雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

野球拳

2006-03-13 | 思い出
 どこぞの市議員らが研修旅行でコンパニオンのオネィチャンと野球拳をして全裸にした、というニュースを今朝観た。それについて私が思うことといえば「なんとも羨ましい、俺もまぜろ!」と、それくらいである。税金がどうのこうのと云う気もおきない。ただ、このニュースで思い出したことがあるので、ちょっと書いてみることにする。少々長くなるが、私の青春の一ページである。

 『野球拳』

 昔、ゲームセンターの片隅に『野球拳』のゲームがあった。約三十センチ四方の画面に笑顔のオネィチャンが映し出されていて百円入れるとゲームスタートだ。
 ルールはいたって簡単。オネィチャンとジャンケンをして、こちらが勝てばオネィチャンが一枚ずつ着ているものを脱いでいき、こちらが負ければゲームオーバー。それだけのゲームだが、十六歳の僕らにとっては、とても刺激的なゲームであった。
 真夜中、退屈を持て余していた僕らは、夜毎そのゲーム機を取り囲み、青春の情熱と、百円玉を惜しげなく注ぎ込んでいた。
 大抵は下着止まりだ。だが、それが僕らのツボを一層刺激して鼻息を荒くさせる。
 そんなある日、僕らはついに一線を越え、大きな乳房を露わにしたオネィチャンと最後の戦いに挑むところまで、きた!
 取り囲む友人たちはといえば、熱狂し大声で声援を贈る者、静かに息(生唾)を呑む者、全身全霊をかけて神に祈る者、様々ではあるが、想いは一つ、
「絶対、勝て!」だ。
 きっと甲子園の雰囲気はこんな感じなんだろうなぁ。そんなことを思いながらも、僕だってそりゃ勝ちたい!産まれてこのかた、これ以上ないほどの集中力と(意味不明の)計算と神への祈り(これがいちばん強い)を凝縮して勝負に挑んだ。その結果、
『勝利!』
 僕達の若きボルテージは最高潮に達した。
 と、その瞬間あろうことかゲーム機が「ブゥン」と鈍い音をたてると同時に画面が真っ暗になり、唖然とする僕らにかまうことなく、画面が復帰し、スタート画面のボディコンを着込んだオネィチャンに戻っていた。
 僕らは信じられない出来事に遭遇したかの如く呆然とその場で立ち尽くしていた。しばらくして周りからはあからさまな溜め息、怒声、落胆の空気が押し寄せてきた。そんな中、一人の友人が
「係員を呼んでくる!」と云い出した。
 しかしUFOキャッチャーとはワケが違う。こんなエロゲーで係員なんて呼んだら、いい恥さらしだ。
「やめとけ、やめとけ」と憤る友人を押し止め、僕らは苦い青春の一ページを、その純粋な胸に刻み込んだ・・・。

 社会と云うものが多少解かってきた今なら、そりゃパンツの先はゲームオーバーだろうな、と妙に寛大な心で許せることもできるのだが、当時の僕らにとって女性のパンツの下というのは『宇宙の神秘』や『死後の世界』なんかより、ずっとずっと知りたい事柄だったのである。それを踏みにじられた僕らは、そのトラウマから抜け出せず、現在、尚一層オネィチャンたちに飽くなき追求心を抱いているワケだ。

 今日のニュースを観た純粋な少年たちが、
「役人になれば税金でオネィチャンと野球拳ができるんだ!」
 そんな夢を持ってくれれば、日本も安泰であろう。 
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