さいふうさいブログ

けんちくのこと、日々のこと、いろんなこと。長野県の建築設計事務所 栖風采プランニングのブログです。

古民家再生現場の断熱施工の様子

2012年10月24日 | 設計事例:断熱改修

長野市の古民家再生現場です。

 

とっくに断熱施工は終えておりますが、

遅ばせばがら

断熱施工の様子について記したいと思います。

 

こちらは床の断熱施工の様子です。

P1220482

乾式のセルローズファイバー55k 厚み135㎜。

  

こちらは既存の天井です。

天井裏を確認するために、天井板をずらしてあります。

P1210763

既存の天井の上には、更にスノコ天井。

更にその上には筵(むしろ)が敷いてありました。

 

この既存天井とスノコ天井の間に

今回の改修工事では、

セルローズファイバーを吹き込んでもらいます。

P9038174

セルローズファイバー25k 厚み160㎜。

 

天井の上には足場となる板などありませんので

(2階はありませんし)

梁と梁の間に足場を置きまして

這いつくばりながら

セルローズファイバーを吹き込んでいます。

 

隙間が多く、

不均一な材料で組み立てられている古民家ですから、

形のあるボード状

或いはフェルト状の断熱材より、

形の無い“屑状”の乾式セルローズファイバーの方が

古民家に馴染みが良いだろうと考えまして

主要な床・壁・天井には

セルローズファイバーを採用しました。

(一部、セルローズが吹けない壁には

羊毛と炭化コルクも使っております)

  

このような断熱施工が大変な箇所でも、

断熱施工専門の職人さん達は

文句一つ言わず

黙々と仕事をして下さいます!

(いつも有難うございます

 

断熱施工は今や、

断熱専門業者さんにお願いすることが

私共では一般的になりましたが、

まだまだ未だに大工さん等に

断熱材を施工してもらっているところも多く見受けられます。

 

大工さん等に施工をしてもらっても

もちろん悪いわけないのですが、

断熱層、防湿層、気密層、通気層の意味を

きちんと理解している方は多くは無い思われます。

   

2020年までに段階的に

「エネルギーの使用の合理化に関する法律」が

義務化される動きの中で、

断熱などの施工技術講習が

大工さんなどの中小工務店向けに

各地で開催されているのは

そのためでもあると思います。

  

と言いますのも、

適切な断熱施工をしなければ断熱材は時として

建物を腐らせることになりうる素材になってしまいますから

省エネ法を義務化する前に

断熱の施工技術を向上させる必要があるのでしょう。

    

   

私共は仕事柄、

築100年以上近く存続している古民家を扱うことが多いのですが、

この時代に、新建材(断熱材も含む)の使い方を誤って

建物を腐らせてしまっては元も子もありません。

ということで

断熱材については非常に神経を使ってやっております

 

 

ちなみに、「断熱」という言葉ですが、

熱を断つ と書きますが、

決して、熱を断つのではありません。

熱が伝わるのに時間がかかる、ということに過ぎないのです。

つまり

いずれ 熱は伝わるのです。

(暖かさも冷たさも)

 

ですから、断熱という言葉よりも、

「保温(保冷も含む)」という言葉がふさわしいと思うのですが

建築業界では「断熱」という言葉が一般化しています。

  

ちなみに、

発砲プラスチック系断熱材の材料名は

「保温板」と呼ばれていますので、

断熱材を保温材と呼んだ方が

イメージしやすいのではないかなと思うのですが。。。

 

私も実は、十年前くらいまで、

断熱のことを誤って理解していたことがありました。

 

その誤りに気がついた時、

私はある馬鹿みたいな実験をしました

  

さて何をしたかといいますと

   

  

夏のことですが、

  

魔法瓶タイプの水筒に入れておいた冷えた飲み物、

1日も置けば、ぬるく なります。

その魔法瓶水筒を、ぬるい飲み物を入れたまま

冷蔵庫へ入れました!

 

1~2日くらい経った頃、

冷蔵庫の魔法瓶を取り出して

中に入っていた飲み物を飲みました☆

 

わーい!

めっちゃ冷たい~

 

   

 

そういうことです。

(バカかと言われそうですか

 

理屈上、当たり前のことですが、

なんとなく、不思議な気持ちにならないでしょうか?

  

それは多分

魔法瓶を「断熱」と勘違いしているからじゃないのかなと

思うのですが、

私だけかな~

  

こうして魔法瓶を使って

熱伝導のことを実際に確かめることが出来て

一人嬉しくなったことを思い出します。

 

馬鹿ですよね。ワタシ。

  

でも、たぶん、

分かってない同業者及び施工者

実は多いとみてます。

そういう方々は

いろんな情報に流されやすいものです。

外張り派、充填派、素材差別派(?)

などなど。

  

理屈がきちんと判れば

自由に建物の考え方に合わせて

素材も工法も選ぶことが出来ます。

 

実は、

お施主さんなどに断熱や暖房の説明するために

自分なりにいい例え話がないかどうか

ずーっと考えておりまして

いくつか面白い?例えを考えています。

いずれまた断熱絡みの記事を書く時に

少しずつ記したいと思っています。

 

  

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コメント
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