ポール・オースター著、柴田元幸訳、新潮文庫。
今回もいい文章だった。
人生は「めまい」みたいなもの。なんだか、最近私もよくそう思う。
主人公は、砂漠の中で最愛の師匠とお別れをするとき、
どうしても師匠の望みを聞いてあげることができなかった。
そして、その結果訪れたことを、ずっとずっと自分の中で引きずって生きていく。
かけがえのない存在だからこそ、「生」も「死」もない中間で喘ぐ。
私が週に1回は見る夢がある。
夢の中で私はとても複雑な気持ちでいる。
それは、急に、母が家に帰ってくることになったから。
あるときは、部屋があまりに汚いので「やばい!」とばかりに片付けをしている。
またあるときは、せっかく母が帰ってくるのだから、好きなものを買っておいてあげようと
デパ地下で、スイーツを選んでいる。
でも、夢の中で、それはたった一瞬会えるだけで、
またすぐ母が遠くへ帰って行ってしまうことを知っている。
だからこそ、その時間のために、私は全身全霊で進む。
準備が整って、さあ、あとは母を待つだけ、となったとき、
ふと目が覚める。
そして、暗闇の中で「ああ、もう二度と会うことはできないのだ。たとえ夢の中でも」と思う。
これは、母が倒れて植物状態になった18年前から、私がずっと見続けている夢。
4年前に亡くなったけれど、夢が途切れることはない。
もしかしたら、より頻繁に見るようになったかもしれない。
悪い時は毎晩だ。
そして、翌日は、精神的に半分くらい死んでいる。
それなら、もっと明るくて楽しい本を読んで、上書きしてしまえばいいじゃないか。
いやいや、そうはならない。
そうなることはできない。
なぜなら、私はあまりにも愛しているから。
今回もいい文章だった。
人生は「めまい」みたいなもの。なんだか、最近私もよくそう思う。
主人公は、砂漠の中で最愛の師匠とお別れをするとき、
どうしても師匠の望みを聞いてあげることができなかった。
そして、その結果訪れたことを、ずっとずっと自分の中で引きずって生きていく。
かけがえのない存在だからこそ、「生」も「死」もない中間で喘ぐ。
私が週に1回は見る夢がある。
夢の中で私はとても複雑な気持ちでいる。
それは、急に、母が家に帰ってくることになったから。
あるときは、部屋があまりに汚いので「やばい!」とばかりに片付けをしている。
またあるときは、せっかく母が帰ってくるのだから、好きなものを買っておいてあげようと
デパ地下で、スイーツを選んでいる。
でも、夢の中で、それはたった一瞬会えるだけで、
またすぐ母が遠くへ帰って行ってしまうことを知っている。
だからこそ、その時間のために、私は全身全霊で進む。
準備が整って、さあ、あとは母を待つだけ、となったとき、
ふと目が覚める。
そして、暗闇の中で「ああ、もう二度と会うことはできないのだ。たとえ夢の中でも」と思う。
これは、母が倒れて植物状態になった18年前から、私がずっと見続けている夢。
4年前に亡くなったけれど、夢が途切れることはない。
もしかしたら、より頻繁に見るようになったかもしれない。
悪い時は毎晩だ。
そして、翌日は、精神的に半分くらい死んでいる。
それなら、もっと明るくて楽しい本を読んで、上書きしてしまえばいいじゃないか。
いやいや、そうはならない。
そうなることはできない。
なぜなら、私はあまりにも愛しているから。