Eos5D写真三昧 格安の海外旅行記と国内旅行のすすめ

海外旅行の情報を旅行記として綴った記録。EOS5Dとiphoneで撮った写真をあげております。

18:吐魯蕃(トルファン) ツアー値段事情

2010年10月28日 22時01分04秒 | 中国旅行記2010年8月

列車は一時間遅れでトルファンに到着。直ぐに切符を買いに行くが、手に入った切符は「無座」。つまり席がないということ。立って乗る切符である。これで私は中国の列車の切符の全種類を経験することになる。「軟臥」「硬臥」「軟座」「硬座」「無座」。まさか12日間の旅行の中で全ての種類の席が買えるとは思わなかった。振り返ってみよう。北京~西安=硬臥。西安~嘉峪関=硬座。嘉峪関~柳園=軟座。柳園~吐魯蕃=軟臥。吐魯蕃~烏魯木斉(ウルムチ)=無座。ただ一回の無駄も重複もなく、最短コンプリートである。

吐魯蕃(トルファン)。ここはもはや中国ではない。新疆ウイグル自治区という名称で中華人民共和国に政治的には属しているとはいえ、文化は完全に非中華である。吐魯蕃の歴史についての記述は後に譲ることにして、とりあえずは駅から市内に移動するまでの手続きについて書いていこう。
駅の到着はいつも早朝である。午前5時~6時。吐魯蕃駅から市内へはかなり遠く、交通手段を使わないと行けない。タクシーは高いのでバスを使うことにした。吐魯蕃駅から市内へ至るバスの切符は、切符売り場の建物の中で買わなければならない。切符には番号がついており、その番号の順番に乗車することになる。バスの市内に至るまでの所要時間はおよそ1時間。値段は7.5元とさすがに安い。タクシーなどを使うと多分100元は取られるのでバスがいい。バスは市内の中心部までノンストップである。バスを降りると早速客引きの男が近寄ってくる。この客引きは実はタクシーの運転手だったのだが、この時はまだホテルの紹介人だとばかり思っていた。なかなか日本語が上手く、日本人ですか??といきなり日本語で挨拶してくる。この時の印象は「とても怪しい」であった。だいたい海外で日本語を操る客引きには碌な連中がいないというのが私の持論であった。それだけ私が旅行を重ねてきているとも言えるが、悪く言えば私は旅行ズレしているのである。外国では常に警戒心を強く持つのは悪いことではないが、あまり警戒心を持ちすぎると出会いは無くなる。警戒心がなさすぎると、ボラられたりアクシデントに巻き込まれるリスクが増える。そのバランスが非常に難しいのだが、最適なバランスがどこにあるのかについては、私はまだ旅の達人ではないので分からない。さて、客引きの男に高いところに案内されたり、吹っかけられるのはイヤだったので、ここは警戒モードを最大にして笑顔であしらいつつ相手にせずにサッサと歩き始める。今回、私が中国旅行において心がけたことが一つある。それは断るにせよ値切り交渉をするにせよ、笑顔でニコニコしながら毅然とした態度で挑んだことである。これは実は外国に旅行をすれば、多かれ少なかれ、やらなければならない。経験則上、ムスっとした態度で交渉事を行うよりも、笑顔で挑んだほうが値切りの成功率が上がる。相手の心象もよくなる。だが、これは妥協ではない。ニコニコしながら、毅然ともしくは辛辣にツッパねるのである。高い、信じられない。ふざけている。冗談じゃない・・・という意志を穏やかな顔で行うわけだ。正直、これは20代の頃の私には出来なかった。値段交渉になるとイライラしたものだった。表情もいつもしかめっ面をしていたものである。「騙すんじゃないか?コイツもか?」という思いが、表情にそのまま表れていたのである。要するにポーカーフェイスができていないワケだ。これでは当然相手も身構える。そういう損な経験を過去にしてきたので、今回の旅行ではポーカーフェイスを貫きながら、値切り交渉に挑もうと考えていた。特に甘粛省からの旅程においては、この点を十分に意識して行った。西安の兵馬俑ツアーではキレてしまったが、中国でも田舎にいけばかなり人がいいので、ポーカーフェイスが出来る余裕ができてきたのかもしれない。もしくは中国に滞在すること一週間が過ぎているので、中国に慣れてきたのかもしれない。いずれにせよ余裕がでてきたことは確かである。旅行において余裕をもつという事は、非常に大切であるということが今回よく分かった。それは吐魯蕃滞在中に思い知らされた真実である。余裕を奪う要因はいくつかある。以下に列挙してみよう。

