ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

本、そして人

2009-06-27 16:29:42 | Weblog
神谷美恵子著、みすず書房刊。

ついに、このコレクションの最終刊を読み終わってしまった。
ここから先は、心に残ったことばをもとに、自分で考えていかなければならないのだなあ。

私は、いつも迷っているけれども、この半年くらいは特に何をどう考えたらいいのか、
またこの虚無感をどう転化していったらいいのか、
八方ふさがりな気分で過ごして来たので、神谷さんの文章を読んで、
本当に救ってもらったと思う。

むかしは何かを表現すること、
文章を書いたり、ピアノを弾いたり、踊りをおどったりといったことが大好きだった。

でも、20代のころから、私が表現をすると、
なかに閉じ込めておいた「悲しみ」や「不安」も一緒に出てしまうから、
それで他人を傷つけてしまうと思って、だんだん表現することをしなくなった。

いい意味でも、わるい意味でも、その場の雰囲気をもっていく、
と、よく周囲の人から言われたので、
つとめてポジティブにしようと心がけていたけれども、
本当に、つきつめて考えて乗り越えたいことは、もっと違うことだから、
だんだん疲れがたまったのだろう。

それでも、いつかこの気持ちをもっと客観的に、
そして穏やかに見ることができるようになって、
荒れていた時期でも一緒にいてくれた友人たちに、恩返しができたらいいなあ、と思う。

私は、経済的にうるおうことでも、社会的な地位をえることでもなくて、
本を読み、考え、人と接し、感じ、
そして誰かが私を思い出すとき、それは笑顔であるような人間になりたい。

そうだ。これはいつも母が私に言っていた、
私にどんな女性になって欲しいか、ということばだ。
神谷さんの本を読んで、いろいろなことを思い出した。ありがとう。