雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

悪人/吉田 修一

2008-03-22 | 小説
 こ、これは・・・傑作でした。

 一応これは『ミステリー』に分類されるんだろうけど、的確にいうなら『社会派サスペンス』だと思う。

 今更ながら気付いたことなんだけど、オレってそういう『社会派サスペンス』が好きなんだろうなー。松本清張とか、宮部みゆきとか。

 松本清張は読んだことないけれど、映画とかTVドラマで観るの好きだし。

 なんだかこの『悪人』読んでる最中、やたらと宮部みゆきの『模倣犯』やら『理由』を思い出しちゃうし。

 ようするに、そういう、奇抜なトリックとか意外な犯人とかではなくて、読んでるとなんだか「本当にあった事件のような気がする」的なリアリティーのある犯罪小説。

 文章力に優れた方のこういう小説って、本当に惹き込まれてしまう。登場人物たちの心情とかも痛いほど伝わってきて、本当に胸苦しく、切なくなってきた。そういうところがまた、ただの犯罪小説ってだけで終わらなくって、ズクズクと心に打ち潜っていく小説でした。

 改めて、吉田修一という作家さんの力量に感服させられました。

 ホント、今まで自分が読んだ、広い意味でのミステリー小説の中でもかなりのフェイバリットです。


 読後、本当の「悪人」は誰なのか?本当の「悪人」とは、どういう人間なのか?そういうことをしみじみ考えさせられる、傑作です。
コメント (2)
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