少し偏った読書日記

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藤井聡太論~将棋の未来~

2021-06-19 07:00:00 | 読書ブログ
藤井聡太論~将棋の未来~(谷川浩司/講談社+α文庫)

昨年9月に先崎学の『うつ病九段』を紹介したときに、谷川浩司も文章がうまかった、と過去形で書いたが、この本を読んで、決してその筆が鈍っていないことを確認した。

谷川さんは、中学生で棋士になった5人のうち、2人目。十七世名人の資格保持者。歳が近いこともあり、ずっと応援していたが、いつか3人目の羽生善治に押されて、第一線から消えていった。

羽生さんが7冠を達成したとき、羽生さんより強い人が現れることなんてあるのだろうか、と思った。その羽生さんも50歳になり、いま、将棋界最強は、4人目の渡辺明だといわれている。

そして、その渡辺さんを脅かしているのが、5人目の藤井さんだ。

谷川さんは、光速の寄せで史上最年少で名人になり、将棋界最強の立場も経験した自身の知見を踏まえて、この人でなければ捉えられない視点で藤井さんのけた外れの強さを分析している。藤井聡太論としては、現在、この本がベストだと思う。

AIの登場で様変わりした将棋界に、羽生さん以上の存在となりうる若き棋士が現れた。その行く末を見届けたい。


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