ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ロケット

2013-08-18 19:03:01 | Weblog
中国東部と聞いて、そこに上海が含まれることに今ひとつピンと来なかった。

ネットニュースの「中国東部で大干ばつ、人工降雨の実施求め暴動も」という見出し。
深センから来た同僚は、確かに上海のほうが暑い、と言っていたけど、
最近上海は35度くらいだから、一時期の連日40度超えも少しおさまり暑さも一段落、
だって上がっても人肌ぐらいだもん、という気分だった。
この感覚が、すでに狂っているとも言える。

それにしても、龍井茶の茶畑がある辺りが干ばつなのは心配だ。
上海市はいまでこそ直轄市だけど、もとは浙江省の一部。
龍井茶で有名な杭州市にも近い。
実はまだ杭州に行ったことがなく、有名な西湖には、
秋の新茶の時期にでも行こうかと思っていたところだった。

がーん。例年の4割くらいしか茶葉が採れないなら、
確実に投機目的のハイエナどもが値段をつり上げ、
数年前のプーアル茶状態になるじゃないか。いや、もうなってるのかも。
春の新茶の時期に行っておけばよかったなあ。
来年の春まで、少し待つか。

それにしても、各地で人工降雨ロケットが打ち上げられ、江西省では100発以上。
安徽省の荊州ではロケットを打たないことに怒った村民が役所庁舎に殺到とは、
本当に深刻なんだろう。
ただ、ロケット1発と農民への補助金では、どちらが割安なんだろう、とか、
ロケットで私服肥やしている奴らもたくさんいるんだろうな、それに、
いまは雨乞いじゃなくてロケットなんだなあ、さすが迷信を排除した共産党だ、などと、
クーラーが効いた部屋で思うのは申し訳ない。

荊州といえば、三国時代には関羽さんが治めた土地。
義理深かったことから、中国的発想の転換によって財神に祭り上げられた関羽さん。
彼だったら、この事態をどう収めただろうか。

でもロケットを大気圏で炸裂させたら、それこそ地球上のすべての土地に、
ダストが行ってしまうんじゃないのかな。
それで降った雨には、変なものは混じってないのかな。
そして、そういった変なものは、偏西風に乗ってまずたどりつくのが日本。
ほんとに大丈夫なんだろうか。

ありがとう

2013-08-17 18:35:26 | Weblog
お盆のころは、やはりいろいろな世界が繋がるのだろうか。
先日、友人のお母さんが亡くなり、昨日は親戚のおばあちゃんが亡くなった。
きっとたくさんの方にお迎えしてもらって、
さびしいことなく旅立ったんだろうと思う。

桜の下で死にたいと詠った人もいるけれど、
なんとなく、お盆もいい季節だと思う。

昨日亡くなった親戚のおばあちゃんは、血は繋がっていないけれど、
私のことを本当の孫のように思ってくれて、よく世話を焼いてくれた。

むかしは料理店をやっていたので、
父は仕事の仲間と一緒によく利用させてもらっていたし、
母は、週に1回、手伝いに行っていた。
戦後の混乱を生き抜き、女手ひとつで息子を育てた誇り。
そして、働く女性の、しかも人を動かす地位の人がもつ強さと心配りを、
なんとなく空気で教えてくれる人だった。

おかげで叔母はたいへんだったみたいだけど、
介護をよく頑張っていたし、逝った人も、遺された人も、
本当にお疲れさまでした、という気持ちでいっぱいだ。

私は上海にいるので、お葬式には行けないから、
電話で叔母に申し訳ないと伝えた上で、
国慶節のお休みで帰ったときに、お墓参りさせてもらうことにした。
羽田便じゃなくて、成田便にすればよかった。安いし・・・。

人が亡くなると、もっと話しておけばよかった、と思う。

少し話が変わるが、昨晩は、仕事関連の先輩たちと飲んでいて、
ある人が言っていた。
日本の技術力と競争力が落ちたのは、リストラを数だけで行い、
若返りという名のコスト削減を行って、
結果、優秀な人が韓国や台湾をはじめとする新興企業に流れたから、と。
日本の大企業は、最後は財務が強い。
なぜなら、財務は銀行との繋がりがあるから。
でも、メーカーにとって一番大切なのは、財務ではない、と。

そこで、私が不思議に思ったのは以下のこと。
ではなぜ、自分たちで、海外で会社を作らなかったのだろう、と。
彼らが大量にリストラされた10年前であれば、
中国をはじめとするローカル企業を実質的に乗っ取ることは可能だったはず。
なぜ、そういった冒険をしないで、一定の金額を提示してくれる外国の企業に流れ、
技術を伝えきった後に、そこからも追い出されるようなハメに陥るのだろうか。
確かに全員がそうではないだろうけど、話を聞く範囲では、かなりの人数が
そのような経験を強いられているような印象を受ける。

