Vironのレトロドール

いつもよりだいぶ早めに仕事がおわった。
この時間なら、大好きなパン屋さんで
その日さいごにバゲットが焼きあがる時間帯に間にあうかも？
たしか夜７時ころといっていたような。

その店は、渋谷の東急本店の向かいにあるViron。



１０年近くまえ、仕事へむかう途中で偶然みつけた。
「なんだかパリのパン屋みたい」と思わずたちよった。

パリで数週間すごし帰ってきたばかりで
記憶も印象もまだ鮮明だったころ。
その日の夕食用にとバゲットサンドを買った。
仕事場での殺伐とした（？）夕食が一転して幸せなものに。

決め手はバゲットだと思う。
粉の味がしっかりあり、充実した味なのだ。
きけば、フランスの小麦粉をつかっているとか。
その名もレトロドール。



その後しばらく、夕食用のサンドイッチのほかに
朝食用のバゲットまで買って仕事場に行ったほど気にいった。
当時は開店したばかりだったので
まだそこまで混んでいなかった。

それが、その後めきめき評判をあげたらしく
最近は店に立ちよっても混んでいて、
レジ待ちできずに購入をあきらめたり、
すいていると思うとバゲットがなかったり。

さいわい今日は、
７時ちょっと前という絶好のタイミング。
…やっぱりあった、レトロドール。
焼きたてで、あたたかい。

これから仕事場に向かうところだったら
焼きたてをかじって歩くんだけれど。
駅へとむかう道は人が多く混みあっていて
のんびりバゲットの先をかじりたい道じゃない。

家についてから、あらためてバゲットとご対面。



長さ約５０ｃｍ、周囲約１５ｃｍと
日本のベーカリーでみかけるバゲットより長めかつ細め。
これで３８０円くらい。

パリではこれが約８０円だったけど（２０００年１２月末現在）、
それは日本の米のように、やはり政府のバックアップで
主食の価格が抑えられていると聞いた。

バゲットを切って、かるく焼く。
断面もうつくしい。
外側はぱりっとしながら、内側はもっちり弾力がある。
その感じがすこしでも伝わりますように。



レトロドールと再会。喜びのひととき。
コーヒーを淹れて、「いただきます」。