雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

懐かしき静寂

2008-03-01 | 雑記
 ここ二日、今まで持て余していたカセットテープをしきりに聴いている。

 昨夜などは優に十年以上は聴くことがなかった『スティング』と『柳ジョージ』のテープを聴き、グラスを揺らしていた。

 今日は今日とて、サザンの『NUDE MAN』。これは名盤だな、うん。

 まったくもって、ビバ<古いラジカセ>である。

 そんな楽しみを見つけつつ、久方ぷりに湧き上がったカセットテープの『侘・寂』

 そう、カセットテープでは、よほどの運、もしくは綿密な計算がない限り、必ず訪れるA面終了後、B面終了後の余白部分・・・。

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 初めて部屋に訪れた彼女。粋なR&Rを流して会話を弾ませる若き二人。

 くだらないジョークや、バカな友人の話で盛り上がり、互いの緊張もほぐれはじめてきたころ・・・突如訪れる、静寂。

 ノイズにさえ至らない微かな「ショワー」という音、しばしの沈黙とともに鮮やかな幕切れを見せるA面。。。なんだか気まずい、静寂。

「あっ、テープ終わっちゃったね・・・」

 などと彼女に言われ、いたたまれなくなりながら、

「ジュースでも、飲む?持ってくるよ」

 半ば強引に部屋を退去し、戻ってきたときに何気ない動作でB面再生。

 また、雰囲気作りを一からやり直し。

 しかし、すでにコツを掴んでいるのでB面ではワリとすんなり空気は溶け込む。そんな中、イカシたバラードなども流れて、お互い気持ちは絶好調・・・・が、イキナリ、「ガチョ!」とかラジカセが叫ぶ。

 しまった、B面、途中で録音めんどくさくなって流しっぱなしで録ってたんだっけ・・・・。

 見つめ合う、二人。。。

「あっ、テープ終わっちゃったね・・・」

 って、オレが言ってどうする!

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 そんな無邪気な記憶が呼び戻されたカセットテープな夜。


 昔はことごとく情緒をぶっ壊してくれたカセットテープだが、今はそれすら心地良く、昔を懐かしみグラスを傾けている。


 だが、しかし、せめて、せめてオートリバース機能だけは、あったほうがいい。

 なんだか、あのA面からB面に変えににいく『間』が、しこたま前戯を施した後、そそくさとコンドームを装着しているときの『間』に酷似していて、どうにも照れ臭い。

 今ではもう、「クンニしながら装着」という技を身につけたけれども、テープの入れ替えは未だに、はにかみながらじゃないと出来ないんだ。
コメント (2)
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