非常に日本人らしいと思う。

だからこそ、海外で頑張っている私たちの、彼らよりも若い日本人のもとに、
彼らは戻って来てくれるのだろうと思う。
日本人に技術と心を伝えるために。

国と日本人としての価値観が、ある人たちの人生を狂わせた。
それは、約70年前の日本でもあったことだし、
いまでも自殺者の数は、戦争の比にはならないとはいえ、相当な数だ。
でも、時はめぐり、日本が戦後の復興を果たしたように、
いま私は上海で、この人たちにめぐり会ったんだと思う。

昨晩、叔母から聞いた訃報のあと、
日本人のおじさんたちの話を聞きながら、
きっと、この人たちの子どもたちは、父親とこんな話をしたことがないだろう。
そう思った。
私は両親を比較的早くに亡くしたけれど、
父とも母とも、仕事や生きることについての話をよくした。
その経験が、いま、彼らと話す時の基本姿勢になっていると思う。

ありがとうは、こういう気持ちを伝えるための言葉なんだなあ。
中国語で「ありがとう」は「謝謝」だけど、
やっぱり「有難う」のほうがいい。

二人称まで

2013-08-15 23:33:31 | Weblog
今日、中国人たちと一緒に、あることがらを考えていて、
ふと思ったことがある。

中国人は、よく話す。
が、話の内容はだいたい決まっている。
・おれはこうだ。
・おれはこう思う。
・おれってすごい。

で、他人のことを話すときには、基本上から目線で、
・あいつはあんなんだ。
・こんなどじをふんだ。
・まったくこんなだ。
と言った具合。

だから、お互いが当事者のことがらについて、
お互いを三人称的にとらえ、
客観的に現実を構築するような話が、あまり発展しない。
基本、一人称しかなく、多くて二人称までだから。

ということで、何か新しいことを始めようとするときに、
誰がやるかは一端わきにおいて、目標に対して必要なことは何かを話し合う、
という話題は、まったく弾まない。

そして、彼らが他人のことをとやかく言う時は、
影で揶揄して言うときに限られ、
みんなの前で、堂々と話すことも、やはりしない。

日本なんかが対象の場合は、
共産党が「悪口言っていいよ!」と認めているから、
個人が特定されないような場合には、思い切り悪口を言ってくるけど、
これが、共産党のお墨付きがなかったり、
また、個人が特定されるような場合には、まず声を上げない。

ということで、仕組みを考えるのは、やはり日本人の方が上手で、
それが個人の権益に結びつくとわかった途端に、
猛烈な勢いで横から奪って行くのが中国人だというのに、妙に納得した。

ぐったり

2013-08-15 00:59:28 | Weblog
日本は夏休みの季節なんだなあ、と、指をくわえる。

中国では、
基本的に国営企業のダラダラ勤務をもとに出勤日が決められているので、
休みが少ない。

そりゃあ、朝9時始業でも、ゆっくり来て、
昼休みは実質11時から14時までで、
夕方は16時半くらいに帰る準備を始める人たちなら、
「こんなに暑いのに、外に出るくらいなら、会社でゆっくりしてよう」と
出社に対して熱心な(?)気持ちになるかもしれない。

でも、日本のペースで働こうとして、
かつ中国の休日数だと、結構つらい。
ビタミン剤でも飲むかなあ、という気持ちになる。

今年の夏は暑いし。
「今日はまだいいよ。公式発表38度だって」なんていう日々は、
本当につらい。

夜も、空調を止めて寝ているので、夜中に何回か目が覚める。
でも空調を付けっぱなしで風邪を引くよりはマシだ。

ひさしぶりに、ひぐらしの声が聞きたいなあ。

最近の

2013-08-14 00:31:27 | Weblog
今朝、同僚の中国人に相談した。
彼女は、中国の有名大学を出ていて、みんなも一目置いているし、
私から見ても、部下からの信頼が厚い。
しかも、ものすごく日本語が上手だし、
今の会社の前は、日本の大手企業に勤めていた。

聞いた内容はこんなこと。
私の部下の90后新卒は、私が何か仕事上で指示をすると「行(xing2)」と回答する。
私の理解では「行」は「いいわ」くらいの意味で、
友だち同士や、自分のほうが立場が上で許可を出すときに使う言葉だったと思う。
だから、私からの仕事の指示に対する返答は「知道了(わかりました)」が
普通だと思うんだけど、どうなんだろうか?と。