1:時間的スケジュールに追われる。
2:宿・切符が確保できるだろうか?という不安。
3:物価水準が分からない。情報不足。
4:やったことが無いことを行わなければならない。

この4点は、かなり心の余裕を奪う。
1番については、私は今回12日間で北京~ウルムチまで列車で行かなければならないという時間的スケジュールがあった。というのは、ウルムチ~北京行きの航空券は、すでに日本で予約してお金を支払ってしまっているからだ。間に合わないということは、航空券が紙切れになることであり、余計な出費が増えるということである。さらに、中国ではビザなしでの滞在は15日間しか許可されていないので、スケジュール通りに到着しなければ、不法滞在になる可能性も出てくる。これがまず心の余裕を奪った。
2:これは1と連動する。スケージュールに間に合わせるために、切符の確保が絶対となるので、切符の確保ができないということは1が遅れる、または破綻することを意味する。これはかなり神経をすり減らした。
3:情報不足は交渉事が不利になる。説得材料を持たないので、相手を落とすことが出来ない。5時間のタクシーチャーターで150元という情報(経験)が得らるまでは、タクシー交渉は負け続けたと思う。これは事前にインターネットで調べれば、かなり交渉事を有利にすすめられる。だが、究極的には現地での経験を積むしかない。これにおける余裕を事前に確保するのは難しい。
4:色んな部分で、日本とはシステムが違う。切符を買うこと。バスに乗ること。中国国内に電話をかけること、などなど。これらも一度やってしまえばどうという事はないが、最初にやるときにはいささか緊張する。そういうものが未来のスケジュールに組み込まれていると、その日が訪れるまでの間、多少緊張・ストレスがたまる。

以上を鑑みると、旅行というのはまず
1:スケジュールは長めにとっておく。北京~ウルムチ旅行の期間を1ヶ月と設定しておけば、時間的スケジュールにおける心の余裕を奪い要因はなくなる。列車が遅れようと、切符が取れなかろうと、さほど心配するには及ばなくなる。時間をゆっくりとすごせば、遅れようがなんになろうが、そんなに目くじらを立てることはなくなる。
こでて1、2の不安はほぼ解消する。ビザなし15日しか滞在できない制約があるのなら、ビザを取って1ヶ月にすればよい。
3:渡航前にインターネットでその国の物価情報は可能な限り取っておく。ボラれたくない人、騙されたくないと強く思う人は、これをやっておくべきである。スケジュールを考慮する必要がないとはいえ、必ず必要な情報というのものはいくつかある。例えば列車で旅をする人ならば、時刻表くらいは持っておくべきだ。日本のネットで中国の時刻表は手に入る。
http://railway.org.cn/link/index.html
わたしはここのHPの情報を参考にした。現在、スマートフォンという便利ななんちゃって携帯PCの端末がある。そこにPDFファイルに変換した時刻表を入れておけば便利である。まぁ国際ローミングをする人であれば、そんなオフラインの情報をためておく必要もないが・・・。
4:これは、もはや度胸というしかない。ネットで調べようが、やはり経験しないとこの不安は解消されない。いくら切符の買い方などをネットで調べて分かったつもりになっても、やはり実際に窓口に並んで買わない限りは、切符を買う行為は慣れないものだ。これはもう度胸と勇気と厚顔さを発揮していくしかない。


