豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

ナイスミドル

2006年02月26日 | Weblog
新卒から数年間勤めた会社で知り合ったおじ様方には素敵な方々がたくさんいらっしゃいました。
中でも映画通のM氏は、古武道の愛好家という面も併せ持つ硬軟取り混ぜた魅力溢れた方でした。以前の言い方ならばナイスミドル、今ならそうね、チョイ悪おやじ?

デスクには007のボンドガール風美女の写真!
熟女が大好きとかで私たちはションベン臭い・・と相手にされませんでした。

仕事の指導も手取り足取りというよりも、じっと見ていてポイントは外さずシビアな評を下すというやり方。
決して上からものを言うようなことはない方だったのに、その当時受けた数々の指摘は、今も時折冷や汗とともに蘇ってきます。

飲み会も楽しいものでした。
お説教されることも熱く語られることもありませんでした。
そんなM氏に、若気の至りで私たちはある質問をしたことがありました。
「今まで見た映画の中で~~、何が一番良かったですか~~?」という、
映画について一方ならぬ思い入れを抱かれている方に対してはなかなか大胆な質問です。

いつものようにはぐらかされるだろうと思っていたところ、帰ってきたのは予想外の答えでした。
いわく・・。
とても、一本だけというわけにはいかないということ。
そして、無理に三本にするとしたら、「雨に唄えば」、「シェーン」そして「青い麦」であると。

その場しのぎの答えでなく、真摯に答えてくださったこと。
聖域とも言うべき分野への興味本位の質問に真面目に答えてくださったことに、驚きとともに感謝の念を抱いたことを覚えています。

それ以上の質問をしたかどうかはすっかり忘れてしまったのですが、この三本の映画の題名は胸に深く刻まれました。

一昨年、M氏は地元の情報誌に連載されていた映画についてのエッセイをまとめた本を出されました。
改めて氏の映画への愛情を感じさせられたとともに、各作品のお好きな理由も語ってくださっていたのが興味深かったです。

素敵な年の取り方においても、尊敬できる大先輩。
惚れ抜いて獲得された、それはそれは素敵な奥様とともに目標としたい憧れの方です。