同僚いわく、私の理解は正しいと。
そして「最近の若い子たち」は、家庭でも学校でも、
他人を尊重したり、目上の人に敬意を払うことをまったく教わらないから、
そういう失礼な言葉遣いを、知らずに使う。
彼女たちも、教わってないから知らないだけで、悪気はない。
これは、中国のあらゆるところで、問題視されている現象だ、と。

では、どのように本人に注意したらいいのだろう。
私は日本人だから、ちゃんと教えられる自信がない、と言ったら、
冗談のように言うか、2人きりのときに言うのがいいとのアドバイス。
はっきり言うと、他人から注意された経験が少ない若い人は、
ショックを受けすぎるから、と。

なるほど、と思った。
が、その間合いが、やっぱり私にはわからない。

午後、同じ部署の他の中国人スタッフが、90后新卒に仕事を説明していたとき、
新卒さんは友だち同士のような受け答えをしていたので、
「ねえねえ、2人の会話を聞いていると、あなたのほうがリーダーみたいだね。
 ちょっとだけでいいから、もう少し話し方に注意してね」と、
結局、単刀直入に言ってしまった。

その後、少しフォローはしておいたけれど、大丈夫かな。
表面上は、いちおう新卒さん本人も、
「意識していなかったので、これから改めます」との返事だったので、
なんとかなったような気はするんだけど。

でも、明日の朝、来なかったりして。
中国はあり得るからなあ。

胃袋

2013-08-12 23:20:38 | Weblog
昼間、韓国料理屋さんで昼食を食べた。
私はビビンバ、友人は冷麺。

隣の席には上海人の老夫婦がいた。
旦那さんがお会計に行っているあいだに、老婦人から話かけられた。
見た感じでは70歳くらい。

いわく、
「お嬢さんたちも焼き肉をお食べなさいよ。
 たった60元で食べ放題。お腹いっぱいに食べられるわよ。
 牛肉も羊肉も美味しい。これは食べなきゃ損よ!」と。

昼間の気温約40度。
社員はほとんど全員、冷房病による風邪を引いている。

しか~し、老夫婦は元気だ。
旦那さんも戻って来て、「焼き肉を食べるべきだ」と力説。

日本人で、老夫婦で、40度もする真夏の昼間に、
焼き肉を60元で食べ放題と言って、お皿をずらりと並べ、
ばくばく食べる人は・・・、少ないと思う。

中国人の胃袋、まさに恐るべし。

そして会社に戻り、
幼児語で話す80后、90后の女子たちに対し、
一発かましてやりたい気持ちを必死でおさえた。
まったく会社で幼児語なんて、恥ずかしいっつーの!

70歳になったとき、
私の胃袋は、確実に彼女たちに負けているだろうから、
ケンカしない方が得策だろう。
彼女たちには、そういう意味での恥じらいという感覚はないわけだし。

大人の都合

2013-08-11 18:51:40 | Weblog
週末の間にやらなければならない仕事を持って帰ってきた。
いちおう終わったのだけど、それにしても家には誘惑が多い。
どこを向いても読みたい本だらけだ。

つまり、人から借りた本が、雑然と積まれているので、
どこを向いても目に入る。

さて、最近の日本では、といっても上海で窺い知る日本なので、
主にネットでの情報が主になるが、
一時期までの自虐史観がなりをひそめ、
どちらかというと、日本ってやっぱりスゴい国だぜ!モードなんだろうと思う。

基本路線としては賛成。
右傾化礼賛という意味ではなくて、
東京裁判を鵜呑みにする必要はない、という意味で。

昨日、友人と話をしていて、なるほど、と思ったことがある。
中国でも、南京大虐殺は、日本の蛮行としてよく話題に上る。
でも、731部隊の人体実験は、中国でもあまり話題に上らない。
それはなぜだろうか。

南京で亡くなった人の数が何万人だろうが、
それが全部日本軍のせいだとか、いやいや国民党だってやっただろうとか、
そんなことを論じても、私は水掛け論になると思う。
でも、731は確実にあった。亡くなった人数は「大虐殺」ではないけど、
人道的な観点からしたら「虐殺」そのものだったと思う。

私としては、この違いは東京裁判のせいだと思っている。
東京裁判で、731も裁くように国民党は働きかけたが、
731のデータがほしかったアメリカが黙殺した。
黙殺したばかりか、占領下の日本で研究を続けさせた。
一方の南京は、東京裁判でA級戦犯を裁く罪状のひとつとなった。