話がズレた。元に戻そう。
客引きの中国人、いやウイグル人はさすがにしつこい。いや商魂たくましい。執拗について来て、安いホテルあるヨと言う。私は内心「ウソツケ、どうせ騙すつもりだろう」と思っていたが、またまた~~~とか、冗談をかましながら、ニコニコしながらその客引きの男に「いくらなの?」と聞いてみた。すると男は「80元」で泊まれる、というではないか。一泊80元のホテルが本当だとすると、私が今まで中国で泊まってきたホテルの中で2番目に安いホテルということになる。「そうか・・・西域のホテルは安いのかも」と私は瞬時におもいは、その男に返した言葉は「高いな~~」であった。あぁ、やばい・・・段々バックパッカーの心境が分かるようになってきた。バックパッカーの旅行記などを見ると、みな値段を下げさせること、いかに値段を下げて安く交渉をまとめるかが記述の大半を占めてくるようになる。この誘惑は結構強烈なので、このあたりのくだりはサッサと進めよう。客引きの男が案内したホテルはたしかに80元の部屋はあったが、そこは多人数部屋、すなわちドミトリーと呼ばれるものであった。しかも部屋は埋まっていたようなので泊まれないことが判明。客引きの男をみて「客引き失格だな」と思いつつ、次のホテルを探すことにした。さて、この満員のホテルのロビーには「一日観光バスツアー」の看板があったが、客引き男が言うところによると、これは現在廃止されているという。理由は、例のウルムチの蜂起が起こって以来、観光客が激減してツアー客が集まらないからだそうだ。なるほど、たしかにそうかもしれないと思った。
客引きに男は、君はどこのホテルに行く?と聞いてきたので、私はガイドブックを取り出し、そこに書いてある「トルファン賓館」という一泊290元のネット設備があるホテルにすると言った。ここにはドミトリーもあり、そこは一泊50元とガイドブックには書いてある。もともとそのホテルにするつもりだったのだが、客引き男の言う80元の安さに魅力を感じてついてきただけである。その客引きの男は妙にフレンドリーであったが、会話もそこそこにして別れ、ガイドブックに書いてあるホテルに歩いて行った。
さてホテルに到着。入り口にはこれまた違う客引きの男がいて、私に話しかけてくる。この男の日本語はかなり流暢で、さっきの男以上であった。日本語の話せる客引きの多いこと・・・と思っていると、その男は「このホテルは一泊180元だ」という。ガイドブックには290元と書いてあるから、かなりお得な感じがした。180元の部屋と50元のドミトリーの部屋の両方を見せてもらう。50元のドミトリーは安いのだが、トルファン賓館のドミトリーは地下室で、かなり衛生状態が悪いように感じたので、180元のシングルにした。妙な事に、ホテルのレセプションの壁にかかっている料金表には「シングル180元」とか書かれておらず、「260元」くらいの値段がかかれていた。どうやらホテルのレセプションに掲げられた料金はあまり信用できない。
さて、その客引きの男。実はホテルの従業員ではなく、観光ツアーの斡旋人であった。斡旋人のオッさんは早速営業を始める。ウルムチ蜂起以来、観光客が激減した、という話がまたでた。だから今仕事がないんだ、収入もないんだ、困った、と、よくある営業トークがでる。そんなものは枕詞として聞き流して、一日ツアーでどこを回るのかを聞くことにした。それは驚くべき内容だった。交河故城、高昌故城、蘇公塔、ベセクリク千仏洞、火焔山、カレーズ、といったように、トルファンの有名どころを一気にまわるのであり。しかも、自分の好きなように時間を使ってもイイという。時間は一日がかりになる。9時から18時くらいまでまわることになるという。しかも日本語が出来るから便利だという。私は値段が気になって、いくらだそれは?と聞くが、なかなか値段の話を切り出さない。見事な営業トークである。
さて、最終的に値段のプレゼンになった。彼は500元という。日本円にして6500円。日本の相場から見れば破格なのはわかっているが、ここは中国。高いと思った。嘉峪関での5時間のタクシーの料金が150元である。それを考えれば高い。ありえないと突っぱねるが・・・すでに私は彼の営業トークに半分はかかってしまっている。まずウルムチの事件以来一日ツアーはないという背景。これで選択肢のかなりの部分はなくなった。このオヤジの案を蹴って、自分でチャーターを探したとして、はたして500元未満になるかどうか?そしてこのオヤジの提案は実質、タクシーの一日チャーターである。ガイドブックによれば、トルファンではなく西安だけど、タクシーを一日チャーターすると1500元かかるとかいてあった。それを考えれば確かに安くはある。こういう思考に傾いていった。合い見積もりは交渉の基本。だが、私はそれを怠った。実際問題、トルファンでのタクシーの一日チャーター料金は不明である。観光地へのバスは出ていないので、いずれにせよタクシーを使うしかない。中国のタクシーは花形商売で儲かるという話を、旅行前に日本のTVなどで聞いたことがある。おそらく相当値段に乗っけているのだろう。
だが、安いにこしたことはないので、値切りにはいる。だが材料がない。観光客がいないからこそ安くしろ、という半分わけの分からない論法で攻めるが、一人で500元は安いとオヤジに切り返されてしまう。それはそうだ。タクシーなのだから二人以上のれば、金額は半分になる。1人250になるのだ。つくづく一人旅は金がかかる。すでに相手の営業トークにやられた格好になった。仕方なく500元を払う。たかいなーとボヤくと、そばにいたウイグル人のこれまた日本語の出来るガイドのひとが、500元は高くないと言ってきた。この人がまた日本語が堪能で、これで今日は3人の日本語ができるウイグル人とあった事になる。横槍を入れてきた彼は、日本人の大学研究調査隊のガイドであった。

