ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

人間をみつめて

2009-06-02 21:11:25 | Weblog
神谷美恵子著、みすず書房

先日読んだ『生きがいについて』がとてもよかったので、引き続き読むことにした。

人は、自然や周囲の人など、いろいろな存在によって生かされている。

15年くらい前、障害をもった方のドキュメンタリーを見ていたとき、
「人は生かされているからこそ、けっして絶望はない」というようなことを
その人が言っていた。
涙が出た。

運命は、自分で選びとるものでもあり、どこかからやってくるものでもある。
いいことも、わるいことも。

そして、多くの可能性のなかから、自分で選んだと信じていた道ですら、
あとからよくよく振り返ってみると、
それ以外の道を選択するなんてありえなかったと思えるときがある。
選んだと思った道ですら、不可避なもの、与えられたものである場合がある。

だからこそ、自信をもって進めばいいし、そこに絶望はありえない。

私が大学生のころ、感じたこと。
でも、そのあと、社会人になって、
生活費を稼ぐこと、会社から「捨てられないこと」のほうが重要になって、
いつしかそんなことを考えることはなくなっていた。

特に両親が亡くなってからは、生活費を稼ぐことすら目標ではなくなった。
自分ひとりのために頑張り続けられるほど、私は強くない。

神谷さんは、本当の意味で外国を見たことのある人であり、
そして、誰とでも1人の人間としっかりと向かう誠実な心を持った人。
精神医学を学びながらも、西洋一辺倒になることなく、
らいの人とのふれあいのなかでは、たえず医者というよりも、まず人間として接した。

強く、しなかやかで、ひたむきな心をもった人。

今週から、毎晩ピアノを30分弾くことにした。
電子ピアノは、指がすべるから、いまひとつなんだけど、
でも、そうやって、もう一度気持ちを整理してみよう。