中国は当時、国民党の時代だった。
国民党は、武器から軍隊の育成まで、アメリカに頼っていた。
だから、アメリカが「No」と言うことには従わざるを得なかった。
そして共産党は、国民党の路線を引き継いだ。
南京大虐殺であれば、連合国がさばいた罪状の中にあるのだから、
それが少々脚色されていようが、連合国は絶対に「なかった」とは言わないからだ。

そしていま、日本も731のような闇の歴史を伝える努力をしなくなってきている。
それは、右傾化以前の問題として、憂うべきことだと思う。
日本の出版社は、売れるから出版するだけではダメだ。
伝える義務を持っているのだから。

これを言うと、すごいファンの人たちは、嫌がるのだけど、
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」は、満洲国への夢だと思っている。

測量をしている人たち。砲兵たち。
「今こそ渡れ、渡り鳥」は、まるで満蒙開拓移民のようだし、
銀河鉄道からは、トウモロコシ畑が見える。
満鉄の車窓からもトウモロコシ畑が見えただろう。
ハルピン、長春、大連、ロシアが建てた西洋風の建物が並ぶ。
そして、鉄道に乗っている人は、「知らない言葉」で話す。
サウザンクロスが見えるのは、大東亜共栄圏の南の果てだ。

当時、日本の貧しい東北の農村の人たちが、満足に食べられるようになるために、
満洲国に夢を描いたとしても不思議ではないと思う。

だからといって、私は宮沢賢治が平和の代名詞であることに異論はない。
侵略主義者だと言う気もない。

ただ、私とは違う世代の人だと思うだけだ。
それを前提に、その人が描いた夢を知りたいだけだ。

日本人は極端に走るので、その気になると一致団結して素晴らしい技術を産む。
村八分を恐れて、とりあえず場を読む人も多い。
ただ、売文業者は、もっと客観性を持つべきだと思う。
大人の都合では、思想は育たない。

格差

2013-08-10 14:43:53 | Weblog
日本も猛暑のようだけど、上海も暑い。
連日40度越え。香港あたりよりもずっと暑いようだ。
比較的、暑さに強い体質でよかった。

東京も私が小さい頃は、熱帯夜なんて1週間くらいのものだった。
立秋以降は、徐々に朝晩は涼しくなっていた。
そう上海人に言ったら、上海も少し前まではそうだったとのこと。
この暑さは自然ではなくて、人工のもののようだ。

同僚の中国人女子80后と夕飯を食べた。
中国の女性は、あまりお酒を飲まないし、夜更かしもしない。
だから、さっくり食べて、さっくり帰る。
私は暑さのせいと、金曜の夜だということ、
あと、仕事でちょっと疲れたせいもあってビールを飲んだ。
そしたら、小瓶が1本終わったところで「飲みすぎちゃダメですよ」とたしなめられた。
はい。気をつけます。

彼女は日本語科卒業なので、とても日本語が上手だ。
しぐさも慎ましいし、遠慮もすれば、すみませんと謝る。
私がほかの中国人スタッフに、
「これは日本のお客さんに見せるから、ここまでやって」と言うと、
「そんなの俺には関係ない。めんどくさいから、いやだ」と反抗されるのだけど、
彼女は「はい、わかりました。でもどうやったらいいかわからない。
後で見てください」と言って、こころよく協力してくれる。
非常にめずらしい中国人の80后だ。

彼女がそんな性格になったきっかけは、どうやら2つあったらしい。
1つめは大学に入ったころのこと。
親元を離れて中国東北部の都市にある大学に入ったとき、知り合った年配の中国人女性が、
「学校で習う歴史なんてウソばっかりだ。国民党だって、そんなに悪かったわけじゃない」と
例を挙げて話してくれたらしい。
それでとても驚いた、と。

2つめは、初めて日本に行ったときのこと。
みんな礼儀正しくて、サービスもよくて、親切で、すごくよかった。
中国国内にいる間は、なんとなくおかしいなと思うことがあっても、
具体的に経験していないからよくわからない。
実際に外に出てみると、それがよくわかる。
そして、厳格だった祖父の家庭教育が、どれだけ素晴らしかったのか、
もう亡くなったけれども、いま改めてすごい人だったと尊敬している、と。

そして自己分析として、
自分の頭で考えて行動に移すことがとても苦手だと思っているらしい。
私から見ると、彼女は十分に考える力と工夫ができる力をもっていると思うけど、
確かにアプローチの仕方が「暗記型」だとも感じる。