さて、早速一日チャーターがはじまる。500元を男に支払うと、その男は電話でタクシーを呼んだ。現れたタクシーの男は、最初にバスターミナルで出会った80元のホテルを紹介した男だったのだ。この時、はじめてこの男がタクシードライバーであると気づく。てっきり、ホテルの紹介人かと思った。いま考えてみれば、西安の客引きと同じだったわけだ。あれは一日観光のバス会社の手のものであり、こんどはタクシーチャーターの手のものであったわけだ。ホテルを紹介する客引きは、ほとんどすべてが「タクシーか一日ツアーの手のものか」である。これは覚えておくべきである。
何だか見事に騙されたようなきがした。80元のホテルが一杯だったときに、そのタクシードライバーには(この時にはホテルの斡旋人としかおもっていなかった)私の次のホテル候補のトルファン賓館の場所と名前を教えた。たぶんその時、タクシードライバーであるこの男は、携帯電話かなにかで、500元をしはらったこのオヤジと連絡をとったのだろう。この二人は知り合い、いや態度からすると、500元の男が上司で、タクシードライバーの男は部下の様な感じだった。ちょっとやられたと思った。しかも、この500元のオヤジは、そのタクシードライバーを紹介すると、「日本語は彼(タクシードライバー)ができるから、よろしく」といって、途中で降りて行ってしまった。つまりこの500元の男は、仲介手数料を取った形にも見える。というか、多分そういうシステムだったのかもしれない。この瞬間、しまった、ボラれたと思った。おそらくタクシードライバーと直接交渉すればもっと安い金額になったと思われる。このタクシーの男よりも、500元のオッさんのほうが、はるかにやり手だし、胡散臭かった。サービス精神旺盛で、ホテルのポーターばりの接客だったし、あの営業トークといい、あの引きあげ方のアッサリしたドライさを見て、してやられたと思ったがもう仕方がない。

皆は、騙されないようにして欲しい。おそらく感覚的ではあるが、一日ツアーは300元でいけるハズである。

トルファンの歴史については、次回写真とともにお知らせする。まて次号!
上の写真は高昌故城の一部。高昌故城の写真も次号にUPする。