怠慢主婦 ドイツで同居 

日本食を食べなくなり義両親のしもべと化し、すでに何年になるだろう。遠い目しながら今日も行き抜いてやるぞっ

食卓マナー

2015年08月12日 | 頑張って食べる
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義母の昔話は時折、驚くようなことを聴けるので結構楽しみでもある。
義母の母親の若い頃の田舎の家庭では、家族全員使える食器の数がなかったそうで、洗面器のような大きな器に料理を入れて、それを囲んでそれぞれが持ったスプーンですくって自分の口に入れていたそうな。
現在でも地球上のあちこちでそうした食べ方をしている人々がいるので、揃えられない貧しさでそうしているとは言いきることはできない。
しかしながら、義母の母親の若い頃は、欧州の上流階級では毎回の食卓に多数の食器を使う習慣とその食卓マナーがあったのだから、貧富の差が非常に激しかったことは間違いない。

ドイツの田舎の普通の経済力の人々が普通にナイフとフォークで食事をするようになって100年も経っていないのか。
ナイフフォークを使って二世代目かもしれない義母によるそれらの使い方講義。

私が「フォークの背に食べ物を載せて食べるマナーは存在するか」と質問したことがきっかけだ。実演モデルは義母。
残りのじゃがいもを使った。

基本、フォークの腹に切ったものを載せて口へ運ぶ。

フォークに刺したまま落ちなければそのまま口へ持っていっても全然マナー違反ではない。
最近私は、切るときにフォークで押さえているその向きを、フォークの腹側に載せるためにくるっと回転させるのが面倒なのだ。
そう、切るときのままの持ち方でその背に食べ物をナイフで載せてちょいと押さえて落ちないようにして口に持っていくのもアリ、なのではないか。昔、それが正式な西洋マナーだとかで日本でもてはやされたらしい。
くるっと持ち替える手間が省けるという点で、とても合理的だ。
義母は「それでは不安定ではないか」と強行に否定した。
そうは言っている義母だけれど、私はすでに何度もフォーク背乗せをやっているんだ。じゃがいもや粘り気ある米飯などは問題なくきちんと食べることができる。何しろ、くるくるフォークをひっくり返す必要がないのは楽だ。
この怠惰な食べ方に義母、義父、夫が気付いたことはない。つまり、食卓マナーの基本、同席している人たちを不快にしない、を楽にクリアーしているだ!

私が箸を食卓でまったく使わなくなってから5,6年。ナイフとフォークの扱いは箸よりずっと簡単だ。
西洋食卓マナーについてのウンチクはたくさんあるだろう。それらはほとんど昔の貴族社会の習慣で、一般民衆はそんなに面倒なことに頓着しないものと感じる。義両親たちが中国と日本へ旅行したとき、彼らの犬食いぶりに驚いたらしい。西洋人に食卓マナーが美しいと思われたいのなら、ナイフフォークの細かい決まりより、犬食いに気をつければ、たぶんそれで大方大丈夫だろう。ナイフフォークの扱いに慣れないのはここの人々が箸を使い慣れないのと同様だと、みんな知っているから大丈夫。





 
近所の友人宅の日曜の昼食(正餐)。どこの家も質素な食生活。ナイフとフォークは一本づつ。
たくさん並ぶレストランなどに行くことは、日本の生活ではたびたびあったがここではまだ経験していない。