雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

懐かしい人

2007-12-02 | 雑記
 先日、何気に見ていた地方版のTVニュースに中学のときの同級生が出ていた。

 彼女は中二のときに転校してきて、色白でちっこくて可愛らしい容姿にもかかわらず、サバサバとした性格で男子とか女子とかの境など、まるで気にするカンジではなくって、なんだかとても、自分とウマが合っていた。

 三年になってクラスが別々になっても、廊下で会うと馬鹿話をしていた。ホント、全く恋愛感情とかなしで、かといって「友情」ってほどの親密さも、なしで、ただただウマの合うヤツだ、ってくらいで。

 そんなカンジだったから、卒業式のときとかも「じゃあな」って、ごくフツウにお互い挨拶を交わしただけだった。

 そして、幾年月を経て、成人式で再会した。みんな各々、仲の良かった者同士で「呑みに行こうぜ」という話がそこかしこで飛び交う中、もちろん僕は彼女を誘った。彼女は二つ返事でOKしてくれた。確か男は5、6人、女は2、3人くらいの小規模なグループになったはずだ。
 途中から他のグループとも合流し、その規模は膨らんでいったが、夜も更けるにつれ、一人、また一人と別れを惜しみつつも帰っていった。
 そんな中、男は僕を含め2、3人が残って深夜の店内でダラダラと呑み、喋り続けていたのだが、女の子で残っていたのは彼女一人だった。
 僕は他の野郎はとりあえず放っておいて、彼女の隣で明け方になるまで、昔のように馬鹿話をし続けた。
 本当に、楽しい時間だった。
 
 そうして僕らは、夜明けの街で、卒業式の日と同じように「じゃあな」と言って、手を振り合いながら、それぞれの道を歩いていった。

 その成人式以来だから、およそ十三年ぶりか・・・彼女はどこかのガソリンスタンドの所長という肩書きをつけ、とどまるところを知らぬ原油価格の高騰についてインタビューされていた。
 成人式で会ったときは、まだ中学の頃の面影を存分に残していたが、流石にそれから十三年も経つと、すっかりオバ・・・あっ、いや、立派に女性らしさが染み付いているなぁ、、、と、いうか、最初画面を見たときに「ん?」と思い、「あれ?もしや・・・」などと思っていたらテロップに名前が出て、「あーーー!やっぱり!」と。
 僕は驚きと懐かしさの混在する気持ちで、TV画面を「じいっ」と見つめ続けた。

 それにしても、現在の結婚観においてでは、一概には言えないのだが、苗字が変わっていないということは、もしかして、独身なのだろうか?

 僕は思わず、彼女になんとも言いようのない想いを馳せながら、「そういえば成人式のとき、彼女にポケベルの番号を教えてもらってたんだ」と、淡い記憶を呼び寄せた後、「ポケベルって・・・」と、苦笑いと共に、弱々しいツッコミを入れておいた。
コメント
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