三体Ⅲ 死神永生(劉慈欣/早川書房)
昨秋以来、紹介してきた中国SF三部作の、完結編。
できるだけネタバレを避けながら紹介してみる。
第二部の結末として到達した状態は、その性質上、きわめて不安定であり、いずれ大きく変化するはずだ。作者は、その後どのようなことが起こりうるかを深く思索し、驚愕の、しかし起こってみれば当然の筋書きを見つけたようだ。そのために必要な人物を、時代をさかのぼって描き出す。まず、主人公と奇妙な縁を取り結ぶ薄幸の青年を、その後、若き研究者として活躍する主人公を。主人公は人工冬眠を繰り返し、筋書きを追い続ける役割を与えられる。
物語の重要な要素として、物理学の「次元」と、「生命は環境に左右されるが、環境もまた生命の存在によって変わる」という視点が持ち込まれる。これらの道具立てを使って、暗黒森林の原理をこの宇宙に適用すれば、人類と三体人に、そしてこの宇宙に、どのようなことが起こるのか。結末が想像を超える、という帯の文句に誇張はない。
(ほとんど紹介になっていない。)
途中からは、物語というよりは、物理学と想像力を織り交ぜた、一種の思考実験のような感じがした。この作者にしか書けない、壮大なSF。しかし、SFファンでなくても読むべき、という評価は、とりあえず控えておこうと思う。
いずれにしても、ハードカバーを発売直後に買うのは数年ぶりで、後悔はしていない。
昨秋以来、紹介してきた中国SF三部作の、完結編。
できるだけネタバレを避けながら紹介してみる。
第二部の結末として到達した状態は、その性質上、きわめて不安定であり、いずれ大きく変化するはずだ。作者は、その後どのようなことが起こりうるかを深く思索し、驚愕の、しかし起こってみれば当然の筋書きを見つけたようだ。そのために必要な人物を、時代をさかのぼって描き出す。まず、主人公と奇妙な縁を取り結ぶ薄幸の青年を、その後、若き研究者として活躍する主人公を。主人公は人工冬眠を繰り返し、筋書きを追い続ける役割を与えられる。
物語の重要な要素として、物理学の「次元」と、「生命は環境に左右されるが、環境もまた生命の存在によって変わる」という視点が持ち込まれる。これらの道具立てを使って、暗黒森林の原理をこの宇宙に適用すれば、人類と三体人に、そしてこの宇宙に、どのようなことが起こるのか。結末が想像を超える、という帯の文句に誇張はない。
(ほとんど紹介になっていない。)
途中からは、物語というよりは、物理学と想像力を織り交ぜた、一種の思考実験のような感じがした。この作者にしか書けない、壮大なSF。しかし、SFファンでなくても読むべき、という評価は、とりあえず控えておこうと思う。
いずれにしても、ハードカバーを発売直後に買うのは数年ぶりで、後悔はしていない。
期待に違わぬ出来のようですね。
読んでみます。
SFとしては超大作と思いますが、読書の楽しみとしては第ニ部ほどでも、というのが、率直な感想です。