湘南ゆるガシ日和 ・・・急がず、休まず

湘南でゆるゆら暮らしココロ赴く先へガシガシ出かけるライター山秋真が更新。updated by Shin Yamaaki

いのちの実感を得るには?/上関町議選

2010-02-09 23:30:54 | 祝島沖・上関原発計画

瀬戸内海にうかぶハート型の島・祝島(いわいしま)をえがく
ドキュメンタリ映画『祝の島(ほうりのしま)』の第3回座談会。
おかげさまで先月末、無事に終了した。

こんかいのゲストの内藤いづみさんは在宅ホスピス医。
患者さんが家で最期をむかえられるようサポートする
ホスピス運動のパイオニアだ。

出産や死という「いのちの現場」が
専門家の手にあずけられ施設でいとなまれる時代にあって、
「いのちのハンドル」を自身の手にとりもどそうと
自宅=地域でいのちの最期をすごしたいと願う死にゆく患者さんを、
医者としてささえている。

昨年おめにかかって内藤さんのパワーに惹かれたわたしは、
正月あけから内藤さんのご著書『最高に幸せな生き方と死の迎え方
(2009,オフィスエム)などを読み、「いのち」について思いめぐらしつつ
1月28日の座談会を楽しみにしていた。



  まえがき  永六輔   
  一章    最期まで慣れた家で過ごしたい     
  二章    ホスピスをどう考えたらよいか     
  三章    みんなの痛みを消し去りたい!      
  四章    在宅治療は「家族の姿」が現れる     
  五章    最期までいい生き方をしたい     
  あとがき  対談:永六輔+内藤いづみ 

そして迎えた当日。
まずは、ハナブサ監督が特別編集した祝島の映像をみる。
いのちの実感あふれる暮らしが目の前にうつしだされた。

ホタテをおかずに夕食をかこむ老夫婦。
ひざを痛め湿布をはりながら、
山奥の畑で収穫した枇杷の実を背負子でかつぎ、
路上のトラクターへはこぶため何往復もするじいちゃん。

墓参りのお花きりのため山へいき、
マキの木をよじのぼってノコギリで枝をきり、
路上でひろげて綺麗にあしらえてから、
海にむかって山の急斜面にたちならぶ墓にでかけ、
15軒分の墓掃除をして花をそなえ、手をあわせるばあちゃん。

山や海で働きつづける祝島のじじばばたちは、
「いのちのハンドル」を手中にして生きているように見える。

なのに、いまやその人たちも、それまで持っていたそのハンドルを
いのちの最期のときには手放さざるをえなくなるほど、つまり
地域社会が存続しつづけられないほど、過疎高齢化が進みつつあり、
それが不安をもたらしているという…。

そのあと休憩をはさみ、内藤さんの活動をDVDで紹介。
短いけれど在宅ホスピス医の現場がよく伝わるDVDで、
伝わりすぎて、
死にゆく家族を自宅でみおくる場面で不覚にも涙してしまい、
座談会の準備を考えていた頭が真っ白になってしまったほど(反省…)。

こうしてみると、
現在の日本社会ではほぼ失われてしまい、だからこそ
「せめて最期のときには取りもどそう」とされている「いのちの実感」が、
祝島の暮らしには残っている、といえそうに思えてきた。

なぜ、祝島にはそれが残っているのだろう?
そして、過疎と高齢化がすすむ祝島ではあるけれど、
それでもそれを失わずにすむ方法はないのだろうか?

その問いに応えて、内藤さんはいう。縁あるいのちに触れて、と。
それがいのちの実感をもたらすから、と。
いのちに触れる経験がじぶんの生への感謝に還元されてゆき、
いのちの実感をもたらすという。

そのために、わたしたちは何をしたらいいのか?

内藤さんは応える。
孤独にならない方法を探してほしい、と。
家族のみならず、近所の人・友人…
さまざまな関係性のなかに暮らすこと。
祝島では、まさにそれが、成り立っているでしょう、と。

確かに、島のじじばばの多くは一人暮らしだけど、
夕食後は近所の家にあつまってお茶をのんでいた。
テレビをみて、おしゃべりして、昼寝をして、
そして22時に解散。それを365日。

祝島で長年つづいている週一回の定例デモについても、
内藤さんは
「あれは一種の安否確認として機能しているのではないか」
という。…この指摘には思わずうなってしまった。

さいごに、そんな祝島の最新情報を。
祝島がその一部を占める、上関町の町議選のニュース(2月14日投開票)。

******

上関町議選告示 定数12に原発推進11人、反対6人

  山口県上関町への中国電力の原発建設計画を
  最大の争点とした任期満了に伴う上関町議選(定数12)が
  9日、告示された。午前9時半現在で、
  現職10人、元職1人、新人6人の計17人が立候補した。
  原発推進派は11人(現職8人、新人3人)、
  反対派は6人(現職2人、元職1人、新人3人)。

  党派別は共産党新人が1人で、後は全員が無所属となっている。
  1982年に原発構想が浮上して28年がたち、改選は7度目。
  欠員1の現職の構成は推進派9人、反対派4人。
  今回から定数は2削減され激戦となっている。
  (出典:http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201002090160.html)

*******
この選挙にはどうしたって注目するし、もっと注目してほしいけれど、
同時に、
なぜ、一地方の自治体の町議選が、国論の争点を押しつけられなきゃならないのか?
とも思う。

それぞれの自治体には、それぞれかかえる生活の諸問題もあるのに。
わたしたちはいつまでこんなことを続けるのかと、
腹立たしく、やるせなく、恥ずかしい。

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