豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

水曜日の食卓(2)

2006年02月05日 | Weblog
「水曜日の食卓」観劇報告です。

実を申すと、ひところ流行った動物占いでは、ライオンだったワタクシ。
その特性は、「どこででも、寝る!」。
本当にそこは当たってて、どこででも寝ます。
電車の中、バスの中は言うに及ばず、観劇中でも、映画観てても、バレエ観てても、コンサートに行ってても、気を赦すと、寝てます。
とくに、真面目な展開だと確実に寝ます。

昨日は、正直心配で、こっくりこくり船漕いだらどうしよう。
失礼だし・・・。と、一抹の不安の中、出かけていったのです。
なにせ、生真面目そうな文化振興系の催しですし。

結果は、大丈夫でした。
とってもOKだったの。

コントやギャグ、突然のびっくりも、なーんにもなかったのに大丈夫でした。
いつも、ワタクシが親しんでいるプロの劇団、いえいえそれ以上に素晴らしかったのです。

家族の物語・・ということで、お決まりのいろんな場面を想定していたのですが、
たしかに、そうではあっても、素直に胸に迫ってくるものがありました。
二時間半の時間を費やしてしか、味わえないものなので、ここで数十文字で表すことはできないのが残念です。
でも、舞台ってそういうものなのでしょうから、しかたがありませんね。
とはいえ、すこしだけ、周りの状況を報告してみましょう。

私の、二つ隣の方は、ある場面で突然、号泣され始めました。
堰を切ったようにって言うけど、本当にそんな感じ。しばらく嗚咽が聞こえてきてました。
どこの家にもあるような会話が展開しているだけなのに、何か、その方の気持ちに問いかけるものがあったのでしょうね。
私自身も、まつげだけでは支えきれない水滴を抱えて舞台を見つめていました。
それがときどき、つーっと溢れてきて、あ~~ファンデーションが崩れるやないかいって、冷や汗かいてました。跡がつくと、みっともないからさ、帰るときにね。

お母さん・・・・・・専業主婦から近所の幼稚園で二十年ぶりに先生に復帰。
お父さん・・・・・・亭主関白。営業から左遷されて結局はリストラ?
お父さんの妹・・居候。売れない漫画家。工場勤めのパートも。結婚を考えている恋人は朝鮮籍。
息子(長男)・・・・医学生。でも、実は料理人志望。恋人が妊娠している。
娘(長女)・・・・・幼い頃からの聴覚障害がある。ひっこみじあん。聾学校に通学中。

この設定の中で、だいたい想像がつきますよね、おおまかな展開は。
それが、優しく丁寧にきちんと描かれていました。
過剰でない演技と台詞のやり取りなのに、観客を飽きさせない。
これは、本当に見事でした。
しかも、食卓がメインなので、ものを食べながらの進行です。
役者さんたちはこのイベントのためにオーディションで選ばれた方たちですが、
とても自然にこなされていました。
演出のマキノノゾミさんのお力も大きかったのだと思います。

この企画は、舞台を作ることを勉強する、経験するという試みでもあるので、上演までにも演劇講座や、稽古の公開もありました。
観にいってみる機会もあったのですが、ぶっつけ本番で観てむしろ良かったのかなと思いました。
敢えて筋立ても聞いておかなかったので、さらな気持ちで臨むことができました。
その方が、作品とはきちんとお会いすることができたのかも。

娘は、バイトはしていないので、本格的に大人の仕事をまじかで見るのはこれが初めてです。
自分の興味がある分野でそれができて本当に幸せだと思いました。
また、その扱う題材が、エンターテインメント性の強いものではなく、奇をてらわず真摯に対象に向き合う、静かでしかも内容の充実した舞台に関われたことも良かったのではないかと思います。
アフタートークで、マキノさんが、食卓の設定をウラで支えているスタッフの仕事振りも褒めてくださいました。
彼女たちは、撤収作業でそれは聞いていなかったそうですが、とてもうれしいことでした。
本当に、大変だったけど、かけがえのない時間を過ごすことができたことでしょう。

最後の舞台を、これから無事につとめてきて欲しいです。
今日は、打ち上げでしょうか?
これも、初めての経験です。
どんな感想を抱いて帰るのか、興味しんしんです。