を改めて訴えた。バイデン米大統領は2025年1月7日までに買収を承認するかどうかを判断する見通し。
声明は27日付。USスチールは「日鉄による買収は中国の脅威に対抗し、米国の鉄鋼業が競争力を強化できる唯一の手段だ」と強調した。
日鉄が提案する投資や雇用創出の計画を引用し、従業員に雇用の安定と利益をもたらすと改めて訴えた。
買収を巡ってはUSスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)も22日に米紙に寄稿し、買収の失敗は中国の支配力を強めるだけだと訴えていた。
日鉄による買収は全米鉄鋼労働組合(USW)が一貫して反対している。USW執行部と関係が深い米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスの影響力もあるとされる。
USスチールはUSWが買収を妨害していると批判。「買収が不成立となれば、喜ぶのは(USWの)デービッド・マッコール会長とクリーブランド・クリフス、そして北京(中国)だけだ。
米国は敗北する」と強い口調で買収の意義を訴えた。
日鉄による買収を巡っては安全保障上の審査を担う対米外投資委員会(CFIUS)が最終決定をバイデン氏に委ねた。
米司法省による競争法上の審査も継続中だ。日鉄は26日、24年12月までとしていた買収完了時期を25年3月までに変更した。
2023年12月18日、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買収すると発表しました。買収額は約2兆円で実現すれば日米企業の大型再編となりますが、米国で政治問題となり、先行きが注目されています。最新ニュースと解説をまとめました。
日経記事2024.12.29より引用