雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

グ、ア、ム/本谷 有希子

2008-11-11 | 小説
≪母・姉・妹の女3人、いざ南の島へ! それぞれの世代の叫びがぶつかり合う、壮絶で痛快な本谷流ホームドラマ。
 子煩悩な母(パート主婦)、わがままな姉(フリーター)、堅実派の妹(信用金庫勤務)。女3人が連れ立って、初めての海外へ(父は留守番)。楽しいはずの道中は、天気も気分も荒れ模様――。遺伝子は一緒なのに、どうしてこんなにバラバラなのか。やっぱり「世代」が違うせい? 21世紀の家族の心の叫びをリアルに描き切った傑作。≫


 たかが母娘二人の2泊3日グアム旅行の話が、なぜこんなにおもしろおかしいのだ!それはね、やっぱり本谷有希子だから。皮肉とペーソスにまみれながらも逆説的な愛を描く、これぞ『本谷節!』が炸裂しまくっているから。

 読書中、終始ニヤニヤニヤニヤしてました。気持ち悪いです。

 前半部分では家族の生活&性格を描いているんだけれど、それだけでも充分楽しめる。そしてそれらを踏まえての家族旅行(父は留守番)もう、これでもかっ!ってくらいどんよりしています。まさに北陸の空です。

 そうそう、これ読んでて思ったのが、家族の会話が全部、北陸(石川)の方言で書かれているのですが、どうも、読みにくい・・・。
 他の小説などで他の地方(大阪や広島、秋田、博多など)の方言での会話文は、わりとすんなり読めるのに、どうしたわけか?日頃馴れ親しんでいる言葉がいざ文面に書かれていると、どうにも違和感を覚える。
 きっと、日頃馴れ親しんでいるからこそ、そこに書かれている言葉にリアルなニュアンスを求めてしまって、ついつい頭の中でその響きを変換しちゃうんだろうなぁ・・・なんてことを思いました。
 特にここら辺の言葉は独特なので、文字に表すとかなりえぐいです。

「○○じゃないけ?」「○○じゃないが?」「○○やがいね」「○○やぞいやー」「○○してくれんけ?」「○○しまっしや」「○○ねんて」 etc・・・。

 こんな感じの言葉が、口に出せばすんなりいくのだが、頭の中だと微妙なニュアンスがとりにくくなる。

 そんな方言地獄に陥ってしまうのは、私だけなのだろうか?


 なにはともあれ、北陸のどんよりした雰囲気と本谷流ブラックな笑いが存分に楽しめる一冊なのです☆
コメント
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