私はと言うと、彼女を見ていると、
中国のエリートは、なるほどこういう学校教育を受けて来たんだな、と思う。
そして、田舎の専門学校を卒業した人たちは、
やはり「仕事はするだけ損」という感覚を持っていて、
学歴の差は、意識の差に大きく関係していると感じる。
これは、日本人が想像する以上の違いだと思う。

ということで、有名大学卒業の人に対して、
いわゆる日本人が持っている中国人のイメージで接すると、
それは非常に失礼なことになるし、(向こうの方が賢いことも多いから)
中国の一握りのエリートと話す感覚で普通の中国人の職員と話すと、
あまりにも話が通じなくて、イライラする。
そして、普通の中国人というのは、おそらく10億人くらいいる。

この10億人くらいを相手に見ているようなら、
まだまだ日本人は優秀な感じがするけれども、
残りの3億人以上いると思われるエリートたちを考えると、
それだけで、日本の全人口よりも数が多いわけだから、
なかなか少数精鋭というのも、実現が難しい話だと思う。

アンバランス

2013-08-09 00:27:08 | Weblog
昼食を食べに外へ出たら、iPhoneの温度計が40度を指していた。

連日の猛暑のため、社員の中国人はみな具合が悪い。
不思議なことに日本人は結構元気だ。
なんだろうか、この差は。

夜、冷房をかけたままで寝る習慣の習熟度と見ているのだけど、
さて、どうだろう。

上海人の金持ち社員たちは、暑いから歩くのイヤ、とのことで、
しっかり車で通勤している。

私はバス。
バスの場合、空調が直撃するように仕向けられていて、
通風口は非常に汚れているため、触って向きを変えたくはなく、
そのまま約10分間、我慢することになる。
まあ、たったの10分なので、日本にいた頃の通勤電車の寒さ暑さに比べたら、
まだマシと思う。
乗客も、みっちりするほど混んでないし、たいてい座れるから。

最近、通勤のバスのなかで、似合わない曲を聞くのが、マイブームだ。
いまのところの1番似合わない曲は、讃美歌。
世界で一番神を信じていない国民のなかで讃美歌は異次元すぎる。

くちゃくちゃと音を立てて朝食をほおばる人の横でのジャズ。
音が助長されて腹が立つ。

話し声が大きい上海人のおばちゃんの横で、マーラーの大地の歌。
これは本当に頭がくらくらする。

いっぽう、タンゴはあってしまうのでダメだ。
ピンクフロイドは、ケンカをふっかけられたら買ってしまいそうな気分になるので、
危ないからやめておいてる。
大好きなラフマニノフは、曲に対して失礼なので、
外では聞かないことにしている。

ああ、明日はやっと金曜日だなあ。

文字

2013-08-08 01:11:51 | Weblog
悪い言葉というのは覚えやすいものである。

日本語を教えている中国人の後輩が昨日覚えた言葉。
「つるつる」

本日一緒に外出した際に、たくさん「光頭」の人たちがいたので、
「ほら、あれがつるつるだよ」と教えたら、
「あ、ここにもあそこにも、つるつるがいる!」と大喜びし、
「つるつる」は、常用詞(よく使う単語)に分類されることになった。

外国語を教えるときには、演技力が問われると思う。
「ふらふら」「にやにや」「ひりひり」など、
五十音の発音練習で出てくる言葉には擬態語が多く、
これらの意味を説明するには、私の中国語力は足りず、
「ふらふら」「にやにや」は、
「こんな状況下でね」と前置きして演技することになる。

「ひりひり」に至っては、非常に難しい。
これは、演技をもってしても、伝わらなかったと思う。
日に焼けたら肌がひりひりするでしょ。
ころんですりむいたら、ひりひりするでしょ。
これはね、火傷の痛さを表現するんだよ、と言っても、
なかなか感覚までは伝わらない。

こういうとき、お笑いの人たちの伝達力は、本当に素晴らしいと思う。

今日は、幼い頃、母が私に文字を教えてくれたときのことを思い出した。

背筋を伸ばして、心をこめて、丁寧に書きなさい。
書き順は字の命。
文字にも命があって、私たちは文字の命をかりて、気持ちを伝えるのよ。

これが母の口癖だった。

おかげで、私は比較的、字がきれいだと言われるようになり、
そしていま、とても助かっている。
中国で、文字を美しく書けることは、たいへん価値があることで、
文字を書いただけで「あなたは知識人ですね」と言ってもらえる。

実際のところ、人間にとって一番大切なのは、やはり家庭教育だと思う。