ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

他者と死者―ラカンによるレヴィナス

2009-06-12 22:13:10 | Weblog
内田樹著、海鳥社刊

私は、この本をすごくすごく面白いと思ったけど、おそらく賛否両論に分かれるんだろうなあ。
レヴィナスの文章は、
読むたびに、彼が何を考えているのか、何を見ているのかが知りたくてたまらなくなる。

それは、彼が見た光景は、もしかしたら、私が見たものと近いのではないか、と思うから。
そして、私がとらわれ、うなされるあの光景を、
言葉に置き換えて、渦巻く妄想の世界から解き放ってくれるのではないかと思うから。
そのきっかけをもらえるのではないかと思うから。

でも、レヴィナスの文章は、わかりづらい。
難しくて、読むのがイヤになる。
うんざりしながらも、どうしても投げ出すことができないレヴィナスの文章。
その読み方の示唆を、この本ではもらうことができる。

だから、レヴィナスの本を「わけがわからん」と思いながらも、
読み続けないではいられないような人でなければ、
この本の面白さは共感してもらえないだろうと思う。

それにしても、
ちかしい人を失うというのは、どうしてこんなに辛いことなんだろう。
そして、なんでこんなに、自責の念にとらわれなければならないのだろう。
失い方の問題なのだろうか。
失い続けることが、つらいのだろうか。

「他者に対する有責性」についてのくだりは、宗教の枠を超えた深みがあると思う。
そこの読みが、この本のおかげで少し進んだと思う。

話は変わって・・・、
今日、お花屋さんで真っ白なアジサイの花を買い、職場に飾った。
緑がかった白ではなくて、真っ白な花びら。

どうやったら、こんな色になるのかわからない。
自然では見たことがないと思う。

アジサイの季節、今日は晴れて暑かった。